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原作は直木賞にノミネートされた有川ひろの小説
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TBS系列日曜劇場枠で、2013年に放送されたドラマ『空飛ぶ広報室』。
原作は映画『図書館戦争』やドラマ『フリーター、家を買う』といった、数々のヒット作品を生みだしてきた、大人気作家の有川ひろの同名小説です。
小説は2010年に投稿電子書籍サイト「エブリスタ」で連載後、単行本が刊行される予定でした。
しかし、2011年に起きた東日本大震災の影響で延期になってしまいます。
その後、筆者が震災後に航空自衛隊松島基地を取材したエピソードを基に追加した最終章「あの日の松島」を書き下ろして、2012年7月にようやく単行本が刊行されました。
ここではドラマ化された本作のあらすじや見どころ、主題歌について紹介します。
航空自衛隊の広報室が舞台
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帝都テレビで働く美人ディレクターの稲葉リカは、幼いころからの夢だった報道記者として仕事をこなしていました。
「真実を暴くためならば、どんな相手にも強気で取材」がモットーの彼女。
たまに取材相手を怒らせることもありながら、仕事に対する姿勢が評価され、会社でも有望な新人と期待が高まっていました。
しかし、そんな彼女に問題が起きてしまいます。
ある事件の容疑者の妻に対して、いつものように強引な取材を行ったところ、それが原因で相手を精神的に追い詰めてしまったのです。
その責任を取る形で、報道局から情報局に異動させられてしまいます。
こうして情報局に異動したリカは、夕方の情報番組のコーナーディレクターとなりました。
そこで働く制服シリーズが企画され、上司から自衛隊の取材をするように命じられ、航空自衛隊の広報室へと向かいます。
一方、航空自衛隊で戦闘機のパイロットになることを夢見ていた、空井大祐。
ようやくパイロットとして動き出したとき、彼に悲劇が訪れます。
不慮の事故に巻き込まれ、足に怪我を負ってしまいます。ブルーインパルスに乗るという夢が、目前で絶たれてしまったのです。
その後、航空幕僚監部広報室に配属された彼は、そこで同じく挫折した彼女と出会います。
互いに幼いころからの夢を絶たれ、挫折を味わった2人。
本作は壁にぶち当たった2人が出会い惹かれ、新たな目標を見つけていく成長ラブストーリーです。
夢を絶たれた2人の成長過程が見どころ
ドラマ『空飛ぶ広報室』の見どころは、夢を絶たれた主人公のリカと空井が新たな目標を見つけ、それに向かって頑張る姿です。
人の人生は、思った通りにいかないことのほうがほとんど。
どんなに幼いころからなりたかった仕事でも、全員がなれるわけではありません。
実際、なりたい仕事に就いている人は少ないでしょう。
でも、いつまでも落ち込んでいられないのが人生。たとえ夢が絶たれても、この先も人生は続いていきます。
大切なのはこの挫折を味わって、どう生きていくのかが重要なのです。
彼女は上司の命令で航空自衛隊の広報室のメンバーと出会い、そこから自分が知らなかった世界を知り、これまでの凝り固まった考えを改めていきます。
彼も不慮の事故で夢を絶たれて感情を失いかけますが、航空自衛隊の人間ではない外部の人と関わることで、少しずつ本来の自分を取り戻していくように……。
偶然とはいえ、挫折を経験した2人が互いを知り理解し合うことで、ようやくこれからの生き方を見つめ直すようになります。
新しい目標に向かって必死に取り組む2人の姿は、視聴者に共感を与え、背中を押してくれるのです。
また、本作は航空自衛隊の全面協力のもと、基地内で撮影を行っているのも見どころ。
物語を語る上で絶対に外せない戦闘機のシーンにも、ぜひ注目してほしいです。
綾野剛の演技が光る
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ドラマの主人公・稲葉リカを演じたのは、ドラマ『コード・ブルー』シリーズにも出演している女優の新垣結衣。
仕事に対して、誰よりもまっすぐ真剣に向かい合うディレクターを演じています。
実は原作の小説では主人公は空井大祐でしたが、ドラマでは稲葉リカ目線で物語が進んでいきます。
彼女の心境の変化や、どう成長していくのか注目してください。
本作の中でも特に難しい役どころ、空井大祐を演じたのはNHK連続テレビ小説『スカーレット』で一躍注目を浴びた綾野剛。
パイロットになる夢を絶たれ、感情を失いかけるという難しい役を見事に演じ切りました。特に彼女と出会ったことで少しずつ自身の感情を取り戻し、表情も和らいでいくのが印象的です。
また、原作では淡い感じで描かれていた2人の恋模様を、ドラマではより深く描写。
最後に見せる、2人のとびっきりの笑顔が視聴者を喜ばせました。
<キャスト一覧>
稲葉リカ:新垣結衣
空井大祐:綾野剛
柚木典子:水野美紀
片山和宜:要潤
槙博已:高橋努
比嘉哲広:ムロツヨシ
藤枝敏生:桐山漣
坂手はじめ:渋川清彦
香塚ともみ:三倉茉奈
大津裕一:前野朋哉
佐藤珠輝:大川藍
桐谷隆史(キリー):桐谷健太
峰永圭介:阿部丈二
村瀬勝彦:池内博之
阿久津守:生瀬勝久
鷲坂正司:柴田恭兵
2人をずっとそばで見守っていたのが、柴田恭兵演じる広報室室長の鷲坂正司。
いつもダジャレで場を和ませ、大事なところではビシッと決めてくれる、広報室になくてはならない大切な存在です。
そして人気俳優のムロツヨシも、広報室のメンバーとして出演。
空井の指導係である比嘉哲広を演じています。
自分の人生は自分で切り開く主題歌「Contrail」
ドラマ『空飛ぶ広報室』の主題歌『Contrail』を歌うのは、2018年に芸能界を電撃引退した歌手の安室奈美恵。
作詞作曲を担当したのは『Baby Don't Cry』や『Break It』など数々の安室奈美恵楽曲を手がけてきたNao'ymt。
本楽曲は、ドラマのために書き下ろされたミディアムナンバー。
タイトルの『Contrail』は飛行機雲という意味で、もともとは「condensation trail」が省略されてできた単語のようです。
もし過去に戻れたとしても戻らず、どんなに辛くても苦しくても、今を生きていく。
自分で自分の人生は切り開いていくんだ!という強さを感じる楽曲ですね。
行進のように刻まれる力強いリズムとともに、自信に満ちあふれた笑顔で歌う安室奈美恵にパワーを与えられます。
元気が出ないときに聴くと、気持ちが明るく前向きになりますよ。
MVでも真っ青な空がバックに映っていて、まさにドラマの爽快な雰囲気とピッタリです。
また、曲中に使われている効果音には、飛行機の音も入っているとのこと。どこで流れているのか、注目してお聴きください。
「空飛ぶ広報室」は挫折を経験した人の背中を押してくれる200字
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航空自衛隊の広報室を舞台にした本作。
東日本大震災という日本中を悲しみの渦に包み込んだ内容も盛り込まれており、生きていくことへの向き合い方を改めて教えてくれる作品です。
たとえ夢が途絶えたとしても、そこで人生が終わるわけではありません。
落ち込んでも、もう一度立ち上がって、新しい道を探し出せばいいのです。
むしろたくさんの経験がある人生のほうが、豊かで楽しいはず。
人生の岐路に立ったとき、きっとあなたの背中を押してくれる素晴らしい作品です。
TEXT あるこ