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ポルノ「瞳の奥をのぞかせて」で描かれる禁断の愛の行方とは?

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ポルノグラフィティ『瞳の奥をのぞかせて』は、2010年2月10日に発売された、30枚目のシングルです。新藤晴一が描く、男女の恋愛。底知れぬ色気と狂気をはらんだ、深い愛の世界を考察します。

ドラマチックに切り取られた大人の恋愛

▲ポルノグラフィティ 『瞳の奥をのぞかせて(short ver.)』

『瞳の奥をのぞかせて』の作詞を手掛けたのは、ポルノグラフィティのメンバーである新藤晴一

大人の恋愛に諸事情はつきものですが、中でも複雑なのが不倫ではないでしょうか。

人目を忍び愛を育みながらも、誰からも祝福されない、2人だけの秘密の恋

そんな恋愛をドラマチックに描いた『瞳の奥をのぞかせて』には、表現者としての新藤晴一の魅力が詰まっています。

文学的な表現力と抜群の歌詞力で、デビュー当時から存在感を示してきたポルノグラフィティの世界を、歌詞の内容に触れながらご紹介します。

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空のワイングラスの横で 私の目覚めを待っているのは
千切られた紙切れに列んだ 青いインクで書かれた美しい文字
≪瞳の奥をのぞかせて 歌詞より抜粋≫
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目が覚めると、部屋には空のワイングラスが2つ。しかし、そこに愛しい人の姿はなく、走り書きされたメモが置かれているだけ。

朝、置き去りにされる女と、その虚しさを空のワイングラスが物語っています。

昨晩2人が愛し合った、夢のような時間の残骸にも見えますね。


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ふたりで夜に漕ぎ出しても 夜明けの頃にはひとり置き去り
愛してはならぬと拒んでも 抱かれてはならぬと解いても

いけない時間は甘噛みのように 淡い赤色 消えない痕を残して
≪瞳の奥をのぞかせて 歌詞より抜粋≫
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幸せな2人の時間を「夜に漕ぎ出す」と表現しているところが新藤晴一らしいところです。

どこか文学書を読んでいるような気持ちになりますね。

2人で育む愛を舟にたとえることで、置き去りにされる悲しさや底知れぬ不安まで伝わってくるようです。

「愛してはならぬと拒んでも 抱かれてはならぬと解いても」という歌詞からも分かるように、この2人の愛は本来、育んではならないものです。

それを分かっていながら、徐々に深みにハマっていく女の悲しさ。そして、夜明けには1人置き去りにされる虚しさ。

舟で沖合まで出て、そこに1人放り出されたような感覚でしょうか。

誰も助けてくれない、誰の手も掴めない場所で、「私」は1人もがいているようです

報われないと知りながら育む愛


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こんなにもあなたのことを想ってるのに
時々どうしようもないほど憎くなる
あなたは瞳の奥をのぞかせない
そのくせ私の心は何もかも見透かされてる
≪瞳の奥をのぞかせて 歌詞より抜粋≫
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愛すれば愛するほど憎くなるのは、それだけ愛が深いということ。

愛しても愛しても満たされない、許されざる愛を育みながら、朝になれば1人残される虚しさの中で、愛情と裏腹に湧き上がってくる感情です。

“私はこんなに傷ついているのに、あなたは本心さえ見せてくれないのね…”

そんな悲しみがにじみ出すような歌詞です。

それでも、惚れた者が負け。おそらく「私」の方が「あなた」に惚れてしまっているのでしょう。

許されない愛だと知りながら、後戻りできないところまで来てしまっているのです。

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ピアノのように磨きあげた あの黒い車はどのあたり?
この「さよなら」はひと時のため? それとも永久の別れなのか

失い続けるばかりの時間 無垢な笑顔ではしゃいでたのは遠い日
≪瞳の奥をのぞかせて 歌詞より抜粋≫
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きっと、出会った頃は幸せだったのでしょう。

ほんのひと時でも、愛する人と時間を共にできたらそれでいい、と純粋に思っていたかもしれません。

しかし、愛すれば愛するほど、人はワガママになるものです。

もっと愛されたい、もっと見てほしいと求めてしまった瞬間、幸せな時間は苦しみの時間へと姿を変えたのでしょう。

朝になればどこかへ帰って行く人は今、誰とどこにいるのか。

気にしたところで自分が苦しくなるだけと分かっていてもやめられない。

去り際に交わした「さよなら」が永遠の別れを意味している可能性に怯えながら「また会える」と自分に言い聞かせ続けるしかありません。

「無垢な笑顔ではしゃいでたのは遠い日」と、今の自分を惨めな気持ちで見つめるしかできないのだとしたら、苦しみ以外の何ものでもありません。

愛する人から与えられていたはずの幸福な時間は、いつしか「失い続けるばかりの時間」へと変わってしまったようです。

本気で愛してしまった悲劇


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いつからか恥じらうことさえ忘れてた
無理矢理剥ぎ取ってしまったのはあなた
はだけた自分の素顔を見つめると
ユラユラ淫らな欲望の炎を灯していたの
≪瞳の奥をのぞかせて 歌詞より抜粋≫
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愛する「あなた」がどれくらい本気で「私」を愛しているのかは分かりません。

最初は距離を保ち、好きにならないよう拒んでいた心は、徐々に解かれていく。

気づいた時には恥じらいもなく、無我夢中で求める女にされていた悲しみ。

愛するだけ愛したあとは置き去りにされると分かっていても、2人の関係を終わらせることのできないもどかしさ。

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開けはなったままの天窓に 煌いてる星々は決して
ひとつとこの手に落ちない それならばそっと窓を閉めましょうか
秘め事はいつも秘め事のまま 誰も知らない 暗い闇へと 消えてく
≪瞳の奥をのぞかせて 歌詞より抜粋≫
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これはまさに、2人の関係を誰にも知られることなく、愛した本人からさえも忘れ去られ、人知れず終わっていく儚い愛を歌っているかのようです。

2人の愛がいつ終わりを迎えるのかは分かりませんが、朝になれば帰って行く愛しい人には、「私」以外に心のよりどころがあるのでしょう。

ただ1人「あなた」にすがってしまっている「私」の心だけが取り残されます。

秘め事は秘め事のままで、日の目を浴びることなく消えて行く。

それがきっと、2人の愛の形であり、約束なのでしょう。

許されざる愛は燃え上がりますが、愛の証は残りません。そのことに気づいた時には、もう戻れないところまで、深みにハマっているのです。

一方通行の愛が行き着く先は


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こんなにもあなたのことを想ってるのに
一秒針が進むごと強くなる
あなたの瞳の奥がのぞけたなら…
ひとつでも本当の気持ちを探せたら…
それだけでいい
≪瞳の奥をのぞかせて 歌詞より抜粋≫
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愛というものは不思議なもので、愛が深くなるほどに憎しみも増します。

自分の思いに答えてくれない虚しさ。それが憎しみに変わり、深い恨みに変わることもあるでしょう。

それでも、狂おしいほどに愛しくなることもある。

「私」はきっと、この愛が報われないことを知っているのでしょう。

それでも、別れることも、距離を置くこともできず、ただ1人、悶えているのです。

1人で愛にハマり込み、抜け出すことのできない悲しさ

きっとこの先も報われることのない愛だと知っている「私」にとって、願うことはただ1つ。

「あなたの瞳の奥がのぞけたなら」

ただそれだけなのに、望みは叶わぬままなのでしょう。

『瞳の奥をのぞかせて』というタイトルには、愛する人の心に触れたいのに触れることのできない、女の悲しい感情が込められているのではないでしょうか。

終始、女性の言葉で歌われるこの楽曲。力強くも儚く、女性らしい柔らかさを秘めた声で歌い上げる岡野昭仁の声によって、楽曲の世界観により一層説得力が生まれるのです。

秋にぴったりの美しい旋律に浸るのもよいでしょう。


TEXT 岡野ケイ

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