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シンプルな言葉で紡ぐ「想い」
国民的大スター浜崎あゆみを大々的にフィーチャーしたことで、話題となったドラマ「M 愛すべき人がいて」。
2020年7月に放映された最終回に合わせて、『オヒアの木』の情報が解禁され、ファンを中心に大きな注目を集めました。
彼女の楽曲には珍しく、「日本語のタイトル」が使われたことでもファンを驚かせたこの楽曲。
歌詞に注目してみると、まさに「新境地」とも言える新鮮な世界観が描かれていたのです。
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「拝啓 わたしの小さくて
永遠に世界一の天使へ」
初めましての涙だったり
初めて指繋いで眠った日とか
初めて全てがダメな気がして
初めて隣で泣き明かした日とか
初めてだらけの2人だったね
≪オヒアの木 歌詞より抜粋≫
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『オヒアの木』の幕開けを飾るのは、心温まるこんな一節。
「拝啓」という歌い出しが象徴するように手紙形式で語られる想いが、情感あふれるメロディとともに届けられます。
手紙の宛先は「世界一の天使」。
我が子を愛する母親の視点が全編に散りばめられたこの楽曲では、2020年始めに出産を発表していた浜崎あゆみの胸の内が赤裸々に綴られていますね。
あくまで淡々と語られる「初めて」の経験の数々。
新たな命と共に過ごす毎日は、子供だけでなく母親にとっても新鮮な発見の連続となるでしょう。
我が子と作り上げていく思い出の一つひとつを噛み締めながら、ゆっくりとその記憶に浸る「わたし」の温かさが印象的です。
親子の絆を印象的に描く
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でも君とだから
乗り越えられたんだよ
笑う時にね片方の目が
きゅっと閉じるとこがおんなじ
眠い時にはふくれっつらして
下唇つきだすのもおんなじなんだよ
≪オヒアの木 歌詞より抜粋≫
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たくさんの「初めて」を経て絆がどんどん深まっていく「わたし」と「君」。
続くこちらの一節では、そんな二人の確かな繋がりを印象付けるフレーズが登場します。
「君とだから乗り越えられた」という言葉には、まさに浜崎あゆみ本人の切実な思いがそのまま詰まっているのではないでしょうか。
自分の全てを捧げてもいいと思えるほどの、大切な宝物として迎え入れる新たな命。
これからの毎日に訪れるかもしれない逆境や不安も、決して拭いきることはできないでしょう。
しかし、どんなに辛いことがあっても「君」がいたから大丈夫だったと語るその表情は、きっと屈託のない満面の笑顔に包まれているはずです。
親子としてのつながりを象徴するような二人の共通点を語る「わたし」。
どうしようもなく愛おしくて、かけがえのないほどに大切なオンリーワンの宝物だからこそ、その一挙手一投足が鮮明に目に焼き付いているのでしょうね。
親から子への無償の愛を感じる
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君は君の名をいつ知るんだろうか
それとももう知ってるかな
レフアがオヒアの木に寄り添うように
優しく強い花を咲かせたように
そんな想いを込めたんだよ
≪オヒアの木 歌詞より抜粋≫
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続く一節では、タイトルにもなっている『オヒアの木』というキーワードが登場します。
主にハワイに生える赤い花の「オヒア」。同名の人物と「レフア」との美しい恋のエピソードが由来とされているそうです。
そんな言い伝えから着想を得た「想い」が込められているという「君」の名前。
「寄り添う」「優しく強く」といったキーワードからも分かる通り、決して派手ではないけれど常に周囲の人々を笑顔にできるような、素敵な人になって欲しいという願いが込められているのでしょうか。
名前は親から子へ与えられる最初のプレゼントでもあります。
将来どんな大人に育って欲しいか、あるいはどんな夢をかなえて欲しいか。そんな希望にあふれた想いをわずか数文字の中に託すのです。
この世に生を受けた喜びと同時に訪れる、これからも長い道のりが待っているという不安。
決してシンプルではない「人生」を目の前にしているとしても、親からの愛は等しく純粋で温かいのではないでしょうか。
浜崎あゆみが歌う『オヒアの木』。
ふと立ち止まって親子の関係について思い返すチャンスをくれる名曲として、今後も聴き継がれていくのかもしれませんね。
TEXT ヨギ イチロウ