ドキュメンタリーから生まれた感動のラブストーリー
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2009年に公開された映画『余命1ヶ月の花嫁』は、乳がんと闘った女性と恋人の半生を描いたノンフィクション作品です。
映画化のきっかけは、2007年に24歳の若さで末期の乳がんを患った長島千恵さんの闘病生活が報道されたことでした。
同年には『余命1ヶ月の花嫁/乳がんと闘った24歳 最後のメッセージ』という特番が放送され、日本中が彼女に注目。
過酷な闘病生活を強いられながらも「自分と同じつらい思いを他の人にはしてほしくない」という想いで取材に応えた彼女。
その彼女の気持ちが多くの人の胸に刺さり、書籍化と映画化にまで至ったのです。
悲しみの中にも温かな愛を感じる本作のあらすじや見どころを紹介します。
映画「余命1ヶ月の花嫁」のあらすじ
主人公の長島千恵はイベントコンパニオンの仕事をしている23歳の女性です。
ある日、仕事で参加したイベントで赤須太郎と出会い、互いに自然と惹かれ合います。
しかし、彼女はこの時すでに乳がんと診断されていました。
母親が卵巣がんで亡くなっているということもあり、自分もいつがんで死ぬか分からないと考えた彼女は、彼からの告白を断ってしまいます。
それでもあきらめない彼に胸を打たれ、病気のことは伏せたまま交際を始めることに。
数ヶ月後、薬の副作用で髪が抜け始めたことをきっかけに、病気のことや胸を切除することを彼に打ち明け、彼の前から姿を消しました。
彼女を追いかけて屋久島に向かった彼は、胸を切除した彼女と再会します。
愛する気持ちは変わらないことを告げ、再び結ばれた2人は人生を共にする決意を固めました。
しかし、彼女の乳ガンは再発。懸命に闘病を続けるものの、余命一ヶ月の宣告を受けるのでした。
そこで彼は、彼女の夢であるウェディングドレスを着せてあげることを計画します。
病と懸命に闘った2人の絆と感動の結末が心に響くでしょう。
主演キャストのカップル像に憧れる
本作で主演を務めるのは、モデルや女優として幅広く活躍している榮倉奈々です。
がんを患う女性役のため闘病シーンが多く、撮影期間は精神的に苦しい日々だったそうですが、懸命に病気と向き合う女性を実直に演じ、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。
恋人役は演技派俳優の瑛太が演じています。
クランクイン前に赤須太郎さんと直接話し、自分なりの役に落とし込んだそうで、彼女を献身的に支える姿を魅力的に表現しています。
ほぼ初対面だったという2人ですが、ストーリーの順に撮影が進められたため、男女が心を通わせて愛を育んでいく様子がナチュラルに映し出されています。
生きている喜びを伝える悲しくも温かなストーリー
本作の見どころは、悲しいストーリーを重く見せず、さわやかさが感じられるところです。
登場人物の人柄や病気と向き合う姿勢が常にポジティブで、つらさよりも生きる楽しさがよく表れています。
特に主人公である長島千恵の、病気に侵されながらもいつも笑顔で明るく振る舞う姿が印象的ですね。
そんな彼女が、好きな人を不幸にしたくないという思いで身を引こうとする健気さに、切なさを覚えます。
それでも、共に生きることを決意し、今を楽しみながら生きようとする前向きな姿に、人としての強さを感じます。
彼女の魅力は、喜びを積極的に言葉にしているところにもあるのではないでしょうか。
飾らない言葉の中に、心に刺さるストレートな感情が込められていて、命や人との向き合い方を考えさせられます。
また、恋人である赤須太郎の前向きな姿勢も感動を呼びます。
はじめは理由も分からないまま交際を断られましたが、好きな人と一緒にいたいという気持ちから彼女を追いかけ続けました。
その強い気持ちは彼女の病気を知っても一切変わることなく、ただ一緒にいられることを喜んでいることが何気ないシーンから伝わってきます。
そして彼は結婚生活が長くは続かないことを理解しながらも、結婚式を挙げることを決意。
そこには、彼女の夢を叶えてあげたいという純粋な想いが感じられ、深い愛に心が温かくなるでしょう。
過酷な闘病生活を愛で乗り越えようとする2人と、彼らを支える家族や友人たちの人間ドラマが、ラストシーンに描かれています。
もし大切な人の闘病を支える立場になった時、彼らのように前向きな気持ちでいることがどれほど大きな助けになるのかが感じられるはずです。
悲しい結末ですが、温かな気持ちになり感動の涙があふれてきますよ。
「明日がくるなら」は別れを前向きに捉える主題歌
本作の主題歌は、JUJUとJAY'EDがコラボを果たした楽曲『>明日がくるなら』です。
この楽曲は、主題歌のオファーを受けてから一度は曲を仕上げたものの納得がいかず、再度一から作り直したという経緯があるそうです。
映画のストーリーと向き合うようなオーケストラによる美しい音色が心に沁みるバラードとなっています。
歌詞には死によって分かれる2人の切ない心情が反映され、1日でも長く一緒にいたいという願いが読み取れるでしょう。
ですが、別れの悲しさよりも、これまで同じ時間を過ごしてくれた恋人への愛と感謝が詰まっています。
デュエットならではの歌声の深みと豊かさが、映画の中のかすかな希望を鮮やかに輝かせてくれる名曲です。
映画「余命1ヶ月の花嫁」は日々の幸せに気づかせてくれる傑作
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映画『余命1ヶ月の花嫁』は、生きていく上で忘れてはならない考え方を教えてくれる作品です。
同じことを繰り返す日々を過ごしていると、生きる楽しさや自身の価値が分からなくなることがあるかもしれません。
しかし、生きているという事実自体が奇跡的なことであり、何気ない毎日の出来事を1つ1つ楽しんでいれば、明るい気持ちで過ごすことができるでしょう。
そして、自分のことを想ってくれる大切な人のためにも、自身を大切にするべきだということにも気づかされます。
ぜひ本作を観て、日々を幸せに生きるための力をもらってくださいね。
TEXT MarSali