「勝手にふるえてろ」とは
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映画『勝手にふるえてろ』の原作は小説「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞した作家・綿矢りさによる恋愛小説で、第27回織田作之助賞候補作。
松岡茉優の初主演映画として話題になりました。
共演には、DISH//の北村匠海や黒猫チェルシーの渡辺大知など、若さと実力に富んだ俳優陣がキャスティングされています。
2018年の第30回東京国際映画祭・コンペティション部門で「観客賞」を受賞するなど、評価の高い作品です。
メインの公開劇場「新宿シネマカリテ」の興行収入が、同館の歴代興行収入1位となる人気を見せました。
脳内恋愛とリアルな恋愛?
OLヨシカは、24年間恋愛経験ゼロ。
中学時代に片思いをしていた一宮(イチ)との「脳内恋愛」を楽しむ日々を過ごしていました。
ある日、彼女は同期の霧島(二)から、突然告白されます。
生まれて初めての告白にテンションがあがるヨシカ。
しかしイチへの思いもいまだに引きずり続けており、特に好意を持っているわけではない二との関係にいまいち乗り切れず、冷たい態度を取ってしまいます。
自分で作り上げた一方的な脳内恋愛と、リアルな恋愛の同時進行。
「私には彼氏がふたりいる」と、こじらせ女子は頭を悩ませていました。
「一目でいいから、今のイチに会って前のめりに死んでいこう」との思いが募った彼女は、同級生の名をかたって同窓会を計画。
やがて二人の再会の日が訪れますが!?
主演・原作・脚本・演出すべてがいい!
映画前半のコミカルさと打って変わった、後半の盛り上がりが見事ですよ。
中盤に訪れるどんでん返しには、ギョッとさせられますね。
それまで笑って観ていたシーンが、まるっきり違ったものに見えてくるのです。
あの前半があるからこそ、ヨシカの悲痛な泣き声がなおさら深く胸に突き刺さります。
さらに至る所に伏線を置き、きれいに回収、最後にはすべてがスッキリ。
これはぜひ、体感してほしいところです。
テンポもいいので、すっかり惹き込まれてしまいますよ。
この映画を観て、 かなり共感した人や「 恋愛ってすごい!」と心がふるえた人も多いのではないでしょうか。
こじらせ女子のドラマチックな妄想日常を描いた作品ですが、笑って、考えさせられて、こじらせ女子の可愛さに癒される、素晴らしい作品です。
思わず、暴走主人公の恋の行方を最後まで応援したくなってしまいますよ。
全国のこじらせ男女にぜひ観てほしい作品です。
実力派の演技が素晴らしい!
映画『勝手にふるえてろ』は「美人が婚活してみたら」を手掛けた大九明子が監督を担当しました。
≪キャスト≫
江藤良香(ヨシカ):松岡茉優
イチ(一宮):北村匠海
ニ(霧島):渡辺大知
月島来留美:石橋杏奈
金髪店員:趣里
最寄り駅の駅員:前野朋哉
釣りおじさん:古舘寛治
オカリナ:片桐はいり
夢見がちのこじらせ女子を、若手実力派女優・松岡茉優が熱演。映画を見てハマリ役と思った方も多いのではないでしょうか。
「こういう人いるよね」と思わせる松岡茉優の演技が素晴らしいのです。
理想の王子様像とリアルとのギャップに勝手に落ち込む主人公を、嫌味なく演じきっています。
その圧巻の演技力は、これは主演が松岡茉優でないと無理な作品だったのではと思わせるほど。
もちろん、イチ役の北村匠海や二役の渡辺大知など、他のキャスト陣の演技が素敵なことは、言うまでもありません。
愛おしい主題歌「ベイビーユー」
映画『勝手にふるえてろ』の主題歌『ベイビーユー』は、黒猫チェルシーが担当。
黒猫チェルシーは、2018年に活動を休止した4人組のロックバンドです。
本楽曲は、活動休止前の彼らの最後のシングルとなりました。
『ベイビーユー』はとてもロックなのに、どこか懐かしい感じがしますね。
ラストシーンを観てから聴くと、また愛おしさが増してきます。
優しく楽曲に抱きしめられているようで、胸がいっぱいになり、思わず泣いてしまったという人も多いのではないでしょうか。
とても温かい気持ちになる、素敵な楽曲です。
面白く、心に刺さるストーリー!
『勝手にふるえてろ』は、こじらせ女子が繰り広げるラブコメディですが、それだけではありません。
この映画のテーマは、実はもっと深いのです。
人はなぜつらい現実に向き合おうとするのか、他者や世界と関わるのか。
映画『勝手にふるえてろ』からは、このようなストレートなメッセージが感じられます。
タイトルの解釈が原作と映画では違うので、比べてみるのも面白いですよ。
きっとあなたの心にも刺さることでしょう。
今作品は、U-NEXTの動画配信サイトで無料で観ることができます。
ぜひ、映画『勝手にふるえてろ』を観てふるえてみてください。
TEXT 有紀