きらめく宝石は男が抱いた愛の象徴
『エメラルド』は、2020年10月12日に各音楽配信サービスでリリースされたback numberの新曲です。作詞作曲は清水依与吏が担当し、ドラマ『危険なビーナス』の主題歌に起用される事が決定しました。
多くの恋愛ドラマの主題歌に起用されてきたこれまでの楽曲とは一味違い、スリリングかつコミカルなラブサスペンスドラマにマッチした、ムードある楽曲に仕上がっています。
タイトルや歌詞に登場するエメラルドとは、ギリシャ神話の愛の女神・ヴィーナスに捧げたとされるグリーンの宝石のこと。
愛の象徴である宝石の名を冠したこの楽曲に込められている歌詞の意味を、深く掘り下げていきましょう。
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撫でるよりも丁寧に
それでいて深い傷を残す
君の6秒間のキス
≪エメラルド 歌詞より抜粋≫
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歌詞の冒頭から意味深なフレーズですね。
恋愛心理学によると、人は7秒間見つめ合うと恋に落ちるという「7秒間の法則」があるとされています。
しかし、ここで主人公の男性が「君」としているのは、丁寧なのに心に傷を残す「6秒間のキス」。
一見関係が深そうな2人ですが、実は2人の距離感を女性側がコントロールしているようです。
見えない心に翻弄されてもかまわない
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降り注ぐスパンコールの雨
よく目を凝らせば
僕の愛が吹きこぼれた泡だ笑えるね
≪エメラルド 歌詞より抜粋≫
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ストレートに綴られたアダルトな歌詞からは、2人の濃厚な夜のひと時が垣間見えます。
とはいえ身体を重ねていながらも、そこにあるのは「僕の愛」であり、彼女の愛は伴っていないのかもしれません。
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エメラルドのシャツの奥できらめく
生身の君の正体を 夢見る僕の切なさよ
恋しいのさ 今君の未来は 誰のものなの
≪エメラルド 歌詞より抜粋≫
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サビで綴られた「エメラルドのシャツ」は「生身の君の正体」を包んで隠す衣を比喩的に表現しているのです。
彼は、彼女の気高い宝石のような美しい外見の「奥できらめく」本心を知りたい、という想いを抱えています。
さらに、彼は彼女を深く愛しているのに、彼女の未来に自身がいるとは思えないようです。
想像してもたどり着けない未来に余計に惹かれ、振り回されている様子がうかがえます。
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シビれるくらい堪能したい
毒入りの君でも
≪エメラルド 歌詞より抜粋≫
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2番では、自身を魅了する彼女を「毒入り」と表現していますね。
味わえば苦しむと分かっているのに、彼は「堪能したい」と望みます。
どれほど愛しても同じだけの愛を返してもらえないことに気づいていながら、それでもいいと思えるほど彼女に恋焦がれているのです。
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お好みなら這いつくばって
首輪も付けるぜ
≪エメラルド 歌詞より抜粋≫
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まるで忠犬のように、彼女に振り回されることを受け入れています。
この楽曲のジャケットデザインがエメラルドグリーンに染まる犬となっているのも、彼女への想いに支配された彼を象徴しているのでしょう。
最後まですべて彼女の思い通りに
そして、曲の最後はこう締め括られています。
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苦しいのさ 今その指先で とどめを指してよ
≪エメラルド 歌詞より抜粋≫
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いくら愛を示し身体を重ねても何も返してくれない彼女に、いっそこの恋を終わらせてほしいと願う彼。
膨らみすぎた想いを自身の手で終わらせることはできないけれど、彼女が関係の終わりを望むのであれば受け入れる覚悟を示しています。
最後の最後まで、彼は彼女に翻弄されることを望んでいるということです。
全体的に受け身の歌詞は少し情けなく思えるかもしれませんが、リアルな想いに共感する男性も多いのではないでしょうか。
かっこいいメロディと色っぽい歌声が歌詞とマッチし、大人の恋模様を見事に描いていますね。
back numberのモデルチェンジとなる楽曲『エメラルド』の魅力を、じっくり味わってみてください。
TEXT MarSali
Vocal & Guitar : 清水依与吏(シミズイヨリ) Bass : 小島和也(コジマカズヤ) Drums : 栗原寿(クリハラヒサシ) 2004年、群馬にて清水依与吏を中心に結成。 幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年現在のメンバーとなる。 デビュー直前にiTunesが選ぶ2011年最もブレイクが期待でき···