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涙を流す誰かを元気づける曲
大人気ボカロP「DECO*27」がよみうりランドにて開催されたイベント『~初音ミク×よみうりランド 出会いふたたび~』のテーマソングとして書き下ろした楽曲『ポジティブ・パレード』。
元気が出るボカロ曲として注目され、動画再生回数もYouTube、ニコニコ動画ともに100万回再生越えの大人気曲となっています。
しかしなぜ、この曲を聴くと元気が出てくるのでしょうか。
その理由を探るべく、歌詞の意味を考察していこうと思います。まずは始まりの歌詞から見ていきましょう。
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へーい、がんがん涙流すじゃない?
それで平気なフリは普通じゃない
言いたいことあるのに 抱え込んだもやもやはどこに
ねえいつか急に溢れて
「ごめんもうダメ助けて」
って想像したくもない 聞きたくないじゃない
だからそうなる前に頼っちゃえよ
≪ポジティブ・パレード 歌詞より抜粋≫
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どうやら涙を流している誰かに向けて、この曲は歌われているようです。しかも泣いてるその人は、泣きながらも「平気なフリ」をしようとしている様子です。
泣く程に辛い事や苦しい事があってもなお、平気なフリをしようとするだなんて、あきらかに「普通」ではありません。
この楽曲はそんな「普通じゃない」状態にある相手を説得しようとしているようです。
いつか限界を迎えて悲しい結末を迎えてしまう前に、言いたい事を言ってしまえ。
泣きたい時には泣いてしまえ、平気なフリなんてしなくていい。
「頼っちゃえよ」という歌詞からは、そんな強いメッセージが込められているのではないでしょうか。
また、この曲を聴いて元気になってよ、とそう言っているようにも感じます。
さらに2番ではこのような歌詞もあります。
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まだまだこれじゃ足りないや
言いたい言葉間違えないように
「無理は禁止します」 「僕はここにいます」
明日に凹まされぬように また笑い合えたら
だから「どうなるか」とかしまっちゃえよ
≪ポジティブ・パレード 歌詞より抜粋≫
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ここからもやはり、誰かを元気づけようとしている様子が感じられますね。
どうやらこの楽曲は、”暗い気持ちの人達を元気づけたい”という思いに溢れた楽曲のようです。
原点回帰を感じるサビ
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叶えたい夢を胸にギュッと詰めて
したいことだらけでやってみせて
「僕ら止まれない」
これはいい感じですか?やっぱりダメでしょうか?
終わらない夜は 星と踊って話そう
ツラいときも光はずっと側に
「僕ら止まれない」
君も大丈夫になる ピッタリ笑顔になるから
≪ポジティブ・パレード 歌詞より抜粋≫
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暗く沈んでしまった人達を元気づけようとする様子は、サビに入ってからも続きます。
この歌詞から感じられるのは「原点回帰」の4文字ではないでしょうか。
「叶えたい夢を胸にギュッと詰めて」や「したいことだらけでやってみせて」という歌詞からは、まるで忘れかけていた原点となる自分の本音を思い出させようと訴えかけてきます。
もちろん原点を思い返しても、それが絶対に上手くいく保証はどこにもありません。
続く歌詞の中でも、その不安がにじみ出ている部分があります。
ですが、そういう時の解決法もこの楽曲は歌っています。
それが「星と踊って話そう」という歌詞。
星と踊って話すだなんて、実現不可能な話ですが、誰でも小さかった頃はそんな夢物語を本気で信じていたのではないでしょうか。
そう振り返ると、この歌詞もまた、忘れかけていた「子供心」という私達の原点に回帰させようとする歌詞に感じられます。
また、この楽曲がテーマソングとなった、初音ミクとよみうりランドとのコラボ企画のサブタイトルは『出会い再び』。
過去にも一度コラボした事のあるミクとよみうりランドが再びコラボしたことから、つけられたものとなっています。
その意味を改めて見返すと、原点を再び思い出すという意味の『原点回帰』の言葉と、どこか似たものがあるようには感じられる気がしてきませんか。
歌詞の中に込められていたメッセージ
しかし、意識されているのはコラボ企画のテーマソングとしてだけでもないようです。制作者であるDECO*27のTwitterでは「みんなつらいときはここにおいで」というメッセージつきでMVのツイートを行っています。
つまり、この曲は企画への参加者に限らず、現実でつらい思いをしている視聴者全員に向けて励ましのメッセージを込めて制作された楽曲だと言えるのではないでしょうか。
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間違ってなんていないのに
誰かが「違う」って言うんなら
君を否定しちゃうすべてを 僕は肯定なんかしないから
抱き締めたついででもいいから 不安も僕に流してよ
恥ずかしいって言うけれど それは僕も一緒なんだよ
似合ってないとか笑うなよ
君に会ったことへの答えだ
頼ってくれ 頼ってくれ どうか
≪ポジティブ・パレード 歌詞より抜粋≫
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Cメロの中では「僕」は「君」を否定するすべてを肯定しないと歌っています。
「君」というのは最初の涙を流していた人物の事でしょう。
最後の「頼ってくれ」という歌詞からも「君」を助けたい、元気づけたいという「君」に対する「僕」の強い気持ちが感じられますね。
もし、この曲がDECO*27からのメッセージソングならば、この「君」というのは視聴者達のことであるとも捉えられます。
自身の楽曲を聴いてくれている視聴者達へ、泣きたい時は自分の曲を聴いて元気になってほしい、というメッセージを込めているのかもしれません。
ただのコラボ企画のテーマソングとしてでなく、制作者自身の思いも感じられるような曲だからこそ、元気を貰えるのかもしれませんね。
TEXT 勝哉エイミカ