共同生活の中で生まれたSEKAI NO OWARI
2010年にインディーズデビューしたSEKAI NO OWARI(セカオワ)は、Fukase、Nakajin、Saori、DJ LOVEの男女4人から成るバンドです。
自分たちで作り上げたライブハウスを拠点に、共同生活を続ける中で生まれたSEKAI NO OWARI。メンバーは幼稚園からの幼馴染だったり、小学校中学校からの友達だったり。
そんなSEKAI NO OWARIの濃い人間関係に憧れを抱く人も多いのではないでしょうか。
ここからは、彼らの楽曲の中から「TOKYO FM開局50周年アニバーサリーソング」第3弾の『周波数』の歌詞の意味を考えていきます。
音楽に込められた想いはどこまでも届く
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額縁の中で笑うギター少年の君に
僕らの歌が 届かないなんて
誰も説明出来ない
≪周波数 歌詞より抜粋≫
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この曲の中では「もう会えない」「二度と話はできない」といった内容の表現があり、この最初のフレーズも、どんな「額縁」なのかが気になりますよね。
最後までその謎は解き明かされないのですが、このフレーズは反語表現になっているので「きっと、額縁の少年にも歌(音楽)が届くだろう」という意味なのでしょう。
「音楽の力」をテーマとして制作されたこの曲で、冒頭から「時空すら超えて、どんな人にでも音楽は届く」という力強いメッセージを感じます。
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目に見えないものを
信じるようになった
もう会えない人たちが
日に日に増えていくから
≪周波数 歌詞より抜粋≫
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「大人になっていくに連れてもう会えない人たちが増えていく」。
これを実感している人は多いですよね。
病気や不慮の事故で亡くなってしまったり、価値観の違いなどで憎しみ合っているわけではないけれど、お互い別々の道を歩むことになったり。
そんなときに、目に見えないものを信じることができて、「姿形が目の前になくても大切に想う気持ちが届いたらいいな」と思うこともあるのではないでしょうか。
この「想い」がセカオワにとっては「歌」なのでしょう。
だから、「どんな人にでも音楽は届く」というセカオワのメッセージは温かく心に響いてきます。
周波数が合えば、きっとまた会える
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Baby 明日も待ち合わせしよう
魅惑の深海魚になって
泳いできてよ 朝の海辺に
こっちもクロールで向かうから
≪周波数 歌詞より抜粋≫
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「もう会えない」人とも「待ち合わせ」する。
心の周波数が合えば、きっとまた会えるのでしょうね。
「魅惑の深海魚」に姿を変えてでも会いに来てくれる。そしてこちらはクロールで泳いで迎えに行く。
深海魚に会うためには、深く海に潜るという試練がありますが、想いがあればどこにでも行けるのでしょう。
これはセカオワらしいファンタジーに満ちたたとえ話で、もう会えない人とも周波数(想いの熱さ)が合えば心の世界でまた会えるのだと思います。
セカオワのメンバーは、幼いころは友達として過ごし、大人になってからは一緒にライブハウスを作って寝食を共にし、バンドメンバーとして苦楽を共にしてきました。
そんな仲の良いセカオワの楽曲だからこそ、余計に「どこまでも想いは届く」「周波数が合えば、きっとまた会える」というメッセージが深く心に刺さるのでしょうね。
相手への信頼と希望に満ちた歌詞。
間奏の飛び跳ねるような音色のピアノも明るいエネルギーに満ちていて、歌詞と呼応しています。
ぜひ、聴いてみてくださいね
TEXT 三田綾子
2010年、突如音楽シーンに現れた4人組バンド「SEKAI NO OWARI」。 同年1stアルバム「EARTH」をリリース後、2011年にメジャーデビュー。 圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感、テーマパークの様な世界観溢れるライブ演出で、子供から大人まで幅広いリスナーに浸透し、「セカオワ現象」とも···