自立した女性が過ごす寂しい部屋
NMB48およびAKB48を卒業後、シンガーソングライターとして高い実力を見せつける山本彩。
2020年9月17日には、4thシングルとなる『愛なんていらない』が配信リリースされました。
モスバーガーの新TVCMのタイアップ曲として書き下ろされた楽曲で、CMの「自立した女性」というテーマに合わせ、自分自身の等身大の気持ちを織り交ぜて歌詞を綴ったそうです。
ストレートで切なさも漂う『愛なんていらない』というタイトルにはどんな思いが込められているのか、歌詞の意味を探っていきましょう。
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空っぽの部屋 肌寒い風
静かに時間が過ぎていく
ここに誰かがいることだって
浮かんでくるけど
≪愛なんていらない 歌詞より抜粋≫
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主人公の女性は、独りぼっちの部屋にいます。
かつては、その部屋で一緒に過ごしていた人がいたのでしょう。
自身の生活の拠点でありながら「空っぽ」に思えるような、寂しい雰囲気が伝わってきます。
彼女はどうして「愛なんていらない」とまで思うようになったのでしょうか?
愛よりも一人で生きる方を選ぶ
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期待するのはもうやめたんだ
傷つくくらいなら 一人のままで
生きていける
≪愛なんていらない 歌詞より抜粋≫
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彼女は信じていた人に裏切られ、傷つけられたようです。
「期待するのはもうやめた」という言葉からすると、期待しては裏切られる経験を何度もしたのかもしれません。
大人になるにつれて様々な経験値は増えていきますが、その反面打たれ弱くなることもあります。
「傷つくくらいなら」一人を選ぶ女性も多いでしょう。
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愛なんていらない 心が削れるだけだ
今更誰かがいなくても生きていける
≪愛なんていらない 歌詞より抜粋≫
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サビでタイトルのフレーズが出てきます。
喜びを与えてくれるはずの愛は、彼女にとっては「心が削れるだけ」のもの。
愛が不要なものに思えるほど深く傷ついている様子を想像すると、切なくなりますね。
一人で生きることにも慣れているようです。
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強い人だと思われること
嫌いな訳じゃなかったけど
気付けばもたれかかれる背中が
どこにもなかった
≪愛なんていらない 歌詞より抜粋≫
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自立している女性は「強い人」と思われがちです。
彼女自身もそれを受け入れていましたが、いつの間にか頼れる存在がいなくなっていました。
周囲にとって頼りがいのある人は、つい頼らなくても大丈夫な人に見えてしまいますが、本当は彼女も「もたれかかる背中」を探しているのです。
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愛なんていらない 心が削れるだけだ
今更誰かがいなくても生きていける
それじゃ得られないものが
沢山ある事だって わかってるけど
≪愛なんていらない 歌詞より抜粋≫
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彼女は一人でも問題なく生きられると考えていますが、一方で愛からしか「得られないもの」があることも理解しています。
しかし、自分の心が壊れていくのを感じながら、誰かを愛することはできません。
愛に生きるか孤独に生きるかの究極の二択を前に、彼女は孤独を選びました。
今を大切に生きる前向きさ
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愛がなくては 生きてはいけないような
自分ではないし 簡単には変わらない
すぐに忘れる どうせそんな程度のこと
≪愛なんていらない 歌詞より抜粋≫
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言葉では気丈に振る舞っていても、寂しさは当然あるはずです。
ところが、心の穴さえ「すぐに忘れる どうせそんな程度のこと」と割り切っています。
きっと強がりではなく、本心でそう思っているのでしょう。
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いつも通り 過ごしながら一人
今を生きていくんだ
≪愛なんていらない 歌詞より抜粋≫
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過去に負った傷やつらさは過去に置いて「今を生きていく」。
そんな決意表明をして、この曲は幕を閉じます。
未来のことは誰にもわかりません。
だからこそ、前を見据えて今の一瞬一瞬を大切に生きていくしかないのです。
そんな懸命に生きる女性の姿は、きっと周囲にも良い影響を与えます。
切なく感じる歌詞ですが、爽やかな曲調とマッチしてとても前向きな気持ちにしてくれる楽曲です。
頑張る女性を優しく包み込んでくれるでしょう。
TEXT MarSali