逆にいいな、目立つし
──『Tuxedo~タキシード~』を始めて聴いた時の感想をお願いします。
鍵本輝:デモの段階でかなりしっかり出来上がっている状態で聴いたんですけど、率直に「いいな」と。「逆にいいな」と思いました。
古屋敬多:逆ってどんな風に?(笑)
鍵本輝:(笑)これまでもダンスミュージックに、特化してやってきたんですけど、その方向性が違うというか。これまでは、それこそ、トレンドの方に向かってやってきたと思って。それで変化もして来たんですけど、今回のは、
逆方向だなっていう。でもその分、埋もれない楽曲が出来たな、と。今、ごりごりのダンスミュージックが飽和状態である中で、いい目立ち方をしそうな楽曲だなと思いましたね。
──ダンスとしては、ツイストですよね。サウンドとしてはロカビリー。
鍵本輝:そうですね。両方、新鮮でしたね。でも、わりとスッと自分の中には入って来たんですよね。
古屋敬多:最初は、もう、シンプルに楽しい曲だなと思いましたね。ディズニーっぽいというか。ビックバンドのジャズ要素もあったから。誰もが楽しめるし、個人的には、1番楽しい音楽のジャンルっていう印象でした。ロックンロールと言いつつも、ミュージカルっぽさもあったりして。
──なるほど。例えば『ウエスト・サイド・ストーリー』みたいなイメージ?
古屋敬多:そうそう。歌詞の世界もそうで。そういう感じある曲ですよね。僕自身、そういうのも好きなんですよ。ただ、Leadとしては、あんまり触れたことのない素材たちだったので、そこをどう料理しようかなって感じで。そこも楽しみでしたね。
ツイストでいくしかない
──伸也さんは? この歌詞にラップ詞つけるの、大変だったんじゃないですか? もうノリも違うし、言葉のセレクトの基準が、今の時代に無いものですし。
谷内伸也:それ、めっちゃ思いました。そもそも、『Tuxedo~タキシード~』がシングルになった流れには、TOKYO MXの『Leadバラエティ』(毎週木曜/19:58~20:27放送中。無料配信動画アプリ「エムキャス」でも同時配信中)の企画が関係しているんですよ。それは、ジャンル関係なく、50年代、60年代、70年代って、なるべく古い曲を自分達なりに今に落とし込んで、カバーさせていただくっていう企画なんですよね。
そういう流れの中で、古い年代の曲が出て来るのはわかっていたんですけど、それでも最初に聴いた時にはびっくりして。「これ、ロカビリーじゃん!」って。言えるほどロカビリーを深く掘ってはいないし、詳しくもないんですけど。僕が知ってる中での王道のロカビリーって印象でしたね。もうこれは、ツイストを織り交ぜた振付でいくしかないや、みたいな。でもツイストって、いうなれば、当時のトレンドのダンスミュージックだったわけで。僕らがやっているスタイルではないけど、大きい括りでいったら“ダンス”って意味では一緒だな、と。これをどうLeadがダンスで調理しようかと思いましたね。
──今言ったテレビ番組の企画にあたり、メンバーで結構ルーツを掘ったり(=ルーツを掘るという意味)しているの?
谷内伸也:そうですね。よく掘っていますね。ロックンロールってキーワードで、結構、3人とも掘っていったりしてたんですけど、やっぱりツイストだよねってなったし。
鍵本輝:そっからどう変わっていったのか調べていくうちに、竹の子族に行き着いたり(笑)。
──あぁ、なるほど! サウンドではなく、ダンスから掘っていったんですね。
3人:そうです、そうです。
──そこ、Leadさんらしいですね。ルーツミュージックじゃなく、ルーツダンスっていうね。
鍵本輝:どうしてもパフォーマンスのことを考えるので、ダンスに行きつくんですよね。で、そうやってツイストに辿りついた時に、振り付けをDA PUMPのTOMOくんに頼んだら面白いんじゃないかって話になったんですよね。
谷内伸也:それで「ツイストだけ入れてお願いします」って感じで、上がって来たのが、今のダンス。
観せるダンスじゃない
──『Tuxedo~タキシード~』のミュージックビデオを拝見しましたけど、結構、ダンス、忙しくないですか?
鍵本輝:わりと疾走感はあるんですけど、じつはそんなに大変じゃないんですよ(笑)。TOMOくんの振り付けだからこそ、余白があるというか。ひとつひとつ、すべてがキャッチ―に出来あがっているんです。これまでの自分たちの振り付けとはまったく違う着眼点があるんですよね。例えば、自分達の振り付けだと、詰め込んでなんぼみたいな感じがあって、ずっと早口言葉のような感じ。TOMOくんの振り付けは、そうじゃなくて余白があるというか。
谷内伸也:ダンスを観せるというよりは、楽しんで一緒に踊ろうっていう感じ。
──では、ダンスの話が出たので、ダンスのことをもっと伺います。今、余白のあるダンスだっておっしゃったんですけど、その余白をエンターテインメントとしてどう観せようと思いました?
鍵本輝:ちょっと漠然とした答えになっちゃうんですけど、楽しい感じ。そういうのに重きをおきましたね。
──子供とかも一緒に楽しめちゃうような?
鍵本輝:そうですね。一緒に踊ろうよ、みたいな。そんな意識でやりましたね。
古屋敬多:今回の「ほうきダンス」もTikTokとかでバズったら嬉しいですよね。
──短くて覚えやすい。でも、ちょっと難しくて楽しい。バズる要素はあると思います。
谷内伸也:バズるの、TikTokで観てみたいですね。