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映画「花とアリス」友情と恋に揺れる2人の少女を描くノスタルジーな青春ラブストーリー!

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数々のヒット作を生む岩井俊二監督の名作映画『花とアリス』。どこに行くのも一緒だった2人の少女が、恋によって関係を変えていく青春ラブストーリーです。ピュアで眩しい少女時代に戻れるような『花とアリス』の魅力を紹介します。

岩井俊二監督が描くさわやかで切ない青春映画


2004年公開の映画『花とアリス』は、少女たちの友情と恋を描く青春ラブストーリーです。

当初はチョコレート菓子のキットカットが発売30周年を迎えることを記念し、岩井俊二監督により3部作のショートフィルムとして製作されました。

製作・監督・脚本をすべて担当した岩井監督が、長編作品として新たに製作したのが本作です。

2015年には本作の前日譚、主人公たちの出会いを描いたアニメ映画『花とアリス殺人事件』も制作されました。

本作は青春映画らしいさわやかさと、大人になっていく過程で味わう切なさが心に残る作品です。

少女たちの日常を繊細に描いた本作のあらすじや見どころを紹介します。

映画「花とアリス」のあらすじ

▲『花とアリス』予告編 | hana and alice - Trailer

同じバレエ教室に通う中学生のアリスは、どこに行くにも一緒の親友です。

ある日の通学中の電車の中で、アリスは高校生のデイヴに惹かれ、花はデイヴと共に通学する宮本雅志するようになります。

アリスの方はすぐに熱が冷めましたが、花の恋心は増すばかり。

やがて2人は宮本と同じ高校に進学し、花は彼を追いかけて同じ落語研究会に入部します。

ある日の帰り道、彼の後をつけていた花は、本を読みながら歩いていた彼が倒れ、頭を打ち気絶したところに駆け寄り声を掛けます。

ぼんやりとした意識のまま誰なのかを聞かれる花。

これを好都合と考え、彼に告白された過去があると嘘をつき、彼を記憶喪失に仕立て上げます

強引にも付き合い始めた彼らでしたが、話の流れから先輩の元カノが必要になったため、アリスを元カノという設定にしました。

記憶にない過去を知ろうとアリスに近づく彼に、アリスも親切に元カノのフリをしてあげます。

そのうち、彼はアリスに想いを寄せるようになり、元カノへの恋心が戻ってきたと勘違いすることに。

そこから微妙な三角関係が始まります。

演技派キャストが青春ストーリーを美しく彩る

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本作の主演を務めるのは、演技派女優として幅広く活躍する鈴木杏蒼井優です。

純真であどけない少女を等身大に演じ、美しい世界観をつくり出しています。

当時17歳の鈴木杏は、幼い頃からの長いキャリアを感じる繊細かつ大胆な演技で花を演じました。

19歳だった蒼井優はアリスを自然体で演じ、特にラストのバレエを踊るシーンが美しいと高評価を得ています。

さらに、郭智博、平泉成、キムラ緑子、相田翔子、阿部寛、広末涼子、大沢たかおなど豪華俳優陣が出演。

他にも多彩なキャストがひそかに登場するため、誰がどんな役をしているのかに注目するのも面白いですよ。

懐かしい青春時代を想起させる友情の美しさに惹かれる


本作では中学生から高校生にかけて、まだ幼さの残る少女の心情をリアルに描いています

花は一見大人しそうに見えて、尾行や盗撮などストーカー行為を繰り返す危うさと、自身のピンチには親友さえ売ってしまう残酷さの持ち主

しかも先輩に何とか近づこうと記憶喪失という大それた嘘をつくところは、少女ならではのファンタジーな思考が見えてきます。

一方、おてんば娘に見えるアリスは、花が何をしようと一切否定せず、彼女の作戦を当然のように受け入れる受け身の性格です。

そして、花がいなければ半身を失ったかのように静かになってしまい、原宿でのスカウトからモデル事務所に所属するものの、自己アピールもろくにできなくなってしまいます。

しかし、2人の間に先輩が加わることにより、花は一緒にいてくれるアリスを突き放し、アリスは花に内緒で先輩とデートに出かけるなど、徐々に関係が変化していきます。

2人で1つに見えていた少女たちが、他の人の介入で個々の女性に成長するストーリーは、多くの女性にとって共感を覚えるでしょう。


ベースとなる内容は、高校生の三角関係というおなじみのものです。

ところが、そこに岩井俊二監督の独特な感性がかけ合わさることで、青春のみずみずしさとその時にしかない美しさがはっきりと映し出されています。

自然光が効果的に取り入れられ、映像の眩しさにきっと自身の思い出が重なるはずです。

そして美しい映像は、お互いに「君」と呼び合う少女たちの持つ微妙な距離感を浮き彫りにしています。

女友達の独特な関係性を映し出し、恋人では埋められない友情の大切さに、気づかせてくれますよ。

「花とアリス」は映画の世界観を創り出す癒しの主題歌

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本作では、使用される音楽もすべて岩井俊二監督自身が手掛けています。

ノスタルジックなピアノ曲で統一され、映画の懐かしい空気感を引き立てているのが特徴的です。

なかでもメインテーマの『花とアリス』は、映画予告にも使用されています。

ピアノによるクラシックサウンドの雄大さと、シンセサイザーを用いた二転三転する愛らしい曲調がマッチし、主人公たちを象徴させる一曲です。

聴いているだけで自然と思い出が蘇ってくるような、気持ちが安らぐ温かみが感じられますよ。

映画「花とアリス」で友情の尊さを感じよう


映画『花とアリス』は、青春時代の眩しくて少し厄介な少女の友情を描いた作品です。

大人になると笑ってしまうようなことも、中学生や高校生の頃には全力で楽しんでいたのではないでしょうか。

それは何をするかよりも、誰としたかが重要なのかもしれません。

気心の知れた友人と過ごす時間は何にもかえられないことを、本作は教えてくれるでしょう。

本作を観たら、きっと友人に会いたくなりますよ。


TEXT MarSali

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