「ピンク・レディー」が今も愛され続ける理由
大人から子供まで、幅広い年齢層から絶大な知名度を誇る『ピンク・レディー』。
彼女達は1976年、オーディション番組「スター誕生!」に合格してデビューを果たしました。
派手でセクシーなダンスと衣装は、デビュー直後に物議を醸しましたが、特徴的なダンスを子供達が真似するようになり、人気に火がつきました。
それからは新曲を出すごとに大ヒットし、その度に斬新な振り付けや衣装が多くの注目を集めます。
さらに、人気絶頂期にはたくさんのグッズが発売され、CDと共に爆発的な売り上げを記録。
キュートで異次元的な彼女達の存在感は一世を風靡し、もはや社会現象と言っても過言では無いほどでした。
革新的で類を見ない楽曲達に日本中が驚いた
彼女達の楽曲は、アップテンポなメロディーに奇抜な歌詞が特徴的で、多くのファンを魅了しました。昭和のヒットメーカーである都倉俊一が手掛けた、キャッチーで耳に残るメロディー。そこに破壊力のある阿久悠の詩が載せられ、一度聴いたら病みつきになる楽曲達。
そんな楽曲達を、ミーとケイが圧倒的な歌唱力と表現力で完璧に歌い上げ、手懐けています。
あなたはミー派?それともケイ派?
『ピンク・レディー』の2人は正反対の性格で、それぞれがとても魅力的です。
ミーはおっとりしていてボーイッシュな女性。さっぱりした性格と人懐っこい笑顔で、子供からお年寄りまで幅広いファン層を獲得しました。
ケイはしっかり者で女の子らしい性格。のんびりしているミーを引っ張っていく姐御気質な所もあるそうです。セクシーな彼女は特に若い男性達から人気を集めました。
2人は性格だけでなく歌声も正反対。
ミーのキュートでハイピッチな歌声と、ケイの色っぽくてハスキーな歌声が重なると、2人にしか出すことのできない魅力的なハーモニーが生まれます。
また2人は学生時代からの親友同士だそうで、その絆の深さも魅力の一つです。
1980年に一度は解散したものの、その後何度も断続的な再結成を繰り返してきました。
そして解散から30年たった2010年に「解散やめ!」宣言で、正式な再結成を果たすのです。
そんな彼女達の歴史からも、変わらない友情を感じますね。
「ピンク・レディー」の斬新な楽曲3選
『ピンク・レディー』の魅力を引き出す個性的な楽曲達は、当時のオリコンチャートを席巻したものも多くあります。そんな素晴らしい楽曲達から、今聞いても斬新さに驚く3曲を厳選してご紹介します。
「ウォンテッド (指名手配)」
120万枚の売り上げを記録した、5枚目のシングル『ウォンテッド(指名手配)』。
この楽曲にはイントロが無く、2人のユニゾンから始まります。
シンプルで力強いメロディーと、キャッチーな掛け声やセリフを組み合わせ、揺れ動く恋心をドラマチックに歌い上げています。
リズミカルで魅惑的な曲調に、自分を弄んだ男を探し出してやる、という女性の強い意志が表れています。
しかしサビの途中で、美しいハモリが特徴的な優しいメロディーへと、曲調がガラリと変わりるのです。
強気な女性が、恋する心細さを歌う女性へ一変する姿が描かれており、その演出は素晴らしく、多くのファンを虜にしました。
またこの曲は、海外で発売された『ペッパー警部』のB面曲として英語バージョンも収録されています。彼女達の人気は、海外にも広がっていたことが分かりますね。
「S・O・S」
『S・O・S』は『ピンク・レディー』にとって初のオリコン1位を獲得した楽曲です。
イントロ部分ではSOSのモールス信号が流れるという、とても斬新で遊び心が溢れた演出になっています。
ポップでガーリーな曲調は、アイドルソングの古き良き時代を感じさせます。
また、彼女達の楽曲では珍しくスローテンポとなっており、乙女チックな歌詞ともマッチしています。簡単に男性に心を許してはいけない、というアドバイスの様な歌詞も印象的です。
振り付けも、ハンドクラップが入っており、その可愛らしさにより若年層から絶大な人気を博しました。
「モンスター」
彼女達の8枚目のシングルである『モンスター』は、売り上げ約110万枚のミリオンセラーです。
モンスターの笑い声と、2人の悲鳴で楽曲が始まる革新的な演出が、当時注目を集めました。
曲調もダイナミックで、ヴァイオリンの音や、グルービーなベースはまさに「モンスター」の名にふさわしい世界観を作り上げています。
歌詞は、人間の闇に傷ついている、怖い見た目とは異なる繊細なモンスターが描かれており、そんなモンスターを励ます様な、ポップでコミカルな歌詞が斬新で、日本中に衝撃を与えました。
「ピンク・レディー」の時代は終わらない
現在もアイドルとして活躍し続ける彼女達は、今も多くのファンを魅了しています。
確かな歌唱力とダンスの技術は、彼女達の凄まじい根性がなければ得られなかった、努力の賜物と言えるでしょう。
いつでも全力で、ファンの期待に答えようと頑張り続けた彼女達。
だからこそ他のアイドルと一線を画した存在になれたのだと、ハイクオリティなライブ映像や楽曲達が物語っています。
これからも最前線を走っていく彼女達と、色褪せない楽曲達が有る限り『ピンク・レディー』の時代が終わることはないでしょう。
TEXT 宮本采佳