SEKAI NO OWARI「マーメイドラプソディー」。映画「海月姫」の主題歌だった曲です。映画は東村アキコの同名漫画が原作。ヲタク女子が集まるアパートが舞台。そのアパートの取り壊しに反対するためヲタク女子達が立ち上がるストーリー。
海月と連動しているマーメイドというタイトル。さらに歌詞も映画の内容と呼応しています。不自由な環境が好きな人魚が、やがて硝子の外の世界に出る歌詞。能年玲奈演じる主人公とその仲間が、自分達の世界を守るために奮闘するストーリーと重なるようにできています。
「マーメイドラプソディー 煌めく不自由なダンスホールに もう一度会いにきてね」
というサビは、後半で
「マーメイドラプソディー 煌めく自由なダンスホールに 次はわたしが会いに行くわ」
に変わります。
慣れ親しんだ環境から新たな外の世界へ旅立つ歌詞。
「人と魚の半分ずつ 人魚という名前の彼女は 珍しい生き物 硝子に囲まれて育った」
この歌詞から始まるストーリー。いわゆる人魚の説明の箇所をNakajinが歌います。
「ねえ教えてよ 「自由」はどんなものなの? わたしは貴方が会いにきてくれる 「不自由」なこの場所が とても好きだわ」
この人魚の台詞部分からFukaseになります。
ボーカルを分けることによって歌詞の上での物語を明確にしている構成。水中で録音した音を使うなど実験的な要素もあります。
東村アキコ原作、能年玲奈主演、セカオワ主題歌の「海月姫」。これだけのヒット要因をおさえながら、実は映画は興行的には苦戦しています。各サイトの映画満足度レビューを見ても平均点はそこそこ高く、映画としての評価は悪くありません。ただどうしても年末年始のタイミングで埋もれてしまった感はあります。
色々な衣装を着る能年玲奈、気弱な雰囲気を出すのがうまい長谷川博己、女装が似合い過ぎな菅田将暉、違和感のないアジアン馬場園、誰だか分からない池脇千鶴、張り切っている片瀬那奈などキャストだけでも見どころ満載なのですが、興行成績は「不自由」になってしまいました。
映画のラストでこの主題歌が流れ、映画は一つのファンタジーとして完結します。現実的にはシビアな数字をつきつけられたこの映画。しかし今後、この映画が主題歌の中の人魚のようにもっと「自由」な存在になれることを期待しています。海月姫がマーメイドラプソディーとともに、今後も「純白のダンス」を踊れますように。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)
2010年、突如音楽シーンに現れた4人組バンド「SEKAI NO OWARI」。 同年1stアルバム「EARTH」をリリース後、2011年にメジャーデビュー。 圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感、テーマパークの様な世界観溢れるライブ演出で、子供から大人まで幅広いリスナーに浸透し、「セカオワ現象」とも···