主人公は思い出の場所で過去を振り返る
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二人で写真を撮ろう 懐かしいこの景色と
あの日と同じポーズで おどけてみせて欲しい
見上げる空の青さを 気まぐれに雲は流れ
キレイなものは 遠くにあるからキレイなの
≪愛をこめて花束を 歌詞より抜粋≫
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「二人で写真」というのは、昔過ごした風景をバックに恋人と撮影したいと甘えているようです。
そして同じポーズでおどけながら撮影したいと考えたのは、無垢な自分に戻りたいと願っているからなのかもしれません。
「キレイなもの」とは子供の頃に抱いた夢や希望、憧れなどを指しています。
それが大人になるにつれて徐々に挫折や苦悩を味わい「夢」は遠くにあるからこそキレイだと気づいたのでしょう。
そんな中で思い出の場所に二人で訪れ、家族の元で改めて子供の頃の無垢な自分を思い出しているようです。
愛情を注いでもらった日々をもう一度感じつつ、それに対して幸せや感謝を主人公は実感していきます。
感謝の気持ちが後押しして花束を渡す
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愛をこめて花束を 大袈裟だけど受け取って
理由なんて訊かないでよね
今だけすべて忘れて 笑わないで受けとめて
照れていないで
≪愛をこめて花束を 歌詞より抜粋≫
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思い出の場所で様々な思いを馳せた後、愛情を注いでくれる恋人や家族に対して感謝の気持ちが溢れていきます。
家族は遠く離れていても自分に対して愛情や絆を常に持ってくれており、その想いに感謝しなければならないと考えているようです。
そして花束を用意して渡すのですが、ここで「愛をこめて花束を」と表現。
愛情を注いでくれることに対して感謝の気持ちを表すのに、花束を渡すのは大袈裟ではないかと感じてしまうかもしれません。
そこで「大袈裟だけど受け取って」と表現し、多くの感謝の言葉や感情を伝えたいのです。
そして花束を贈ることで照れくささを隠しながら「理由なんて訊かないでよね」とはぐらかしているのではないでしょうか。
感謝の気持ちを表すとともに、これから新しい一歩を踏み出していこうと覚悟や勇気も感じ取れます。
こうして家族の元で気持ちを改めてリセットしながら、蓄積された想いや感謝を花束を贈る行為で伝えたかったのです。
一方的に花束を渡していますが「笑わないで受けとめて」といった歌詞からも、冗談ではなく本気が伝わってきます。
頭でわかりながらも忙しかったり、家族とすれ違うこともあり、絆や感謝の気持ちを忘れてしまうこともあるでしょう。
そんな中で肝心なシチュエーションで感謝の気持ちや、新たな自分にも期待してほしいことを花束を通じて伝えているのではないでしょうか。
理不尽な環境でも頑張れるのは、家族の支えや愛情によるものだとこの曲を通じて感じ取っていきたいものです。
気持ちと花の色を重ね合わせクライマックスへ
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巡り巡る時を超え いつもあなたの所へと
この心 舞い戻ってゆく
ありがとうも言い出せずに 甘えていた
今日ここへ来るまでは
愛をこめて花束を 大袈裟だけど受け取って
理由なんて訊かないでね
今だけすべて忘れて 笑わないで受けとめて
本当のわたしを
いつまでもそばにいて
≪愛をこめて花束を 歌詞より抜粋≫
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不器用ながらも感謝を伝えることで、家族や恋人に対して絆を主人公は感じています。
花屋で実際に花を見ながら考える風景も、その後の歌詞から想像できます。
様々な花の色がありますが、主人公が家族に対する想いを色で表現しています。
自分の気持ちと重ね合わせながら花束を用意したのでしょう。
「ありがとうも言い出せずに 甘えていた」と表現があるように照れがあったり、言わなくても分かるでしょと思いなかなか言えなかった言葉。
しかしついに伝える日がきたと花束を贈ります。
さらに感謝の気持ちや愛情を受けていたことをしっかりと言葉で紡ぐとともに、気持ちを表現する色を花束で見えるようにしたのです。
弱い自分を受け止めながら、新しい自分を見届けてほしいと決意も示しています。
最後に「いつまでもそばにいて」で締めくくりますが、未来の自分を見ていてほしい気持ちを表現しています。
昨今結婚式で流す両親に感謝の手紙を読むときやサプライズで花束を渡すときに『愛をこめて花束を』を流したい人も多いのではないでしょうか。
気持ちをストレートに伝えて、今まで育ててくれた両親に感謝の想いを代弁する楽曲と言えるでしょう。
TEXT 長谷川淳一