周囲の声に抗う強い信念を示す楽曲
『不協和音』は2017年4月5日に発売された、欅坂46の4枚目のシングル曲です。社会への強いメッセージを訴えかけるクールな楽曲とパフォーマンスで大人気の欅坂46。
2015年のデビュー当初から、多くの女性アイドルグループとは一線を画しました。
彼女たちの楽曲なかでも『不協和音』は特に迫力があり、あまりに激しいダンスにステージ上でメンバーが倒れるハプニングが起きたことも。
一方で、この楽曲から新たなフェーズに突入したと言われるほど、メンバー全員のパフォーマンスの完成度と表情が強く印象付けられた楽曲です。
もちろん歌詞からも、彼女たちの堅い信念が感じられます。
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僕はYesと言わない
首を縦に振らない
まわりの誰もが頷いたとしても
僕はYesと言わない
絶対 沈黙しない
最後の最後まで抵抗し続ける
≪不協和音 歌詞より抜粋≫
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いかに周囲になじむかが重視される世の中で、自分の考えを曲げないのは難しいことです。
しかし歌詞の冒頭から、世間の波に抗う意思がうかがえます。
世間一般のアイドル像とは異なる道を進み続ける、欅坂46の決意表明とも受け取れるでしょう。
自分と異なる意見を肯定することは決してしないという覚悟には、姿勢を正されるような強さがありますね。
「不協和音」になることを恐れない
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ここで同調しなきゃ裏切り者か
仲間からも撃たれると思わなかった
≪不協和音 歌詞より抜粋≫
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時には、信念が揺らぐような事態に直面することもあります。
仲間からの思わぬ攻撃や、意見の食い違いを経験する時には特にそうです。
ここで出てくる「仲間」とは、共に励むメンバーやアイドル業界、応援してくれているはずのファンのことかもしれません。
見えない壁を感じながら、自身が裏切り者になるのを恐れて同調するか葛藤している気持ちに、共感を覚える人も多いのではないでしょうか?
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僕は嫌だ
≪不協和音 歌詞より抜粋≫
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それでも、はっきりと「僕は嫌だ」と叫びます。
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不協和音を
僕は恐れたりしない
嫌われたって
僕には僕の正義があるんだ
殴ればいいさ
一度妥協したら死んだも同然
支配したいなら
僕を倒してから行けよ!
≪不協和音 歌詞より抜粋≫
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タイトルの「不協和音」とは、周囲の意見と異なる声を上げる、自身の発言のようです。
たとえ周囲に嫌われようとも自分が信じる正義を貫き、声を上げ続ける意思を言い表しています。
他人と違うことを恐れない姿勢は、自分らしくあるという自身への誓いと、現代を生きるすべての人へのエールが込められているように思えます。
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君はYesと言うのか
軍門に下るのか
理不尽なこととわかっているだろう
君はYesと言うのか
プライドさえも捨てるか
反論することに何を怯えるんだ?
≪不協和音 歌詞より抜粋≫
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仲間だった「君」はプライドを捨て、周囲に同調する方を選んでしまいました。
恐らく主人公を撃ったのは「君」でしょう。二人の意見は真っ向から対立します。
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見て見ぬ振りしなきゃ仲間外れか
真実の声も届くって信じていたよ
≪不協和音 歌詞より抜粋≫
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正義を貫く正しさを訴えかけていれば、また以前のように仲間に戻れると信じていた主人公の切なさが伝わってきますね。
正義を貫く者には新しい世界が待っている
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僕は嫌だ
≪不協和音 歌詞より抜粋≫
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二度目のこのフレーズは、変わってしまった「君」への痛烈な叫びです。
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不協和音で
既成概念を壊せ!
みんな揃って
同じ意見だけではおかしいだろう
意思を貫け!
ここで主張を曲げたら生きてる価値ない
欺きたいなら
僕を抹殺してから行け!
≪不協和音 歌詞より抜粋≫
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二番のサビは「君」へ伝えようとしている言葉のようですね。
世の中にあふれる既成概念は、声を上げなければ決して変わりません。
意思を貫くことを恐れていては、社会が変革することはないのです。
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ああ 調和だけじゃ危険だ
ああ まさか 自由はいけないことか
人はそれぞれバラバラだ
何か乱すことで気づく
もっと新しい世界
≪不協和音 歌詞より抜粋≫
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欅坂46は一般的なアイドルの枠を壊し、まさに「新しい世界」を見せてきたグループです。
そこに行き着くまでには、いくつも葛藤があったことでしょう。
しかし、彼女達は再度叫びます。
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僕は嫌だ
≪不協和音 歌詞より抜粋≫
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圧力をかけてくるあらゆるものへの怒りを胸に、最後まで周囲と同じであることを明確に拒んでいます。
自分らしくあるということは、簡単なことではありません。
大切な仲間を失ったり孤立したりすることもあります。
それでも自身の正義を貫いた先には、きっと誰も見たことのない世界が待っているはずです。
そんな希望と勇気が湧いてくる歌詞ですね。
『不協和音』の歌詞の通り、信念を持って変革を続ける彼女たちの今後の活躍から目が離せません。
TEXT MarSali