雨の日に訪れた別れ
『最後の雨』は、1992年に発売された中西保志のシングル。今から30年近く前の楽曲ですが、今も尚多くのアーティストにカバーされている名曲です。
切ない別れの情景や気持ちが描かれた歌詞をチェックしてみましょう。
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さよなら呟く君が
僕の傘 残して
駆けだしてゆく
哀しみ 降り出す街中が
銀色に煙って
君だけ 消せない
≪最後の雨 歌詞より抜粋≫
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まずは冒頭の歌詞。
2人は同じ傘に入っていたようです。
しかし、「さよなら」という言葉とともに恋人は走り去ってしまいます。
そしてそんな彼女の姿を目で追っているなんて、冒頭からドラマのワンシーンのようですね。
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最後の雨に
濡れないように
追い掛けて
ただ 抱き寄せ
瞳閉じた
≪最後の雨 歌詞より抜粋≫
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続く歌詞はもっとドラマチック。
走り去る彼女を後ろから抱きしめます。
現実ではなかなかないシチュエーションかもしれませんが、離れつつもどこか「追ってほしい」と思う女性の心をしっかり捉えているようですね。
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本気で忘れるくらいなら
泣けるほど
愛したりしない
誰かに盗られる
くらいなら
強く抱いて 君を壊したい
≪最後の雨 歌詞より抜粋≫
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「忘れるくらいなら、愛したりしない。」
シンプルですがとてもストレートで強い愛のメッセージです。
こんなことを言われたらドキッとしてしまいます。
特に別れ際に言われたら、もう一度気持ちが傾いてしまうかもしれません。
「君が他の人のところに行ってしまうくらいなら壊したい」というのも、かなり情熱的なメッセージ。
去りゆく彼女をなんとしてでも引き止めたいという強い思いを感じます。
別れの原因は一体なに?
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ほどいた髪を広げて
僕の夜 包んだ
優しい人さ…
≪最後の雨 歌詞より抜粋≫
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こちらは2番の冒頭の歌詞。
歌詞の内容から、2人にも幸せなひと時があったことがわかりますね。
しかし、その時間は長くはなかった様子。
次の歌詞に注目してみましょう。
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不安な波にさらわれる
砂の城 怖くて
誰かを求めたの?
強がりだけを
覚えさせたね
微笑みは もう
二人の夢を見ない
≪最後の雨 歌詞より抜粋≫
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「波」というフレーズから、彼女側は幸せを感じている時間だけでなく、彼との関係や将来を不安に感じる瞬間が時々あったことがわかります。
もしかしたら、幸せに浸っていたのは彼だけだったのかもしれません。
そして彼女はそんな不安を知られないよう、彼に気を使って生活していたのでしょうか?
すれ違う気持ちが、別れの原因になったようですね。
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不安な波にさらわれる
砂の城 怖くて
誰かを求めたの?
強がりだけを
覚えさせたね
微笑みは もう
二人の夢を見ない
≪最後の雨 歌詞より抜粋≫
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別れる瞬間の彼女の姿でさえ、自分のものとして大切にしたい様子。
まだ彼女を愛しているのでしょう。
「君を忘れない」と前を向こうとする思いにも切なさを感じます。
結局彼は諦めることができた?
彼女への強い未練を抱く彼は、最終的にどうなったのでしょうか?
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明日の君を
救える愛は
僕じゃない でも
このまま 見つめている
≪最後の雨 歌詞より抜粋≫
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まだ彼女を愛しているものの、彼女を幸せにできるのは自分ではないと気づいた彼。
ついに彼女との未来を諦めます。
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言葉に出来ないのが愛さ
言葉では 君を繋げない
行き場ない愛がとまらない
傘を捨てて
雨を見上げてた
≪最後の雨 歌詞より抜粋≫
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それにしても、傘を捨てて雨に打たれながら天を仰ぐなんて、本当にドラマのワンシーンのようですね。
彼が打たれているのは彼女との最後の思い出を彩った雨。
もう少しだけ彼女との余韻に浸っていたいのかもしれません。
とてもドラマチックで切ない楽曲『最後の雨』。
ぜひ皆さんもじっくり聴いて、楽曲の世界観に浸ってみてください。
TEXT ゆとりーな