ただの大丈夫ではない
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映画『百年の恋』『帝一の國』や資生堂「ANESSA」のCMなど、数々の主題歌を担当してきたクリープハイプ。
そんな彼らが今度はアニメ『あはれ!名作くん』のシーズン5の主題歌を担当しました。
『あはれ!名作くん』は2016年4月からNHK Eテレ『ビットワールド』内で放送されている学園コメディ・アニメです。
『およそさん』は、クリープハイプがアニメのために書き下ろした曲で、シングルリリースではなく配信のみされています。
アニメの主題歌として話題になりましたが、もうひとつ話題となったのは曲の短さ。
約60秒という長さに歌詞部分はわずか30秒しかありません。
そんな30秒に込められた歌詞の内容を見ていきましょう。
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ねぇ 最近なんか元気ない
どうしたの 大丈夫
≪およそさん 歌詞より抜粋≫
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誰かが心配して「どうしたの 大丈夫?」と声をかけてくれています。
自分を気にかけてくれたことへのお礼と、心配しなくても平気だと答えているのできっと大丈夫なのでしょう。
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うん 全然平気 ありがとう
およそ大丈夫
≪およそさん 歌詞より抜粋≫
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しかし続く言葉は「およそ大丈夫」。
「大丈夫」ではなくて「およそ大丈夫」との答えが実は本音で、何とも言い表せない微妙な感情であることが伝わります。
元気がないように見えるけど、どこかでは平気で、でもやっぱり落ち込むこともある。
感情はひとつのようで、実際は様々な感情たちが集まっています。
だから答えが「およそ大丈夫」なのでしょう。
わたしたちの本音
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ただただ楽しいからって笑ってるわけじゃないし
ただただ悲しいからって泣いてるわけじゃない
≪およそさん 歌詞より抜粋≫
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この部分は本音にもあたる歌詞と言えるでしょう。
心では泣いていながら顔では笑顔を作るときもあれば、嬉しさや感動で泣いてしまうときもある。
人の涙のワケや楽しそうな笑顔の裏に隠された感情を確実に読み取ることは出来ません。
いつもなんとも言えない、割り切れない感情を持ちながらわたしたちは生きているのです。
誰しもがその複雑な感情を知っているはずなのに、表に出された表情だけでその人の気持ちを判断してしまっているのではないでしょうか。
3.14の数字が意味するもの
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3.14 以降の 向こうに 転がり落ちていた
ぐるぐる回ってどこにいる
3.14 以降の 向こうに 行こう 飛行機で
およそ遠くまで
≪およそさん 歌詞より抜粋≫
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突然出てくる3.14という数字は何を意味しているのでしょうか。
日付や時間にも思えますが、ここでは円周率として考えていきたいと思います。
円周率は3.14ですが、およそを求める場合は「3」を用いて処理をします。
つまり「およそ3」です。
3.14という数字を円周率の「およそ3」と考えれば「およそさん」というタイトルにも繋がります。
さらに円周率は「割り切れない」性質を持っています。
世の中は必ずしも割り切れるものばかりではありません。
そんな「割り切れない」感情を3.14で表現しているのかもしれませんね。
たった30秒に乗せた短い言葉だからこそ、わたしたちの胸に響いてきます。
割り切れなさを持っているときは正直に「およそ大丈夫」と答えてもいいのです。
そんな割り切れない感情を受け入れることもきっと大事なことのではないでしょうか。
TEXT サトイ モノコ