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ポルノグラフィティ「Mugen」に込められた意味が深い!

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ポルノグラフィティの初期の曲には、ノリがよくインパクトの強い楽曲が多く存在します。今回ご紹介する『Mugen』もその一つ。ド派手な演出と裏腹に『Mugen』のタイトルに込められた深い意味に迫ります。

「Mugen」が意味するものは?

▲ポルノグラフィティ 『Mugen(short ver.)』

『Mugen』は、2002年5月15日に発売されたポルノグラフィティの9枚目シングルです。

前作の幸せについて歌った楽曲『幸せについて本気出して考えてみた』に続く、意味深なタイトル。

2002年に開催された、韓国共催サッカー選手権のNHK放送テーマソングに起用されたことから、サッカーを連想する人も多いのではないでしょうか。

熱気溢れるサッカーの試合にぴったりの情熱的でパワフルな楽曲。

管楽器も圧倒的な存在感があり、吹奏楽で演奏されたバージョンは原曲とは違った迫力があります。

その熱量に比べて歌詞は実に哲学的です。

疾走感溢れるメロディーとは裏腹に、心の内面に迫る歌詞。そこに込められた意味とは何か、曲の内容に触れていきましょう。

自分と向き合う世界


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僕が暗闇を恐れてるのは
いつか そのまま溶けていきそうだから
ほんの小さな灯りでもいいさ
僕は輪郭を取り戻す
≪Mugen 歌詞より抜粋≫
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古来より人間は暗闇を恐れてきました。

闇に潜む何者かを恐れたり、この世ならざる者に怯えたり、理由は様々でしょう。

しかし「僕」はそのどちらでもなく、「いつか そのまま溶けていきそうだから」という理由で暗闇を恐れたのです。

自分という存在が曖昧になって消えてしまうかもしれないという、どこか哲学的な理由です。

暗闇では、どこまでが自分でどこからが他人なのか、その輪郭すらも曖昧になるもの。

自分という存在がわからなくなることは、生きている意味もわからなくなるということです。それは確かに恐ろしいことかもしれません。

「ほんの小さな灯り」は、自分の存在意義を取り戻す人生の道しるべでしょうか。


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冷えた指先を温めようと
自分の両手を合わせてみても
僕の悲しみが行き交うだけで
それは祈りの姿に似ていた
≪Mugen 歌詞より抜粋≫
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指先を温める仕草で伝わってくるものは「悲しみ」というところが深いですね。

温もりを求めて両手を合わせたのに、自分の悲しみがくっきりと浮かび上がるばかりで心も身体も凍えたまま。

「祈りの姿」にも似たその行為で、どこかに祈りを捧げているのでしょうか。

自分の抱える痛みが消えてほしいという祈りか、それとも違う誰かに捧げる祈りか。

両手をすり合わせる仕草が「祈り」を連想させる歌詞によって、独特の世界観が生み出されています。

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Ah 幻想とじゃれ合って 時に傷つくのを
あなたは無駄だと笑いますか?
元より この世こそが夢幻だとしたら
空架ける虹を行こう
≪Mugen 歌詞より抜粋≫
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ここで初めてタイトルである「Mugen」という言葉が登場します。「夢幻(ゆめまぼろし)」「ムゲン」と読むこともできますね。

「Mugen」が持つ意味は何なのか、もう少し詳しく歌詞を掘り下げていきましょう。

終わりがあるから美しい現世


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僕が"永遠"を好まないのは
今日の次にある明日を求めるから
過ぎた時間を重ねた上に乗って
やっと届く明日がいい
≪Mugen 歌詞より抜粋≫
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暗闇を恐れる「僕」は、永遠も嫌います。

永遠という終わらない日々よりも、限りある中で苦労して手に入れる「明日」の方が価値がある。

「過ぎた時間を重ねた上に乗って やっと届く明日がいい」という歌詞は、まさに真理をついているのではないでしょうか。

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一人きりで生きられないほどは
弱くもないのは確かだけれど
誰かの瞳の中 映る僕はどうだ
影を抱いてはいないかなぁ?
≪Mugen 歌詞より抜粋≫
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人間は誰しも一人では生きていけないものです。

それでも「一人で生きていけないほど弱くない」と自分に言い聞かせたい気持ちも分かります。

しかし、どんなに強がっても、他人の目に映った自分が暗い影を背負っていないか、気になってしまうのもまた人間。

結局、一人で生きようとすれば悲しみや孤独を背負ってしまうものなのでしょう。

その不安を払拭できない人間らしさが滲み出た歌詞が印象的です。

「Mugen」が意味するものは?


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Ah 現実がじゃれて来て いたずらにため息
小さな灯りを吹き消そうと
僕は駆け出していた 惜しみなく輝く
太陽の光のもとへ
≪Mugen 歌詞より抜粋≫
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幻想とじゃれ合い、時に傷つきながらも懸命に生きている「僕」に、今度は現実がじゃれてきます。

ため息が、かろうじて輪郭を保っている「僕」の灯りを消してしまいそうなほど。

現実は、容赦なく生きるための道しるべを奪おうとします。

一人で生きていけると強がっていた「僕」も、今にもかき消されそうな恐怖に怯え、「惜しみなく輝く太陽の光」を求めて逃げ出しました。

ここでいう太陽とは、人の温もりでしょうか。

暗闇の中わずかな灯りを頼りに生きていた「僕」は、人と交わることを避けていた印象があります。

「一人きりで生きられないほどは弱くもない」と言いながら眩しい太陽の光を求めるのは、結局誰かの存在なしでは生きられないことの証明でしょう。

自分一人では太刀打ちできない現実という名の大きな壁が立ちはだかった時、たまらず人に助けを求めてしまう弱さも、人間らしさだと言えます。


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むせかえるほど熱を帯びて吹く風は
あなたの髪も揺らしてますか?
限り無くは無限 夢幻が無限
遙かなる想いを吼える
≪Mugen 歌詞より抜粋≫
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タイトルの『Mugen』は「夢幻」にも「無限」にもなるように、ローマ字で記載されています。

幻想とじゃれ合うことは、現実を生きる上での逃げ道なのかもしれません。

時には目の前にある現実から逃げて空想世界に身を委ねることで、活力を取り戻せることもあります。

夢と現実の狭間で揺れ動く「僕」を通して、生きることの難しさや人間の弱さ、強さを知ることができるでしょう。

翻弄されながらも懸命に生きていくことへの賞賛など、あらゆる思いを込めて『Mugen』と名付けられたのではないでしょうか。

非常に曖昧で独特な世界観ながら、ある種の人間賛歌のような楽曲だと思います。

ノリのいいメロディーに身を委ねるだけでなく、歌詞の世界に触れることで、より深い味わいが広がるのがポルノグラフィティの魅力です。

ぜひ、自分なりの楽しみ方で彼らの魅力を味わってみて下さい。


TEXT 岡野ケイ

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