圧倒的な歌唱力「Aimer」
2011年にメジャーデビューを果たしたシンガーソングライターの『Aimer』。
一度聞いたら忘れることができない独特なハスキーボイスを武器に、様々なアニメやドラマの主題歌を担当しています。
2020年9月に発売された19枚目のシングル『SPARK-AGAIN』は、TVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』のオープニング主題歌に起用。
『炎炎ノ消防隊』は「焔(ほむら)ビト」という謎の人体発火現象が起こる東京皇国を舞台に、炎の脅威から市民を守る「特殊消防隊」たちの物語です。
主題歌『SPARK-AGAIN』の歌詞に込められている意味を『炎炎ノ消防隊』の主人公・シンラの出来事を中心に読み解いていきます。
シンラの決意を綴った歌詞
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失くしたものばかり 殘したこの火種は
離さない 離さないから ずっと
曖昧物語 正解なんてなくたって
踏み出すようになれたら
「どうかしてる」って言うけど どうにかしてあげるよ
≪SPARK-AGAIN 歌詞より抜粋≫
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主人公のシンラは幼い頃、火事で母親と弟を亡くします。
原因は何者かの炎によるものですが、発火能力を持つシンラが殺人の濡れ衣を着せらてしまいます。
そして事件以来、悪魔と呼ばれ、人々から蔑まれる日々に。
それでも自分のような被害者が出ないようにと、本当は手放したいかもしれない能力を使ってヒーローになることを誓います。
使命を全うするまで「残したこの火種は離さない」とシンラの内なる決意を感じられますね。
「失くしたものばかり」と人は自分が持っていないもの、失くしてしまったものといったネガティブな所にどうしても注目しがちです。
そしてそのことに対して、悔やんだり、他人を羨ましいと思うこともあるでしょう。
しかし一方で、失ったものとは引き換えに自らに残された特別なものがきっとあります。
必ずしも本意なものではないかもしれませんが、残されたものを育むことで活路を開くパワーになるとヒントを示しているのかもしれません。
支えてくれる存在がいること
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君のその隣で 強く手を繋げば
恐れるものなんて何も無くなるから
光差して 照らす方へ いつか夜の声も果るまで
≪SPARK-AGAIN 歌詞より抜粋≫
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人々を守るヒーローになるため、シンラは特殊消防隊に入隊します。
そこで出会った第8特殊消防隊。
ぶつかることもあるけれど、シンラの存在を認めてくれる大切な仲間たちです。
自分を認めてくれる存在に出会えることは、かけがえのないものですよね。
今は信頼できる存在がいなくても、いつかきっと「大丈夫だよ」と支えてくれる誰かが現れる。
もしその時が来たら「恐れるものなんて何もない」と光が指す方へ向かっていけると、歌詞から読み取れるでしょう。
ゴールに辿り着くまで諦めない
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無くしてきたものなら数しれず
捨ててしまった物など何も無い
火花散って 火蓋切って 白か黒の灰に変えるまで
とびきりの王冠なら 手に入れたい 手に入れたい
≪SPARK-AGAIN 歌詞より抜粋≫
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ゴールに向かって、自分の意志を貫くことは思っている以上に大変です。
思いもよらないこと、理想と現実のギャップに苦悩し「もういいや」と諦めたくなることもきっとあるのでしょう。
けれど「とびきりのクラウンなら手に入れたい」と、諦めずに努力し続ければ自分にとって輝かしい何かを手にできるはず、という意味も込められている気がします。
そういったところから、この曲は「自分も諦めないから、君も諦めるな」と、互いのゴールに向かう同士として共に戦う共闘の歌という見方もできるのではないでしょうか。
ファンにはたまらない仕掛け
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風を切って 君のほうへ 1か8かゼロに変えるまで
塞ぎ込んだ道化師なら 森羅万象始まんないよ
愛を焦がすような 愛を見せるから
≪SPARK-AGAIN 歌詞より抜粋≫
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シンラの決意を彷彿させる歌詞からは、辛いこともあるけれど、諦めず共にやり抜こうと聴いている人を勇気づける歌とも言えます。
また、歌のサビに「森羅万象」という単語があります。
実はこの中には『炎炎ノ消防隊』で登場する主人公の森羅(シンラ)と弟の象(ショウ)の名前が入っているのです。
アニメ第2期のキーパーソンとも言えるこの2人。
その2人が歌詞内で登場することは、ファンにとってはたまらない演出ですよね。
MVもアニメの世界観を味わえ、作品ファンから神曲と言われる『SPARK-AGAIN』をぜひ聞いてみてください。
TEXT からふるライダー