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映画「Fukushima 50」東日本大震災の裏で奮闘した男たちのヒューマンドラマ

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実話をもとに製作された映画『Fukushima 50』。東日本大震災による福島第一原子力発電所のさらなる事故を防ぐため、命を賭けて奔走した男たちの真実を描くヒューマンドラマです。記憶に残しておきたい本作の魅力を紹介します。

東日本大震災の真実を映し出す衝撃作品


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2020年公開の映画『Fukushima 50』は、2011年3月11日に起こった東日本大震災の実話を描いたヒューマンドラマです。

原作は幅広い分野のノンフィクション作品を書いている、門田隆将の著書『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』です。

関係者90人以上を取材し、実名証言でその時の被害の様子やトラブルについて衝撃の真実を記しています。

この難しいテーマを、日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞した経歴をもつ若松節郎監督が、1つの映画作品として製作しました。

タイトルの『Fukushima 50』とは、福島第一原子力発電所に残った約50人の作業員たちを指す海外メディアによる呼称です。

本作は世界73ヶ国でも上映され、力強い映像とストーリーに多くの人が高評価をつけています。

壮絶な真実を描く本作のあらすじや見どころを紹介します。

映画「Fukushima 50」のあらすじ

▲映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)予告編

2011年3月11日、午後2時46分。

マグニチュード9.0、最大震度7という日本の観測史上最大の地震が発生し、誰も想定していなかった大津波を引き起こしました。

津波による大きな被害を受けたのは福島第一原子力発電所、通称イチエフです。

浸水で全電力を失ったため原子炉を冷やせず、この状況が続けば原子炉の重大事故であるメルトダウンが起き、さらなる甚大な被害に繋がってしまう。

1号機と2号機の当局長を務める伊利夫と現場作業員たちは、原発内に留まり原子炉の制御に奔走

全体指揮を取る所長の吉田昌郎は必死の部下たちを鼓舞する一方、現場の状況を理解していない本店や官邸からの指示に声を荒らげます。

ところが、事態は悪化し周辺住民たちは避難することになります。

官邸が打ち出した試算では、最悪の場合、被害範囲は東京を含む半径250㎞、対象人口は約5,000万人。

万が一現実になれば、東日本が壊滅することになるのです。

彼らに残されている手は、世界的に見てもまだ実施経験のない「ベント」という作業を行うこと。

それは作業員がその身ひとつで原子炉内に突入し手作業で行うもので、死と隣り合わせの任務です。

外部との遮断で何一つ新しい情報が入らない中、決死の作戦が始まります。

避難所で待つ家族を思いながら日本のために命を賭けた男たちの、壮絶な真実が描かれています。

演技派俳優陣の熱演に心が震える



本作の主演は、日本映画に欠かせない名俳優の佐藤浩市が務めています。

現場で指揮を執る当局長として仕事への信念を持ちつつ、家族への想いとの狭間で葛藤する様子を重みのある演技で表現。

冷静に仲間をまとめながら、時に情熱的に鼓舞して士気を高める理想の上司像を見せてくれています。

唯一実名で登場する吉田所長を演じるのは、国内外で高い評価を受ける渡辺謙

難しい用語が多い長ゼリフのために何時間も練習して挑んだそうです。

本人役を演じるため役作りも徹底していて、見学に来た職員からは「後ろ姿は本人かと思うほどで、のりうつったかのようだ」と絶賛されていました。

さらに吉岡秀隆、安田成美などの主要キャストの他に、120人ものエキストラが参加し、ストーリーを支えています。

ラストの5日間を数週間かけて時系列に合わせて撮影したそうで、ひげが伸び徐々にやつれていく姿に、不眠不休で働いた作業員たちの心労が伝わるでしょう。

キャストたちの体当たりの演技に、きっと釘付けになりますよ。

当時の空気を感じるリアルなシーンの数々が圧巻



本作の見どころは、実際の東日本大震災の様子を忠実に再現しているところです。

メインの舞台である中央制御室と緊急時対策室は、東京の角川大映スタジオにセットを組んで撮影。

計器のデザインから壁の色、テーブルの配置まで忠実に再現されていて、関係者が驚いたほとの再現率だったそうです。

爆発時に天井の板や蛍光灯が降ってくるシーンでは、ワイヤーを使い手動で落下させるという失敗できない演出で、当時の様子を描写しています。

また、常に時計が映し出される演出により時間の経過が強調されていて、状況の緊迫感が一層伝わってきますよ

さらに日本映画で初めてアメリカ軍の協力を得て、在日アメリカ軍横田基地での撮影や基地内で勤務する兵士たちもエキストラ出演しました。

原発以外の部分もリアルさを追求して製作されているため、当時の様子を見ているような感覚を味わえるでしょう。



そんなリアルな背景の中で描かれる人間模様も見逃せません。

未曾有の出来事に全員がパニックを起こした極限状態で、家族を想い、仲間と思い合った作業員たちの力強い生き様を見ることができます。

人が結束して1つになった時、驚くような力を発揮し、困難に立ち向かえるということを実感できるはずです。

現場作業員だけでなく彼らの家族も、離れた避難所で彼らの心を支えている様子も胸に迫ります。

そして同時に、原子炉を最も理解していたプロでさえどうすることもできなくなるほどの、自然界の持つ威力について考えさせられるでしょう。

年々、大規模な災害が日本各地で頻発しています。

東日本大震災が自然をないがしろにしてきた代償であるとしたら、すべての人がこれから起こるかもしれない災害に備えて何ができるかを考えていかなくてはならないでしょう。

本作は過去の出来事を通じて未来を考えるきっかけになる作品と言えます。

「ダニーボーイ」は家族の愛を歌う主題歌




本作で音楽を担当するのは、作曲家であり指揮者の岩代太郎です。

世界的ヴァイオリニストの五嶋龍、日本きっての女性チェリストの長谷川陽子、東京フィルハーモニー交響楽団、テンプル教会少年聖歌隊が集められ、荘厳な音楽で映画をより味わい深いものにしています。

なかでも『ダニーボーイ』は、本作の主題歌にふさわしい1曲です。

この曲は伝統的なアイルランド民謡『ロンドンデリーの歌』のメロディに、フレデリック・エドワードが歌詞をつけたもの。

去って行った息子のことを思う親の心境をつづった歌詞は、作業員たちの帰りを待つ家族の心情と重なります。

悲しくも優美なヴァイオリンと力強いチェロ、歌詞にも登場する「バグパイプ」を模したイングリッシュホルンの音色が心に響くでしょう。

たとえそばにはいられなくても愛し合う家族の姿と楽曲が見事にマッチし、深い感動を与えてくれます

映画「Fukushima 50」から現実を学ぼう


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映画『Fukushima 50』は、東日本大震災という未曾有の出来事をリアルに描き出した作品です。

日本中の人の心に突き刺さった災害であり、劇中の地震や津波の映像に恐怖を覚える人もいるかもしれません。

とはいえ時間が経つにつれて、多くの人の中では遠い記憶のように薄れてきていることも事実でしょう。

しかし、東日本大震災でどれほどの被害があったか、そこでどれほどの人たちが現場で奮闘していたのかを忘れてはいけないのです。

本作を観て、後世に語り継ぎたい人の勇気と力強さを感じてください。


TEXT MarSali

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