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「凍るサマー」の歌詞を考察!夏の記憶を辿った先に見えた「凍る夏」の正体

夏の終わりに投稿されたボカロ曲『凍るサマー』。「夏」を意識したこの楽曲は、なぜ『凍る夏』といった意味を持つタイトルがつけられたのでしょうか。その謎に迫るべく、楽曲の歌詞の意味を考察します!

振り返る、少年時代の夏

▲Guiano - 凍るサマー (feat.flower)

2019年8月31日。

夏の終わりに投稿されたボカロ曲『凍るサマー』。

ボカロPでありYouTube発のクリエイティブレーベル「KAMITSUBAKI STUDIO」所属の作曲作詞家でもある『Guiano』が制作した楽曲。

電子音が紡ぐ涼やかな曲調と澄んだflowerの歌声、さらには実写で撮られたMVの美しさが高い評価を受けている、人気の楽曲となっています。

「涼しい夏の歌」「寂しい感じがする」などと言った感想も多く飛び交うこの楽曲。

なぜそのような感想を抱くのでしょうか。

そして、なぜその楽曲のタイトルは「凍る」「夏」なのか。

歌詞の意味を紐解きながら、考察してみましょう。


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君はまだ覚えてるか あのひと夏の出来事
君も僕も何も知らない少年だったこと
今となっちゃ忘れたいことも忘れて 日々だけがただ過ぎ去って
眠り続ける僕を叱る人だっていない
≪凍るサマー 歌詞より抜粋≫
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この楽曲の主人公は、自分が少年だった頃の夏を思い出している最中のようです。

ここから、主人公が少年時代を懐かしむ「大人」にあたる年齢の人物であることが推測できます。

「覚えてるか」と「君」に問いかけているところから見ても、「君」も主人公と同様に大人であると思われます。

続く「今となっちゃ」という歌詞からは、そんな大人である現在の自分の日々と、少年時代の頃を比べている様子も感じられます。

「眠り続ける僕を叱る人」というのは、きっと両親のことなのでしょう。

大人になり、何事も自分1人の力で行わなければいけなくなってしまった「今」と、大人に助けて貰えた子供の頃との対比に捉えることができます。

大人になった今の方が仄暗い印象を受けるのは、もう無邪気な童心ではいられないからなのでしょう。


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空に浮かぶ青に いつか見た景象に 思い出してくれよ
変わっちゃたねなんて 君は僕に言うんだ 思い出してくれよ
≪凍るサマー 歌詞より抜粋≫
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思い出に浸る主人公に「変わっちゃったね」と言う「君」。

少年の頃と大人の今を比較した言葉のようにも感じられますが、同時にどこか子供の頃のような自分にはもうなれない。

大人になってしまった自身達のことを、皮肉っているようにも思えます。

もしかしたら「君」と「僕」は、久しぶりに再会した友人同士なのかもしれません。

久しぶりに出会った旧友同士。

けれど、記憶にあった頃とは随分と変わり、大人になってしまった自分達の姿に寂しさを覚えているのかもしれません。

この曲にどこか物寂しさを感じてしまうのは、こういった主人公と君の背景があるからなのかもしれませんね。

変わりゆく毎日の中にある、変わらないもの


しかしその中で、主人公は繰り返し「君」に「思い出してくれよ」と歌っています。

どうやら主人公は「君」にも、かつての夏のことを思い出して欲しいと願っているようです。

なぜ「君」にも夏を思い出して欲しいのでしょうか。

それについては、続く2番のAメロで歌われていました。

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君はまだ覚えてるか あのひと夏の出来事
失うものなんて一つもない 日々を消化するだけの日々
それでも音は美しくあって 映る景色には花が咲いて
泣いたことも笑ったことも正しいと思えた
≪凍るサマー 歌詞より抜粋≫
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「日々を消化するだけの日々」という仄暗い大人としての今。

けれど、続く歌詞からは、その中においても昔と変わらず「音」や「花」と言った美しいものは変わらずあり続けていることが歌われています。

昔と比べて暗くなった日々でも昔と変わらず泣くことも笑うこともでき、その全てが決して間違いではない、「今」だって悪いものばかりではない、と説いているような歌詞です。

1番で「君」は「変わっちゃったね」と主人公に言っています。

まるで大人になってしまった現状に失望しているような彼に、変わりゆく毎日の中にも、変わらないものもあることに気づいて欲しいのかもしれません。

そして気づいてもらうために、主人公はある行動を取ったようです。

「凍るサマー」のタイトルが表すもの


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生まれた意味だって知らないまま 君のことをただ詞に書いた
今はもう遠い 遠い記憶 凍る 凍るサマー
君はさ世界を知りすぎたのさ それは良いことだけじゃない
今はもう凍る 凍るサマー 凍る 凍るサマー
≪凍るサマー 歌詞より抜粋≫
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サビの冒頭にて綴られている歌詞「君のことをただ詞に書いた」。

これが主人公が「君」に対して取った行動のようです。

つまり、あの夏を思い出してもらうために、主人公は曲を作ったということなのでしょう。

そして、それがきっとこの楽曲『凍るサマー』だったのではないでしょうか。

サビの中では「凍るサマー」と歌詞が繰り返し歌われているフレーズがあります。

この「サマー」というのは、主人公が「君」に思い出して欲しい夏の記憶のことを指しているのでしょう。

「今はもう遠い」昔の夏の記憶。

「凍る」とは、そんなもう戻ることができない、永遠に自分達の記憶の中で時間を止めてしまった、昔の記憶を示す言葉として使用された言葉だったのかもしれません。

そんな「君」のことを思い綴られた楽曲の最後は、このような歌詞で締めくくられています。


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見つけて愛を 君が 君だけが持てる愛を
見つけて愛を 君が 君だけが持てる愛を
≪凍るサマー 歌詞より抜粋≫
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この「愛」とは、恋愛の意味とはきっと違う意味をもった言葉なのでしょう。

毎日をただ消化するだけの日々の中でも、大事にしたいと思えること、毎日を生きようと思えるような何か、そう言ったものを見つけて欲しい、という主人公の願いのように感じられます。

生きることに必死になればなる程、忙しくなる日々。

そんな毎日の中では、小さい頃はあったはずの純粋な何かを忘れてしまうのは、仕方ないことなのかもしれません。

ですが、そんな時ほど、一度その何かを思い出すことが大事なのかもしれません。

『凍るサマー』は、そんな失いかけた大事な何かを私達に思い出せてくれるメッセージで溢れた楽曲と言えるでしょう。


TEXT 勝哉エイミカ

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