「空飛ぶタイヤ」とは
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映画『空飛ぶタイヤ』の原作は、人気ドラマ『半沢直樹』『下町ロケット』などで有名な、直木賞作家・池井戸潤の社会派小説。
原作小説は、第28回吉川英治文学新人賞、第136回直木三十五賞候補作で、2010年には韓国語版も刊行されました。
2009年にTVドラマ化となり、2018年には映画化されました。
これまで数多くの小説がTVドラマ化され、社会現象を巻き起こしてきた池井戸潤ですが、実は映画化はこの作品が初めてなのです。
彼にとって、記念すべき、初の映画化作品となりました。
運送会社社長が巨大企業に挑む!
ある日、トラックを走行中にタイヤが外れてしまい、歩道にいた女性に直撃。
死亡させてしまうという事故が発生します。
運転手は父親の後を継ぎ運送会社を経営する赤松徳郎。
事故原因は整備不良のせいとなり、人を殺したという汚名を着せられます。
彼の息子は学校でいじめに合い、取引先からは断られ、銀行は手を引き、警察からは睨まれ、会社は倒産寸前の状態で従業員が不安におびえる日々。
しかし彼は、事故原因は整備不良ではなく部品の構造的な欠陥ではないか、という疑惑を抱いていました。
疑惑の相手は、トラックの販売元である巨大企業の自動車会社。
自社の無実を信じる彼は、家族と従業員のために、巨大なグループ企業に潜む闇に戦いを挑みます!
息をのむストーリー展開に引き込まれる!
映画『空飛ぶタイヤ』はテンポ良く進み、最初から最後まで目が離せないストーリー展開になっています。
死亡事故を起こしたと非難される運送会社社長と、原因をひた隠す自動車企業。
自分たちと世間のどちらが正しいのか、負けてしまったらすべてが終わってしまうのではないかと悩み、葛藤しながらも、必死に前に進む赤松。
従業員や被害者側の心情、自動車企業との思考の違いが映像からひしひしと伝わってくる素晴らしい作品です。
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自分の罪を認めたほうが楽なのか、従業員を危険にさらしながら正義のために戦うことは正しいことなのか。
思い惑いながらも従業員やその家族の生活を背負って、人の命をもてあそぶ大企業と戦い続ける赤松の姿が、胸に刺さります。
大企業という閉鎖的な組織の中で、自分の中の正義を持つ沢田。
正反対のふたりの男が、それぞれのやり方で巨悪に立ち向かう展開がハラハラさせられます。
本作品は、ガツンと見ごたえのある映画になっています。
観終わって、スカッとするのか、ほろ苦さを感じるのか。
あなたは、いったい、どちらでしょうか。
俳優陣の演技が素晴らしい!
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映画『空飛ぶタイヤ』は『居眠り磐音』を手掛けた本木克英が監督を担当。
脚本担当は『永遠の0』で第38回日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞した林民夫。
音楽は、映画『八日目の蝉』で第35回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した安川午朗が担当しました。
≪キャスト≫
赤松徳郎:長瀬智也
沢田悠太:ディーン・フジオカ
井崎一亮:高橋一生
赤松史絵:深田恭子
高幡真治:寺脇康文
榎本優子:小池栄子
重厚で息もつけない展開と配役が素晴らしいです。
主演の長瀬智也は熱血ぶりをおさえ、ほとばしる演技が素晴らしく、存在感があります。
また、多くの主役級俳優陣が次々と登場し、重厚なプロットに負けない、力強い演技を見せ、見ごたえがあります。
もちろん脇役の演技も素晴らしく、非常に完成度の高い作品となっています。
主題歌「闘う戦士たちへ愛を込めて」
映画『空飛ぶタイヤ』の主題歌『闘う戦士たちへ愛を込めて』は、サザンオールスターズが担当。
サザンオールスターズと言えば、日本全国で名前を知らない人はほとんどいないであろう、国民的バンドですね。
『闘う戦士たちへ愛を込めて』は、オリコン週間デジタルシングルランキングで、発売日からわずか3日間の集計にもかかわらず1位を獲得。
また、文化庁メディア芸術祭では、エンターテイメント部門審査委員会推薦作品となりました。
この楽曲は、桑田佳祐がこの映画を観た時の気持ちのまま書き下ろしたもの。
「しんどいね 生存競争(いきていくの)は」という歌詞が、胸を突きますね。
グサッと刺さると同時に、共感する人も多いのではないでしょうか。
この世界は、社会という名の戦場。
そこで戦い勝ち続けるのは至難で、さらに勝利の先に何があるのかと自問しながら、戦い続ける人たちへ惜しみない愛を歌っています。
映画『空飛ぶタイヤ』の主題歌にピッタリの曲であり、映画を離れても心揺さぶられる名曲です。
心に刺さるストーリーに何を想う?
『空飛ぶタイヤ』は、気持ちが震える熱い作品です。
観た人は、あっという間の2時間だったと感じることでしょう。
従業員と家族を背負って、巨大企業と戦う赤松。
とても人間味のあるドラマとなっています。
きっとあなたの心にも刺さることでしょう。
ぜひ、映画『空飛ぶタイヤ』をご覧ください。
TEXT 有紀