夢へと誘う危険なナンバー。MONKEY MAJIK、空想が生み出したハッピーエンド。

もし、夢の中なら…

夢の中でなら、自分の願いは何でも叶う。空を自由に飛ぶ事ができ、有名人にだって会えてしまう。望めば、好きな物を簡単に手にいれる事ができるのだ。

例えば、仕事が忙し過ぎて恋愛どころじゃない独身女性だって、夢の世界では素敵な彼氏がいるかもしれない。

そんなあなたにオススメのドラマと楽曲を紹介しよう。

妄想が満載！ドラマ「パーティは終わった」

ドラマ「パーティは終わった」は、売れっ子漫画家：十朱という1人の女性を主人公に、5人の男性による5つのエピソードからなるショートドラマである。もちろん全ては彼女の妄想であり、実際に付き合っているというわけではない。

今を時めく男性俳優陣が見どころで、この特徴からソーシャルゲームにもなっている。1話約5分、全31話の果てしないように感じるがゴージャスで現実感のない雰囲気から、あっという間に過ぎる夢のような感覚を味わえる。

十朱の世界を拡げた楽曲「夢の世界」

この十朱の妄想世界なドラマ主題歌を担当したのが、MONKEY MAJIK。楽曲である『夢の世界』は主題歌でありながら、彼らの通算6枚目のアルバムとなる「westview」にひっそりと収録されている。

PVはMONKEY MAJIKだけのものと、ドラマの映像をミックスしたスペシャルバージョンの2種類。ドラマ自体はレンタルDVDのみでしか取扱いがないので、見逃した人はスペシャルバージョンをオススメする。

詩のような描写が美しい「夢の世界」

----------------
わからない
待ちすぎたのかな
もう哀しい終わりが
見えすぎて
美しい
想い出に浸り
頬をそっと涙が
流れていく
≪夢の世界 歌詞より抜粋≫
----------------

----------------
あなたに はじめて
出逢ったあの夜
もっと強く抱きしめて
離さないで
ねえ 夢の世界つれていって
≪夢の世界 歌詞より抜粋≫
----------------

『夢の世界』は、詩のような歌詞が特徴である。別れてしまった後なのか、相手への想いを歌いながらそれは全て過去の事で悲しい。それなのに、戻ってこない相手を主人公は待っている。

“何かが起こるのを”
“ただ待ち続けている”

相手と約束をしているわけではない。

それなのに、これでは来るのを信じて疑っていないようである。夢というのは自分にとって優しいものである分だけ、麻薬のような中毒性が高い。こうあって欲しい願望を見せるのだから、心が囚われやすいのだ。

ただ待っている、それだけの事なのに危うさを感じてしまうのは、現実と夢の境が曖昧に見えるからだ。

そんな日本語の歌詞と対照的なのが、英詩である。

“I wanted to know”
(私は知りたかった)

“Exactly how this fantasy becomes a happy ending”
(だって、空想はハッピーエンドだから)

このように日本語の歌詞から夢見がちな人物として描かれる主人公の心情が、英詩では紡がれている。しかし、これでは相手が来ない事をわかっていながら待っているという事になる。

夢だから抱く想い

夢だからこそずっとみていたい想いと、夢だからこそ終わらせなければいけない想い。そんな相反する気持ちを抱えた主人公は、待ち人に会うことができたのだろうか。会えたとしても果たして現実での出来事だったのだろうか、それとも…。

カナダ人兄弟のツイン・ギターボーカルと、日本人2人のリズムセクションからなるMONKEY MAJIK。そんな組み合わせからこだわりとしてメンバーみんなの声を入れようと、日本語の歌詞は日本人メンバーが担当している。

つまり、英詩と作詞者が違うので『夢の世界』のようにミステリー小説さながらの面白さが出てくるのかもしれない。



夢が持つ危うささえも、美しいものに変える彼らの楽曲にこのまま、連れていって欲しいと思ってしまう事もあるだろう。しかし、夢に勝るとも劣らない美しさが現実にあるというのも事実だ。

どうか聴く時は夢の世界に嵌り過ぎないように。

夢の世界 歌詞 全文

TEXT:空屋まひろ