家は大事にすべきモノ
お家がとても居心地がいい。これは非常に大事なことだ。外出して出かけても帰る場所がある。居心地のいい空間がある。
人によっては、さらに「おかえり」と自分以外の誰かが居て、出迎えてくれる…。これは家にしか重大なことだ。
産休からの復帰作『Home Sweet Home』
YUKI、7枚目のシングル『Home Sweet Home』は、帰途につく時間帯に似合いの楽曲である。もとはアニメ映画「劇場版 NARUTO-ナルト-大活劇!!雪姫忍法帖だってばよ!!」の主題歌、そして九州電力のCMソング。YUKIにとってはm産休を挟んでの1年5ヶ月ぶりとなる新作シングルだった。
だが、休んでいたことを微塵も感じさせない実力で週間オリコンシングルチャート最高9位を獲得。
「スタンドアップ!シスター」以来となる、オリコンチャートTOP10入りを果たした。
本来在るべき「家」が詰まっている
外の世界は目新しいもので溢れていて、夜でも明るく出歩くのに抵抗がない現在。お金があれば、温かいご飯も食べれるしホテルに泊まることだってできる。家には帰って寝るだけ、そんな生活サイクルの人は多いはず。しかし、家というのは生活感のない無機質な入れ物ではないのだ。
忘れられつつある、家の本来在るべき姿。それが、この曲で示されているのだ。
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歩きつかれて ふりだす雨
つかみそこねた うさぎを追って
あなたの目は 透きとおる
暗い 海の底で 息をしている水
わたしを呼んで 呼んで
ここにいるよ
どこへ行けば 行けば
満たされるの?
≪Home Sweet Home 歌詞より抜粋≫
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大人の心にもぶっ刺さる歌詞
バラードなこの楽曲は、劇場アニメで起用されながら子供に付き添ってこの映画を観るであろう大人にこそ印象に残る。YUKIの透明感のある真っ直ぐな声に、満たされない自分を見抜かれたような気分になるからである。
それなりに好きなことができて、自分や家族を食べさせていける生活を保障される代わりに、仕事や家事育児に追われる日々。
名前を呼ばれないまま、終わる1日だってあるかもしれない。
けれど、それはもう日常を構成する歯車の1つでしかなくなってしまう。
人は歯車ではないからこそ、満たされないし名前を呼ばれたいと思うはずだ。家の本当の姿は、そんな欲求の全てを無条件に受け入れてくれる場所である。
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大丈夫って笑っているかな
名前を呼んで 呼んで
抱きしめるよ
思い出して 目を閉じて
幼い頃
≪Home Sweet Home 歌詞より抜粋≫
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心が緩む甘い空間
疲れたり、悲しくなったり、イライラしてしまったり…そんな時、外で気分転換をすることも大切だ。ただ、人の視線を気にしないで思いっきり泣ける場所というのは家だけである。
取り繕った自分を脱いで、素にもどれる甘い空間。
そんな空間があるからこそ、大丈夫ってまた笑顔になれるはずだ。
この曲を聞いて、どうか思い出してみてほしい。
幼いころ、友達とケンカして泣いた時。
悪いことをして怒られるとわかっていてもなぜ、家へ帰ろうと思えたのか。
またどうして「明日も頑張ろう」なんて思えるようになるのか。
答えは簡単、帰るべき場所があったから。
名前を呼んで抱きしめて、誰かが笑って迎えてくれる。自分だけの空間で心を休めて「明日の準備」ができる。だから、人は家へ帰ろうと思うのだ。
TEXT:空屋まひろ