紅白で4年連続で『女々しくて』を披露したゴールデンボンバー。ここ数年の紅白の風物詩のようになってきました。紅白は昔から賑やかし要員のアーティストがいましたが、ここ数年はこのエアバンドの独壇場です。『女々しくて』自体は2009年の曲。ロングランヒット曲なんですね。
更新日:2022年5月10日
紅白で4年連続で『女々しくて』を披露したゴールデンボンバー。ここ数年の紅白の風物詩のようになってきました。紅白は昔から賑やかし要員のアーティストがいましたが、ここ数年はこのエアバンドの独壇場です。『女々しくて』自体は2009年の曲。ロングランヒット曲なんですね。
ゴールデンボンバーは2015年もシングルを出しています。それが『死 ん だ 妻 に 似 て い る』。これも面白い曲ですが「死んだ」を連呼するためか、紅白では歌われませんでした。
各メンバーの体臭カードを封入し「フレグランス」として発売という異色の展開をした曲です。
出会った女性にプロポーズをしたい「なんでも御座れの三十路」である曲の主人公。しかし、この女性が「死んだ妻に似ている」という内容の曲。ゴールデンボンバーの曲は作詞作曲を担当する鬼龍院翔の実体験をもとにしたものが多いですが、この曲は完全に架空の物語。笑いとホラー要素が融合しているこのグループならではの曲です。
Aメロはラップ。「Hey!脂乗ってきた」「色々苦労もしてきた」「バリバリ働き盛りの」「何でも御座れの三十路だ」「仕事も遊びも本気なんだが」「だけど何かが足りないんだ」「まだまだまだまだ間駄麻堕摩惰魔打」「忘れらんない」この一連のフレーズをたたみかける勢いのある構成。「のってきーた」」「しってきーた」「みっそじーだ」と「OEI-A」の音と語尾の「TA」「DA」の音でリズムを作り、念仏のように唱える歌唱。ここがあるおかげで、その後とサビのメロディが際立つようにできています。この念仏のごとき現状で女神のような彼女に出会ったのでメロディが鳴り響くという、歌詞の内容と曲の構成がリンクしているんですね。
サビのオチでタイトルの「死んだ妻に似ている」のフレーズがやってきます。「ハァーどっこい!」が入るところがこのバンドらしさ。「死んだ、死んだ、死んだ 死 ん だ 妻 に 似 て い る」
このタイトルフレーズはなぜスペースが空いているのでしょうか?これは恐怖の表現。一語一語に間隔が空いていることで不安定なイメージを読む者に与えます。このスペースに何かが潜むようなイメージを植え付ける表記。死んだ妻が霊としてのりうつったように感じられるという展開。実際、この曲のMVはホラー仕立てです。
また、ツッコミの「隙」を入れているとも言えるでしょう。タイトルだけ聞くとどんな曲?と思うはず。それも狙って、あえてツッコミやすいスペース、隙を作っています。
MVの振付は『ようかい体操第一』の振付でも有名なラッキイ池田。激しく踊るユニークな振付です。歌広場淳の振付解説動画もある親切仕様。
MVでは喜矢武豊が「死んだ妻」を演じ、喜矢武豊に似ている菊地亜美が「死んだ妻に似ている彼女」を演じています。喜矢武豊と菊地亜美が似ている!から成り立っている企画です。MV内では映画『ゴースト』のパロディシーンもあり。ホラーと笑いの要素を融合させた意欲作。できればこの曲も紅白で観たかったですね。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)