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学生たちのリアルな闇を暴き出す問題作
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『13の理由』は、Netflixで根強い人気を誇るオリジナルドラマシリーズです。
2017年3月にシーズン1が公開されると、1年で最も観られたNetflixドラマ作品の1つとなるほど、世界的に注目されました。
2020年6月5日より、完結編となるシーズン4が配信となり、ますます注目度がアップしています。
ジェイアッシャーの同名小説を原作にシーズン1が制作され、シーズン2からは完全オリジナルのストーリーが展開されています。
歌手であり女優のセレーナ・ゴメスが、製作総指揮として参加していることでも話題となりました。
当初は映画として制作される予定でしたが、衝撃的な内容と深い人間関係を描くには映画の時間枠では収まらないということで、ドラマシリーズとしての制作が決定。
ドラマシリーズにしたことで一話一話が、観る人を引き込む重厚なストーリーに仕上がっています。
あらすじや見どころから、怖いのに一気見したくなる本作の魅力を紹介しましょう。
カセットテープで伝えられる女子高生の自殺の理由とは
ある日、学校から帰宅した高校生のクレイ・ジェンセンは、家の前に箱が置かれていることに気付きます。
箱の中には7本のテープが入っており、ハンナ・ベイカーの声が収められていました。
彼女は2週間前に自殺したクラスメイトであり、バイト先の同僚。
そして、クレイがひそかに想いを寄せる相手でもありました。
ハンナはカセットテープの13面を用い、死を選んだ理由を自身の言葉で赤裸々に語っていきます。
クレイの親友のトニーは深い理由は話さず、とにかくテープを全て聞くよう促します。
動揺しながらもテープを聞き進め、クレイは明らかになっていく彼女の人間関係やその本性に触れて、苦悩するように。
誰の、どんな行動がハンナに死を選択させたのか。
何が本当で、誰が嘘をついているのか。
事実が1つ1つ鮮明になる度、人の闇に呑み込まれそうになる衝撃のミステリー作品です。
若手キャストが多彩に演じる共感できるキャラクター
本作は、ストーリーの中心となる高校生たちを演じる若手俳優陣の演技力の高さに圧倒されます。
クレイ役を務めた主演のディラン・ミネットは、子役から活躍している俳優。ロックバンドで音楽活動もしています。
原作を読むことなくオーディションに参加したそうですが、脚本やテーマを知ってわくわくした気持ちで撮影に挑んだようです。
穏やかそうに見えて、不安定な雰囲気をまとう10代の学生を、自然体でリアルに演じています。
ハンナ役を演じたのは、キャサリン・ラングフォードです。
出演当時は無名の女優で、本格的な演技をしたのは本作が初めて。ハンナ役に強く惹かれてオーディションに参加しました。
つらい役どころのため、撮影は精神的に苦しいものになりましたが、周囲のキャストとの関わりによって迫真の演技を続けることができたようです。
本作では1人1人にスポットを当てていくスタイルで話が進んでいくため、キャストの存在感と繊細な演技力が求められます。
経験の浅い俳優もいながら、現代の学生たちを等身大で演じ、国を越えて共感を与えるキャラクターを作り上げています。
緻密な描写で現代に潜む闇を強烈に描き出す
女子高生の自殺を中心に描く本作は、現実社会に起こっている暗い出来事を鮮明に描いています。
SNSを使ったいじめや性的暴力、自傷行為や鬱など、アメリカのみならず日本でも問題となっているテーマが扱われています。
1つのテーマだけに絞らず、いくつもの問題が絡み合う様子を描くことで、より現実に近い複雑さを表現。
あまりに過激な内容が生々しく展開されていくため、同世代の学生たちが観る際の注意喚起も行われているほどです。
しかし、カセットテープの内容から、徐々に出来事が立体的に見えてくるという構図は、誰もが些細なきっかけで加害者や被害者になり得るということを痛感できるでしょう。
男女の考え方の違いや小さな誤解が、それまでの人間関係を大きく変えてしまうことに気付かされます。
本作は学園ドラマでありがちな、見た目と内面が一致したステレオタイプのキャラクターが登場しないことも特徴です。
たとえば、主人公のクレイは視聴者と同じ目線で真実を追う人畜無害な善人のように見えますが、そうではありません。
真相に近づくにつれ精神的に追い込まれ、心の奥にある暗い部分が現れるようになります。
ハンナも、ただのかわいそうな被害者ではありませんし、見た目が派手な人物が周囲を引っ張っているというわけでもありません。
そして、シリーズ1で悪く見えていた人物が、何を思い行動していたかが回を追うごとに見えてきます。
それぞれの人物は、人に言えない悩みや弱さを抱えています。それらが他人には理解されない行動を起こしてしまう事実が浮き彫りとなり、一層現実感が強まっていきます。
観ればきっと、登場人物の1人と自分を重ね、物語の一員として様々な視点で若者の抱える闇と向き合うことになるでしょう。
「Back To You」は一途な恋心を表現するテーマ曲
本作は人気アーティストが参加した数多くの挿入歌も見どころの1つ。映画さながらの音楽効果が用いられています。
その中でも作品を象徴するテーマ曲と言える楽曲が、セレーナ・ゴメスが歌う『Back To You』です。
落ち着いたアコースティックギターの音色から始まる悲しげなメロディが、心地よく耳になじんで曲の世界へ引き込んでくれるでしょう。
そこにエレクトロポップなダンスビートが組み合わさって、気分が盛り上がるポップスに仕上がっています。
歌詞は、ミステリー要素の強い本作とは雰囲気が異なり、一途な恋心を綴られています。
他の人と過ごしている時も、心の隅では1人のことを想い続けている様子がよく表れています。
作品の中でも恋愛は重要な位置づけですし、1人の女子高生の存在で心を乱されている登場人物たちの心情は、意外にも歌詞とリンク。
セレーナ・ゴメスのハスキートーンの美しい歌声によって、歌詞がストレートに心に響く楽曲です。
PVでは彼女自身がヒロインを演じ、男性とのメロドラマが繰り広げられています。
変顔を披露するキュートな姿と、歌声による圧巻の表現力を楽しんでください。
「13の理由」は目を背けてはいけない現実を伝える傑作!
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センセーショナルな内容が話題を呼ぶ『13の理由』は、目を背けたくなるような重く暗いテーマが詰まっています。
10代の自殺やいじめといった問題をリアルに描いているため、鑑賞して気分を悪くしてしまう人がいるほどです。
しかし、今こそ目を向けなければいけない現実を、鮮明に訴えかけてくる作品とも言えるでしょう。
悪は1つではなく、様々な問題と要因が絡み合っているからこそ、誰もが目の前の出来事と真摯に向き合う必要があるのです。
『13の理由』を観て、自分の行動や考え方をじっくり思い巡らす時間にしてみてください。
TEXT MarSali
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