aikoの最新曲「ハニーメモリー」とは
男女問わず幅広い世代から支持を得ているシンガーソングライター・aiko。
複雑に入り組んだ恋愛感情を、時にはストレートに、またある時にはソフトな表現で描き、どんな世代からも共感を得られるラブソングを数多く生み出しています。
そんな彼女の40枚目シングル『ハニーメモリー』が2020年10月21日にリリース。
この楽曲では同棲をしていた男女のストーリーを男性側の視点で描かれており、彼が振り返る「ハニーメモリー」がどんな思い出なのかを歌にしています。
男性目線で描かれる切ないラブソング
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思いっきり泣いて泣いても未練は流れ落ちない
君がいないと味がしないんだ
いつも悪いなって思ってたよ
夜明け前に帰ると洗面所だけ電気が付いてた
ごめんねでも 素直になれなかった
≪ハニーメモリー 歌詞より抜粋≫
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切なさが漂うメロディと冒頭の歌詞から「ハニーメモリー」を振り返る「僕」の気持ちが伝わってくるのではないでしょうか。
「ハニーメモリー」とは甘い思い出ではなく、「僕」の未練のこと。
「僕」が「君」と同棲をしていた頃、仕事や付き合いで忙しく、すれ違いの生活を送っていたのでしょう。
もしかすると「君」との未来を見据えて、仕事に力が入りすぎていたのかもしれませんね。
「君」に寂しい思いをさせていることは分かっている。
しかし「今は頑張りを理解してほしい」という気持ちが勝り、素直に気持ちを伝えることができなかったのかもしれません。
隠された「君」の本当の気持ち
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「心臓は5個あったらいいな
入れ替えたらあなたの前でずっと笑ってられるわ」
ほんとに…僕は粉々になった
涙が出そうになって指で塞ぐ仕草は
≪ハニーメモリー 歌詞より抜粋≫
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一方で「君」も「僕」のそんな気持ちには気づいていたのではないでしょうか。
だからこそ、例え涙が出そうになっても、相手の負担になりたくはないと「僕」の前では笑顔でいることを心に決めていたのです。
強くありたいと思う反面、「僕」に向けて「君」は押しつぶされそうな心に気づいてほしい。
そんな「君」の気持ちを想像できる歌詞が「洗面所だけの電気が付いていた」の部分です。
洗面所の電気は深夜に帰る「僕」への”おかえり”の意味とも考えられますが、「君」が夜に泣いていることを悟られないよう、顔を洗って涙の跡を消しているという意味も含まれているのではないでしょうか。
あえて電気を消さなかったのは、隠している本音に少しでも気づいて欲しいという「君」なりの最後のシグナルだったのかもしれません。
後悔しないように出来ること
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繰り返してきた春に僕はいつの日からか
隣にいる君じゃなく違う花食べた
思いっきり泣いて泣いても未練は流れ落ちず
今年の桜は誰と見たの
最近はおとなしく家に帰ってるよ
君がいないと味がしないんだ
≪ハニーメモリー 歌詞より抜粋≫
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サビの部分では「君」と別れた後の「僕」の今の思いが綴られます。
「君」を傷つけてしまった罪悪感から「違う花を食べた」と表現している通り修復の道ではなく、別れを選んだ「僕」。
そしてこの部分は最後の歌詞である「君がいないと味がしないんだよ」へと繫がると考えられます。
「違う花を食べた」=「僕は君と別れの日々を選んだ」けれど、「君がいないと味がしない」。
君がいない時を過ごしてみたけれど、空っぽで味のない日々に耐え難い「僕」の後悔が綴られています。
誰しも「あの時もっとこうしていればよかった」と振り返ると未練が残る経験があるでしょう。
そんな未練を少しでも無くすための手段は、相手に素直な思いを伝えること。
『ハニーメモリー』と近い状況に置かれているのであれば、後悔しないよう思いを伝えてみてはいかがでしょうか。
TEXT からふるライダー