原作は東野圭吾の傑作ミステリー小説!
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2008年に公開された映画『容疑者Xの献身』は、福山雅治主演の人気ドラマ『ガリレオ』初の劇場版作品として注目を集めました。
原作はミステリー作家・東野圭吾のガリレオシリーズ第3弾の同名小説。
『本格ミステリ・ベスト10 2006年版』『このミステリーがすごい!2006』『2005年「週刊文春」ミステリベスト10』においてそれぞれ1位を獲得した、ミステリー小説の傑作です。
映画興行収入は49.2億円を記録し、日本アカデミー賞では話題賞作品部門を受賞。
後に韓国や中国でリメイク版や舞台版が制作されました。
この映画が多くの人を惹きつけた理由とは何でしょうか?
その魅力に迫っていきましょう。
大ヒットTVドラマを少しおさらい
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主人公は、天才的な頭脳を持つ物理学者で、大学准教授の湯川学です。
頭脳明晰で容姿端麗、スポーツ万能、女子生徒から大人気の彼ですが、周囲からは「変人ガリレオ」と呼ばれていました。
そんな彼が新人刑事の内海薫からの依頼を受け、まるで超常現象のような不思議な難事件に挑みます。
事件のトリックを論理的に解明し、全ての謎を解き明かす理系ミステリー作品です。
映画「容疑者Xの献身」のあらすじ
天才数学者でありながら高校教師として淡々と過ごしていた石神哲哉は、一人娘と暮らす隣人の花岡靖子に密かな思いを寄せていました。
別れた元夫・富樫慎二につきまとわれ迷惑していた靖子は、ある日娘と衝動的に彼を殺してしまいます。
戸惑う二人の前に石神が現れ、事件の隠蔽工作に手を貸します。
翌日、惨殺死体が発見され身元が富樫慎二と判明。
警察は元妻の靖子を疑いますが、彼女は娘と死亡推定時刻にアリバイがあったため捜査は難航します。
警視庁の内海薫と草薙俊平は、帝都大学理工学部の准教授・湯川学に捜査協力を求めました。
当初は事件に興味がなかった彼ですが、靖子の隣人が大学時代の友人・石神だと知り動き出します。
解き明かされていく意外な隠蔽トリックに驚愕するでしょう。
切ない気持ちでいっぱいになるラストシーンは、登場人物達につられて涙がこみ上げます。
謎が解けた後に涙が溢れる名作ミステリー映画です。
計算し尽くされたトリックとストーリーが実に素晴らしい
映画の見どころは、意表をつくトリックと切ない愛のドラマです。
登場人物達の思考や感情が複雑に絡んでいて、ミステリーとしても人間ドラマとしても見応えのある作品に仕上がっています。
特に、巧妙な隠蔽の手口は私たちの予想を超える方法で驚かされます。
計算し尽くされたアリバイ作りに息をのむでしょう。
序盤からトリックに繋がる台詞や描写もきちんと伏線として描かれているので、もう一度確認しながら観るのも面白いですよ。
さらに今作の素晴らしい点は、数学と人間ドラマを見事に連携させたテーマにあります。
そのテーマとは「四色問題」です。
四色問題とは「隣接する領域が異なる色になるように塗るには4色あれば十分である」という定理を証明する数学問題です。
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その前提である「隣同士違う色でなくてはならない」が、物語の肝になっています。
石神は、同じアパートの隣人である靖子に淡い恋心を持ち、自分も罪を背負うことで彼女と同じ色に染まってしまうのです。
愛する女性とその娘を守るため、彼女達が罪を問われることなく幸せになることを願った彼は最後にある決断を下します。
クライマックスでタイトルの意味に気づいた時、「四色問題」に隠された切ないテーマに涙するでしょう。
最強スタッフ&最高キャストがあなたを誘う!
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映画『容疑者Xの献身』は、TVドラマシリーズのスタッフとキャストが結集しました。
監督はドラマ『白い巨塔』、映画『マチネの終わりに』などを手がけた西谷弘。
脚本家はドラマ『HERO』、大河ドラマ『龍馬伝』などを手がけた福田靖です。
キャスト陣も豪華で素晴らしいですよ。
湯川学を演じるのは、TVドラマに引き続き福山雅治が熱演。
親友と再会した時の笑顔や悔し涙をこらえる姿など、多彩な表情を見せてくれます。
物語の鍵を握る石神哲哉役の堤真一の演技は、素晴らしいの一言に尽きます。
石神哲哉は、人生に絶望していた中、恋に狂ってしまった純粋な心を持つ天才数学者という役どころ。
そんな冴えない性格の彼を見事に演じきっています。
彼が思いを寄せる花岡靖子を演じたのは、女優・松雪泰子。
容疑者である彼女に、感情移入してしまった方も多いのではないでしょうか。
彼女の演技力の高さが分かりますね。
また、柴咲コウ演じる内海薫刑事や、北村一輝演じる草薙俊平も登場しています。
豪華俳優陣が素晴らしい演技で魅せてくれているので、映画にぐいぐい引き込まれますよ。
まっすぐな愛が心に沁みる主題歌「最愛」
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主題歌『最愛』を歌うのは、KOH+。
内海薫演じる柴咲コウと福山雅治による音楽ユニットで、ドラマ『ガリレオ』のテーマソング制作のために結成されました。
作詞・作曲は福山雅治が担当し、ギターやコーラスも彼が担当しています。
ストリングスやピアノの伴奏や柴咲コウのゆっくり聴かせる歌声に心が洗われていきます。
じっくり聴いていると、石神がどれだけ花岡靖子を一途に大切に思っていたか想像できます。
特にサビの「愛さなくていいから ここから見守ってて」から、手の届かないところにいる彼女を慕う気持ちがまっすぐ伝わってきて、心に沁みます。
また、彼女を慕うとめどない気持ちを「落ちては溶ける粉雪」と表しているところも、儚さや切なさがあって素敵な表現ですよね。
そんなまっすぐでピュアな気持ちを乗せた、切なくて温かい歌声に泣けてきます。
たとえ離れてもいつまでも大切にしたい彼女への愛を歌い上げた、切なく美しいラブバラードです。
究極の愛を描いた最高のミステリーをあなたも
ガリレオシリーズ屈指の傑作ミステリー映画『容疑者Xの献身』。
台詞や映像描写に伏線が組み込まれている完成度の高いミステリーと究極の愛を描いた作品です。
愛する隣人を守るため自分の知能を悪事に利用し、愛を貫こうとした石神。
そんな彼から愛の力の凄まじさをまじまじと感じられるはずです。
この映画を観れば、純真で胸が苦しくなるほどの愛があることに感動できるでしょう。
その切なさが温かく胸に沁みてきて、観てよかったと感じられるはずです。
ぜひ、最高に美しくて切ない愛を体感してみてください。
TEXT Asakura Mika