福田雄一監督作品「勇者ヨシヒコ」シリーズとは?
ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズは「コメディの奇才」と賞される福田雄一監督の代表作。
ゲーム『ドラゴンクエスト』のスクウェアエニックスが協力し、実際のゲームの効果音を使用しつつも、パロディ満載の『ドラクエ』風コメディ作品に仕上がっています。
今までに3シリーズの放送がされており、どのシリーズも最後まで飽きることなく見れる最高作品となっています。
28分という時間の中に、実力派俳優陣のシュールな会話劇や予想斜め上の笑える展開が詰め込まれ、爆笑必至です。
「低予算冒険活劇」と称しているにも関わらず、視聴者の心を掴んで離さないのはどうしてでしょうか?
本作シリーズの面白さを深堀りしながら紹介しましょう。
冒険はここから始まった!「勇者ヨシヒコと魔王の城」
村中に広まる恐ろしい疫病を治す薬草を求め、勇者テルヒコが旅立ってから半年。
未だに彼が戻って来ないため、村長は新たな勇者を村人から選ぶことにしました。
岩に突き刺さった「いざないの剣」が倒れてしまったことで、勇者に選ばれた主人公のヨシヒコは、薬草と父であるテルヒコを探す旅に出ます。
山賊と闘う戦士ダンジョ―と父の仇を探すムラサキ、役に立たない魔法を得意とする金髪の魔法使いメレブを仲間に迎え冒険を続けます。
しかし旅に出てすぐ、道ばたで父との再会を果たします。
薬草を既に見つけていた父は旅先で若い女性に出会い、一緒に暮らしていたのです。
父に薬草を手渡され、目的を果たしてしまった彼らでしたが、空に現れた仏様のお告げで、疫病の根元である魔王を倒すことになりました。
彼らは魔王を倒すため、最強の装備を集める果てしない冒険に旅立つのでした。
勇者と愉快な仲間達を紹介
ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズの主な登場人物とそれを演じる俳優陣を紹介しましょう。
主人公ヨシヒコは、真面目で正義感が強く、ちょっとお人好しな勇者。
自分を殺そうとした人を仲間に迎える心の広い持ち主で、ムッツリスケベな一面も持っています。
演じるのは山田孝之で、唯一無二の存在感でどんな役も演じきるカメレオン俳優。熱狂的な『ドラクエ』ファンでもあります。
福田監督からの直接オファーに快諾し、勇者ヨシヒコを魅力的に演じきりました。
主人公が最初に出会ったダンジョーは、熱い魂と貫禄漂うバトルマスター。
演じるのはベテラン俳優の宅麻伸で、頼もしいダンジョーにイメージがぴったりですね。
時折見せるコミカルな表情も本人とのギャップがあって魅力的です。
ムラサキは、主人公が父の仇かどうか見極めるため旅に同行する、今時のギャルのような性格で口が悪い、大胆不敵な女性です。
演じるのは、女優の木南晴夏で、彼女の代表キャラクターと呼んでも過言ではない、強い存在感を放った演技に注目です。
ムロツヨシ演じるメレブは、金髪おかっぱ頭がトレードマークのへっぽこ魔法使い。
彼のユーモアあふれる演技で、彼らの冒険に味がでてより面白く感じられますよ。
そして、勇者たちにお告げを与える仏様を佐藤二朗が演じています。台詞を噛んだり、何か食べていたりとマイペースな行動と発言で表情を緩ませてくれます。
個性派キャラクター達のボケとツッコミの効いた愉快な冒険に、毎回ワクワクと笑いが止まりません。
豪華キャスト多数出演!爆笑が止まらない
ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズが面白い理由は、シュールなストーリー展開と俳優陣のユーモアあふれる演技力だけではありません。
ゲストキャラを演じる俳優も豪華なのです。
中村倫也、渡辺直美、小池栄子、沢村一樹、綾野剛、小栗旬など有名俳優が1回限りの端役で出演。
普段のイメージとがらりと異なるコミカルなキャラクターで、笑わせてくれますよ。
次は誰がゲスト出演するのか楽しみになってくるでしょう。
演技力の高い俳優陣によるシュールな会話劇が毎回繰り広げられ、一話観たら面白くて次も続けて観たくなるはずです。
低予算だけどシュールで味がある
ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズは「低予算冒険活劇」と自ら名乗るほど、ゲスト俳優陣以外の経費を節減しています。
実は、彼らが立ち寄る村は小道具やカメラアングルを変えて、すべて同じ場所で撮影していることをご存じでしたか?
登場する魔物、小道具や衣装を紙やダンボールと手頃なもので作られていたり、愛らしい動物のぬいぐるみが使われていたりと経費削減しているのです。
『ドラクエ』の人気モンスター、スライムも張りぼてで登場しています。
バトルシーンはアニメや風景のみを映して音だけで表現することも多く、CGを一切使いません。
小道具を浮かすために使うワイヤーや黒子がはっきり見えることもあり、俳優陣のまっすぐな演技と相まってシュールに見えてくるのです。
低コストな映像と俳優陣達の熱演が合わさることで、じわじわと笑えてくる作品に仕上がっています。
時折下ネタも織り交ぜ、有名アニメのパロディキャラクターも登場させるなど、自由すぎる世界観を展開。
スタッフ、俳優陣の遊び心満載で、毎回必ず笑えるシーンに出会えますよ。
肩の力を抜いて、くつろぎながら楽しくご覧ください。
シリーズを重ねる度に笑いと豪華さがレベルアップ!
2012年に放送された『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』は、前作から100年後を舞台に、蘇った彼らが大活躍。
封印を解かれた魔物達に苦しむ村人たちは、仏様に勇者ヨシヒコ達を蘇らせるようにお願いします。
しかし、蘇った彼らはメレブ以外ご老人。
なんと仏様が、死んだときの姿で蘇らせてしまったのです。
旅の始まりから衝撃展開。
おじいちゃん、おばあちゃん俳優陣の演技力が高く、メレブとのやりとりに爆笑必至ですよ。
仏様に元の姿に戻してもらい、魔物を再び封印するための「悪霊の鍵」を探しに旅立ちます。
低予算は変わらず、掛け合いもパロディも笑いのレベルもさらにパワーアップ。
友情出演俳優に鈴木福、青木崇高、平野綾、大東駿介、佐藤江梨子など豪華俳優陣が出演し見応えもアップしています。
遊び心くすぐる、期待以上のセカンドシーズンです。
2016年に放送された3作目の『勇者ヨシヒコと導かれし七人』は、2作目からさらに100年後の世界が舞台。
仏様からこの世界を支配する天空の魔王の弱点である7つのオーブを集めるように指示されたヨシヒコ達は、それぞれのオーブの持ち主を探す旅に出ます。
第1話冒頭の魔王戦で予算を大きく使ってしまい、予算を節約しながらの大冒険。
低予算でありながら「ファイナルファンタジー」や「スーパーマリオ」と他のゲームのオマージュ。
さらには他局番組のパロディをふんだんに取り入れ、今まで以上にパロディ色濃厚なシリーズとなりました。
もちろん手作り感満載の魔物達も引き続き登場し、ゆるーくゲームの世界観を再現しています。
最終決戦は史上最大スケールで描かれ、見応え抜群。最後まで見逃せません。
爆笑必至の全3作をぜひご覧ください。
テンションぶちアゲ!痛快ファンクチューン
1作目『勇者ヨシヒコと魔王の城』のオープニングテーマ『エボ★レボリューション』を歌うのは、mihimaru GT。
心から楽しめる音楽の確立を目標に、ラップやDJによるスクラッチを取り入れたポップミュージックを世に送り続けてきたふたり。
『エボ★リューション』は、このままでいいのかと、自分の中のエボリューション(進化)やレボリューション(革命)に問いかける痛快ファンク・チューン。
聴いているだけで体がノッてくる軽快なファンキーサウンドとリズミカルなラップ、スタイリッシュなボーカルが気分を明るくしてれます。
パンチの効いたラップで、自堕落な自分を自覚させて現実と向き合わせてくれてる歌詞。自分を奮い立たせ、体の底からエネルギーが湧いてきそうですね。
軽快で挑戦的なサウンドが『勇者ヨシヒコ』のコミカルで、ユニークな世界観にぴったり。
楽曲と世界観が巧くマッチした主題歌です。
EDは、心に響くソウルフルな絶唱ラブソング
31作目エンディングテーマ『愛し続けるから』を歌うのは、TEE。
プロボクサーからシンガーソングライターに転身した、少し変わった経歴の彼が歌う『愛し続けるから』は、永遠の愛を誓う絶唱ラブソング。
彼の温かいラウドボイスと愛する人に語りかけるような優しい歌詞、爽やかなメロディーがとても心地よい楽曲です。
ピュアでまっすぐな愛情がありのままに綴られている歌詞が、心温まります。
ドラマでいっぱい笑った後に聴くと、心が洗われて癒されることでしょう。
ハートフルな楽曲のエンディングテーマです。
ONLY ONE VOICEと評される天性のスモーキー・ヴォイスと元ボクサーという異色の経歴が話題を呼んでいる。 2009年7月にプロデューサー今井了介氏のレーベル<nanorebel>よりファースト・ミニ・アルバム『Palette』をリリース。リード曲「Change My Life」がiTunesの今週のシングルに選ばれると記···
聴けばハマる!最高にアグレッシブな2作目OP
2作目『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』の主題歌『From Noon Till Down』を歌うのは、4人組ロックバンド・ストレイテナー。
「FUJI ROCK FESTIVAL」に初出演して以来、日本武道館ライブを成功させるなど輝かしい功績を残してきた、実力派バンドです。
『From Noon Till Down』は、彼らの初めてのドラマタイアップ曲となりました。
イントロのキレのあるギターサウンドに心を鷲掴み。
サックスとトランペットの音色が華やかさを添えてアグレッシブなサウンドに仕上がっています。
疾走感あふれるこの楽曲を聴けば、これから始まるストーリーに期待に胸が膨らんでくることでしょう。
アグレッシブで痺れるサウンドとエネルギッシュなボーカルが、破天荒なヨシヒコ達にぴったり。作品との相性もばっちりです。
一度観たらトリコ!『勇者ヨシヒコ』のストーリーのように中毒性抜群の主題歌です。
1998年ホリエアツシ(Vo, Gtr ,Key)とナカヤマシンペイ(Dr.)の2人で始動。 2003年メジャーデビューとともに日向秀和(Ba.)が加入。2008年には大山純(Gtr.)が加わり、鉄壁の4人編成に。 この4人が生み出す作品は、常に新たなる刺激と革新性に満ちあふれている。 幕張メッセ、日本武道···
2作目EDは心が癒される優しいラブソング
2作目エンディングテーマ『どこへも行かないよ』を歌うのは、moumoon。
ユニット名のように心地いい歌声と優しいメロディを得意とする音楽ユニットです。
『どこへも行かないよ』は、ノスタルジックな癒し系ラブソング。
温もりあふれる優しい歌声とゆったりとしたアコースティックギターの音色が心地よく、気持ちを落ち着かせてくれますよ。
サビでは、君に対する私の想いが真っ直ぐに書かれていて、痛いほど心に伝わってきます。
大切な人のそばに居続けたい気持ちが「どこへも行かないよ」という言葉に詰まっていて、歌われる度に胸の奥が温まってくることでしょう。
深夜に聴くと癒される、心地よいエンディングテーマです。
3作目OPはJAM Projectの激アツ英雄ソング!
3作目『勇者ヨシヒコと導かれし七人』の主題歌『The Brave』を歌うのは、JAM Project。
ゲーム『スーパーロボット大戦』の主題歌をはじめ、ヒーローアニメ『ワンパンマン』の主題歌など熱いアニメソングを送り続けてきた実力派グループです。
今回のタイアップは、ヨシヒコ役の山田孝之からの直接オファーがきっかけでした。
彼は仕事中にふと影山ヒロノブさんに主題歌を頼もうと決めたそうです。
『The Brave』は、彼の期待に応えてくれた熱い情熱とパワーにあふれた正統派英雄ソング。
5人のパワフルなボーカルと熱い歌詞が心を滾らせます。
特にサビの「解き放て心に眠るすべてのパワーを」「かざせ!聖なる剣を めざせ!奴らの牙城を 燃やせ!勇気の炎を」と、熱く盛り上がっていく部分は、聴くだけで心の奥底から燃えたぎってくるはずです。
聴けば心のボルテージが急上昇する、熱くてかっこいい主題歌ですね。
ド迫力でハイクオリティなオープニング映像は必見です。
JAM Projectは「アニソン界」を代表する実力派シンガーによって、2000年に立ち上げられたスーパーユニットです。世界に誇る進歩した日本のアニメーションに見合う主題歌を作り歌っていきたいと、シンガー達自らが立ち上がり、集いました。 アニメやゲームに付随した主題歌文化に磨きをかけていき···
3作目EDは歌詞に共感必至の感動ソング
3作目のエンディングテーマ『きみがいるなら』を歌うのは、7!!(セブンウップス)。
数々の映画の主題歌を歌ってきた彼女たちは、聴く人の胸を打つ歌詞と温かなサウンドが特徴です。
『きみがいるなら』は、自分を支えてくれる人との絆を綴った温かい歌詞と、切ないながらも広がりのあるメロディーが心に残るバラード風の楽曲です。
歌い出しから、気持ちのこもった透明感のあるボーカルに心を奪われます。
ヨシヒコと仲間達の支え合い、笑い合う温かい関係に通じるものを感じられますね。
この曲を聴いていると、心の奥が温かい気持ちでいっぱいに。仲間や家族、恋人やパートナーの存在がそばにいてくれることの大切さに気づかされます。
ドラマで大笑いした後、彼女たちの美しい音楽で心を洗い流すような爽やかさがあって、聴いた後は心地いい感覚にさせてくれることでしょう。
MVには、ドラマでムラサキを演じる木南晴夏が出演。毎日仕事に追われ彼氏とすれ違ってしまう美容師を感情移入できるように演じています。
多忙な仕事で彼氏の気持ちを分かる余裕が持てない彼女の恋の行方と心模様に注目しながら、歌詞や歌声の深みを堪能してみてください。
いつ観ても何度観ても笑える!極上冒険活劇
低予算であることをシュールな笑いに変えて、自由奔放な作風と先読み不可能な面白さで、最高の笑いを提供してくれる『勇者ヨシヒコ』シリーズ。
ゲームが好きな人も、思いっきり笑って過ごしたい人にも刺さる最高の冒険活劇です。
疲れ、不安、憂鬱を吹き飛ばしてくれるような清々しい笑いを提供してくれる本作。
いつ見ても何度観ても楽しい気持ちにさせてくれますよ。
HuluやNetflixでは、全シリーズ配信中。
ぜひ、勇者ヨシヒコと一緒に冒険の旅に出て、ストーリーを堪能してみてください。
TEXT Asakura Mika