SNSを拠点に活動する弾き語りシンガー
これまで人気楽曲のカバーをメインに活動してきたシンガーソングライター「もさを。」。
そんな彼のオリジナル楽曲『ぎゅっと。』が、中高生の間で爆発的人気を誇っています。
この楽曲は女性目線で幸せな恋愛模様を描いた等身大のラブソング。
ありふれた恋愛をストレートな言葉で綴った歌詞は、恋人との時間が当たり前でないことを気付かせてくれます。
そんな内容が多くの共感を呼び、TikTokなどのSNSでは楽曲のカバーが流行。
カバーがカバーを呼び続け、一躍若者世代の人気楽曲となりました。
2020年5月にYouTubeに投稿された弾き語り動画は、3ヶ月で約500万再生を突破。
7月27日に配信でのリリースが解禁されると、LINEMUSICのチャートで見事1位を獲得するなど勢いは強まるばかりです。
幸せに溢れた歌詞を考察
この記事では多くの共感を呼んでいる歌詞に焦点を当てて、その内容を考察していきます。
幸せに溢れた恋模様に触れて、恋愛の素晴らしさを再確認しましょう。
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手を繋ぐと体温が上がって
無邪気な笑顔につられて
変な口癖真似してみたり
寝顔をじっと眺めていたら
いつの間にか朝になってたり
≪ぎゅっと。 歌詞より抜粋≫
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歌詞冒頭から眩しいくらいに幸せな様子が描かれます。
好きな人と肌を寄せ合う幸せだったり、知らず知らずのうちに口癖が移っていたり、長く一緒に過ごしていると顔や表情が似てくるなんて話も聞きますよね。
実際の口癖でなくてもラインで使う文章が似てきたり、同じ絵文字を気付かないうちに使っていたりと様々な幸せがあるはずです。
初めて一緒にベッドに入る緊張や自分にしか見せない寝顔を眺める幸せは、心に深く刻み込まれているでしょう。
何気ない日常に幸せを見出す
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特別はたまにでいいよ
何気ない日常が私にとって大切で
側に居るだけでわかるの
心からあなたが好きなんだ
素直になれないワガママな私だけど
≪ぎゅっと。 歌詞より抜粋≫
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何気ない日常を大切に思うことは、案外難しいことです。
いつも一緒にいることが当たり前になって、感謝の気持ちを忘れてしまったり幸せが薄れてきたり。
恋愛でなくても、友達や学校での日々といった普段の日常を当たり前だと認識してしまうと中々大切に思うことはできません。
破局や仲違いの原因は、この認識の差で起こることも多いように思います。
この歌詞では「特別はたまにでいいよ」と何気ない日常の幸せをしっかりと理解し、受け止めているから「心からあなたが好き」なことに気付けたのではないでしょうか。
「素直になれない」というフレーズが、この気持ちが素直なものであると逆説的に示しています。
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あなたの大きな身体でぎゅっと。
抱き寄せて離さないで
柔らかくて優しい声で
あたしの名前を呼んで
それだけで私は幸せだから
ひとつ願いが叶うのなら
あなたとこれからもずっと
ずっと隣に居れますように
≪ぎゅっと。 歌詞より抜粋≫
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タイトルも登場するサビの歌詞では、好きな気持ちが溢れる「願い」が綴られます。
人気のデートスポットに足を運んだり、誕生日やイベント事にプレゼントを送ることは付き合っていれば自然なことですよね。
ですがデートに行けなかったり、プレゼントが安物だった時に少し好きな気持ちを疑ってしまったことはないでしょうか?
心の中では関係のないことだとわかっていても、好きな気持ちに影響が及んでしまうのは、私たちの恋愛にこのような文化が深く根付いている限り仕方のないことです。
それを踏まえると「抱き寄せて」「名前を呼んで」というシンプルな願いからは、愛の深さを感じませんか?
恋人が隣に居てくれる幸せに気付き、自分の気持ちを信じることができたのならば、きっとこの歌詞のような恋愛ができるはずです。
「私」と「あたし」?細部へのこだわり
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あなたの大きな身体でぎゅっと。
抱きしめて離さないで
暖かくて優しい瞳で
あたしだけを見つめていて
それだけで私は幸せだけど
今日はあたしがぎゅっと。させてね
ひとつだけ伝えたいことがあるの
これからもずっと大好きだよ
≪ぎゅっと。 歌詞より抜粋≫
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この歌詞に目を通した時に、何か気付いたことはないでしょうか?
実は、歌詞中での一人称が「私」と「あたし」で使い分けられているのです。
もさを。は主語を使い分けている理由を「私が自分の気持ちで、あたしが彼に対する気持ち」と発言しています。
確認してみると、確かに「私」の時は自分の気持ちを描く時に使われており「あたし」は彼が絡んでくる描写に使われていますね。
また「からだ」の漢字を「体」ではなく「身体」と表記している理由についても「身体なのは身も心も、って意味」と語っています。
このような細部にまで恋の情景を描くこだわりが張り巡らされているからこそ、この楽曲は大きな人気を獲得したのでしょう。
聴けば聴くほど新たな発見がありそうなラブソング『ぎゅっと。』。
アコースティックギターによって紡がれる切ない歌詞に注目してみてください。
TEXT 富本A吉