キレのある語感が心地よいリズムを生み出す
空白ごっこは数々の人気ボカロ楽曲を生み出してきたkoyori(電ポルP)と針原P(はりーP)の2人からなる作曲陣と、作詞も担当するVo.セツコによる音楽ユニットです。
そんな彼らの『リルビィ』は、エッジの効いたワードとリズムが特徴のセンセーショナルな楽曲となっています。
手書きアニメーションによるPVはYouTubeに公開されてから半年で約70万回再生を超え、この楽曲が高い支持を集めていることを示しています。
この記事では歌詞に注目し、言葉の意味や歌詞の内容を考察しつつ、その魅力に迫っていきましょう。
----------------
小洒落た君は Freak?
Look up, Look up
まぁまぁ気になる Essence
はたまた君との Distance
Faraway, away, away…
≪リルビィ 歌詞より抜粋≫
----------------
この歌詞の特徴は、その一文のほとんどが日本語と英語から構成されていることです。
上記の歌詞を見てもらえばわかるとおり、前半が日本語、後半が英語という形式をとっています。
英語のみ使用されている箇所もありますが、割合的には少ないです。
この楽曲では何よりも言葉の語感が重要視されており、それが楽曲が持つ癖になる気持ちの良いリズム感を生んでいます。
歌詞にも触れていきましょう。
この冒頭のフレーズは気になる相手がいることを示しているシーンで、恋の予感のようなものを描いています。
英単語を和訳していくと「Freak」は変わり者「Essence」は本質という意味ですが、カタカナ語のエッセンスでも意味は通じるでしょう。
「Distance」は距離「Far away」は遠く離れていくという意味です。
小洒落た容姿から少し変わり者に見える相手が気になってしまい、その本質、つまりどんな人間なのかと興味を持っているのです。
ですが近づこうとすればするほど、その人との距離はだんだん離れていってしまうこともありますよね。
積極的になれない弱気な恋心
----------------
まごまご送る Flick
Cool it, Cool it
あじゃらに Unknown な Flag
またまた君に Skip a beat
不意に意味有り気な Sign
≪リルビィ 歌詞より抜粋≫
----------------
続く歌詞は気になる相手にアプローチをかけていく場面です。
「Flick」は鞭で打ったり、指先で軽くつつくこと。
指でツンツンと好きな女の子にちょっかいをかけてしまう様子を描いています。
「あじゃら」は漢字で戯と書き、たわむれやかりそめという意味です。
ここの「Flag」は、近年ネット用語として使われる「フラグ」の意味でしょう。
わかりづらい組み合わせですが「頑張ってもなかなか恋のフラグが立たない」という意味だと考えられます。
「Skip a beat」はドキッとするという意味。
相変わらず君に見惚れていたら、不意に意味ありげなサインを送ってきたという転換場面です。
なかなか強気になれない恋愛下手な恋模様が、この歌詞のテーマとなっているようですね。
タイトル「リルビィ」に込められた意味とは?
----------------
じゃあ他愛ない A little bit な Beam
退いといて Bye Bye Bye
気付かないフリは No good
彷徨う Like or Love
≪リルビィ 歌詞より抜粋≫
----------------
こちらは楽曲中で最も語感にキレがあるサビ前半の歌詞です。
注目すべきは一文目の「じゃあ他愛ない A little bit な Beam」。
歌詞だけを見るとわかりづらいですが、このフレーズにはタイトルが隠されています。
「A little bit」はリルビィと発音するので、ここから曲タイトルがきていると推測できます。
「A little bit」は「少し」という意味で「Beam」はビームそのままの意味です。
意味を捉えづらいですが歌詞の流れを考えると、意中の相手から送られた他愛のない僅かなサイン、もしくは自分が相手に送ったサインのことだと考えられます。
この「A little bit」がタイトルとなっている理由はハッキリと断定できません。
個人の見解では、好きな相手が「僅か」に見せる仕草や意中の相手に対して果敢にアプローチできない「消極的」な気持ち、これらを総称して「少し」と表現したと考えられます。
----------------
ねぇ繋ぎたい今の Feeling
吐くなよ Lie Lie Lie
欲しいのは君の Love you
But 決まって Fade away
≪リルビィ 歌詞より抜粋≫
----------------
サビ後半の歌詞からもタイトルの理由は推測できます。
このフレーズでは「繋がりたい」「欲しいのはLove you」など相手を求める様子が描かれています。
相手からの気持ちが「少し」でも欲しい。
そんな意味も『リルビィ』には込められているのではないでしょうか。
あなたもこの楽曲を聴いて、タイトルの意味を考察してみてはいかがでしょうか。
TEXT 富本A吉