新たな一歩を歩き出す
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新しい靴を履いた日は それだけで世界が違って見えた
昨日までと違った自分の足音が どこか嬉しくて
あてもなく隣の町まで 何も考えずしばらく歩いて
「こんなことも最近はしてなかったな...」って ぼんやり思った
≪足音 ~Be Strong 歌詞より抜粋≫
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こんな一節で始まるのが、ドラマ『信長協奏曲』主題歌としてリリースされたMr.Childrenの『足音 Be Strong』です。
キャッチーなメロディが耳に残るこの楽曲の歌い出しは、「新しい靴」という主人公の心境から始まります。
タイトルにもあるように、歩くことが楽曲全体のテーマになっているこの楽曲。
靴を新調し、その新しい歩き心地や足音からくる心持ちの違いを歌う主人公。
変わらない毎日にどこか退屈な感情を抱いていた昨日までと違い、目に写る景色の何もかもが目新しく感じられる今日という日の新鮮さが聴き手にも伝わってきます。
「新しい靴で歩く」という歌詞のテーマが伝えているのは、新たな自分で一歩前に踏み出す「決意」でもあります。
深く考えずに「あてもなく」隣の町まで歩いてきた主人公。
「最近はしてなかった」と、心機一転で再び新しいものに目を向けられるようになった心のはずみを口に出していますね。
新しいことに挑戦してみよう
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舗装された道を選んで歩いていくだけ
そんな日々
だけど もうやめたいんだ
今日はそんな気がしてる
≪足音 ~Be Strong 歌詞より抜粋≫
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決められた仕事や役割をこなすだけの毎日にうんざりしていたのでしょうか。
安定した報酬が約束されていたとしても、ルーティンのように繰り返される日常の味気なさを主人公は「舗装された道」とたとえています。
人は誰しも、変化のない毎日には飽きが来てしまうもの。
そんな時には新しいことに挑戦して、自分の日常にスパイスを一振りするのもいいでしょう。
新しい靴を履いたことによって感性が刺激され、誰かが一度歩いたような道ではなく自分だけの道を追い求める心の余裕とエネルギーを得た主人公の力強さ。
情感あふれるメロディに載せられて届く言葉が、聴き手にもパワーを与えてくれますね。
新たな視点を手に入れた主人公の思いは、「そんな気がしてる」という言葉で区切られています。
ふと日常的な感覚を呼び戻すようなこの一文によって、『足音』の歌詞は胸を打つような熱い言葉だけでなく、あくまでも聴き手の毎日に寄り添った言葉が詰まっていることがわかります。
どこかの誰かではない、まさにこの歌を聴いている私たちに向けられた言葉の数々が、より繊細なリアリティを持って押し寄せてきます。
これはあなたへ向けられたメッセージ
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夢見てた未来は
それほど離れちゃいない
また一歩 次の一歩 足音を踏み鳴らせ!
時には灯りのない
寂しい夜が来たって
この足音を聞いてる 誰かがきっといる
≪足音 ~Be Strong 歌詞より抜粋≫
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開放感たっぷりのサビにのせられて届けられるのはこんな一節。
たとえ今の自分の状況がかつて「夢見てた」将来のビジョンと少し違うものだったとしても、「それほど離れちゃいない」のだという力強い言葉に勇気づけられますね。
自分の目の前に広がる道は決して決まったものではない。誰かが舗装した道だけを進んでいく必要はない。
そんなメッセージと共に、自分が本当に追い求めるビジョンに向かって「次の一歩」を踏み出すことができる可能性を聴き手に伝えてくれています。
そして、ただ踏み出すだけではなく「踏み鳴らす」という表現を使っているのもポイント。
決して恥じることなく、決して不安がる必要もない。堂々と力を込めて進んでいけばいいのだという想いがボーカル・桜井和寿の高らかな歌声と共に届けられています。
もちろん、行く道の先にすぐ成功が見えてくるとは限りません。
歌詞の中ではそんな現実的な視点も忘れずに、時に訪れる「寂しい夜」についても触れています。
もし「灯りのない寂しい夜」が来ても、そこには踏み鳴らした「足音」を聴いている「誰か」がきっといるはずだという温かなメッセージでサビが締めくくられています。
この「誰か」は時に家族や友人、恋人、あるいは全く面識のない他人であっても、自分の頑張りを認めてくれることがあるかもしれません。
そして誰よりも、全力で歌を届ける桜井和寿、そしてMr.Children自身がきっとあなたの歩みに寄り添ってその頑張りを応援してくれているのでしょう。
そんな、Mr.Childrenのメッセージが込められた『足音 〜Be Strong』は今日もあなたの新しい一歩を応援しています。
副題として添えられた「Be Strong」。
このシンプルな英語を直訳すれば「強くあれ」という意味になります。
力強く、明日への希望を抱いて生きることはきっとあなたの人生を豊かにするかもしれませんよ。
TEXT ヨギ イチロウ
1992年ミニアルバム「EVERYTHING」でデビュー。 1994年シングル「innocent world」で第36回日本レコード大賞、2004年シングル「Sign」で第46回日本レコード大賞を受賞。 「Tomorrow never knows」「名もなき詩」「終わりなき旅」「しるし」「足音 〜Be Strong」など数々の大ヒット・シングル···