恋に傷つく女性のリアルな感情を綴る楽曲
YouTubeやTikTokへの弾き語り投稿から人気に火がついた注目アーティスト・あれくん。音楽ユニット「夜韻-Yoin-」のメンバーとしても活躍する彼が、2020年8月21日にラブバラード『好きにさせた癖に』をリリースしました。
あれくんの魅力である、繊細さを持ちつつ存在感のある歌声が、女性目線の切ない恋心をしっとり歌い上げている楽曲です。
リアルな内容が胸に迫る歌詞の意味を考察していきましょう。
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好きになってしまったんだよ あなたを
好きにさせてしまったんだよ あたしを
好きにさせといたくせに 無責任な話だな
あぁ馬鹿馬鹿しい 灯を喰らう夜に
≪好きにさせた癖に 歌詞より抜粋≫
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冒頭から「好きになってしまった」とあることから、彼女がこの恋に後悔していることが伝わりますね。
彼女を好きにさせた彼が「無責任」ということは、彼女の想いを知ってはいるものの2人は恋人同士ではないのでしょう。
彼を想う気持ちが「馬鹿馬鹿しい」と感じるほど、その関係に飽き飽きしているようです。
ジャケットイラストで女性がスマホに手をかけていることから、「灯を喰らう夜」とは夜にスマホの光を浴びている様子を描いているのかもしれません。
もどかしい関係をやめて彼への想いを捨てたいのに、気づけば彼からの連絡を待っている自分も「馬鹿馬鹿しい」と思っているのでしょう。
つらい恋をやめられない自分がもどかしい
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好きの数だけ自分を嫌いになって
不安がその度 頭を廻って
このまま時間が解決してくれると思ってた
だけど、そんなことはなくて
君は都合のいい時だけ
Lineのメッセージを
送っては消してを繰り返してる
≪好きにさせた癖に 歌詞より抜粋≫
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好きな人を想えば思うほど相手の好きなところが増えていくというのは、恋する誰もが共感できるでしょう。
彼女は、そうして好きなところが増える度に「自分を嫌いになって」不安が増しています。
相手への想いが強くなると、嫉妬や気持ちが伝わらないつらさでネガティブな気持ちになることがありますよね。
少し距離を置いて、時間に解決してもらおうと思っていても、そんな時に限って彼から連絡がやってきます。
彼が「メッセージを送っては消してを繰り返している」というのは、一度は送ったのに彼女が見る前に消していると想像できそうです。
そんなことをされるとどんなメッセージを送ってきたのか、余計に気になってしまいますよね。
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二人で結んだ筈の紐が気づけば
解れていって 忘れられて 置いてかれて
知らないような顔であなたはやり過ごして
本当に勝手だよね
≪好きにさせた癖に 歌詞より抜粋≫
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「二人で結んだ筈の紐」は、赤い糸を意味していると考えられますね。
両想いだと思っていたのに、いつの間にか彼が離れていき、彼女は一人寂しい気持ちを抱えています。
彼はその切なさにも気づいていながら、「知らないような顔」でまた彼女の前に現れるのでしょう。
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どうせあたしが好きじゃないなら
ほっといてよ
どうせあたしが好きじゃないなら
そっとしといてよ
どうせあたしに興味がないなら
思わせぶりな態度はしないでよ
最初からしないでよ、、、
≪好きにさせた癖に 歌詞より抜粋≫
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自分のことが「好きじゃない」と分かっているのに、思わせぶりな態度をとられ思わず恋に落ちてしまった。
そんな経験がある女性は多いのではないでしょうか。
相手がわざとしているのか無意識なのかに関わらず、恋をしてしまった方はやがて悲しい気持ちを抱えます。
とはいえ、つらい恋と分かってはいても、好きになってしまえば止められないものです。
そのジレンマが、楽しいはずの恋を苦しいものに感じさせてしまいます。
捨てられない想いは大切に持っていればいい
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恋に落ちてしまったんだよ あたしは
愛に対をかけてきたんだよ あなたは
≪好きにさせた癖に 歌詞より抜粋≫
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ここで「愛に対をかけてきた」という聞き慣れないフレーズが出てきます。
「かける」とは、あるものにあるものをかけ合わせる時に使う言葉ですよね。
2に2をかけると4になるように、同じものをかけ合わせると量や価値が増していきます。
しかし、ここでは愛に愛ではなく「対」がかけられています。
音は似ている言葉ですが、正反対のものを指す場合が多い言葉です。
愛の反対は無関心。
おそらく彼女の示す愛に彼は愛を返すことなく、思わせぶりなのに無関心な態度を取ってきたことを示しているのではないでしょうか。
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好きにさせといたくせに
『勝手に好きになったんだろ?』って
あぁ馬鹿馬鹿しいなぁ
≪好きにさせた癖に 歌詞より抜粋≫
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実際、彼は「勝手に好きになったんだろ?」と言っています。
彼がずっとこんな態度を示してきたとしたら、彼女は彼を想う日々を重ねるごとに深く傷ついてきたのでしょう。
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あぁ馬鹿馬鹿しい あなたを好きになってさ
好きになってしまったんだよ あなたを
≪好きにさせた癖に 歌詞より抜粋≫
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曲中で何度も繰り返される「馬鹿馬鹿しい」のフレーズ。
この不毛な恋も、愛を返してくれない彼を好きでいる自分も、もはやどうでもいいとさえ感じているようです。
しかし、最後の最後で冒頭と同じく「好きになってしまったんだよ あなたを」とこぼしています。
どれほど後悔しても、彼に恋をし続けている事実は変えられません。
何度「馬鹿馬鹿しい」と切り捨てようとしても、根付いた恋心はどうしようもできないのです。
それならば、その気持ちに無理に抗おうとするのはやめて、身を任せてもいいのではないでしょうか。
『好きにさせた癖に』は人を愛することの切なさや苦しさが詰まった言葉の中に、恋の力の強さがにじみ出たような楽曲です。
恋に悩む女性の心をそっと包み込んでくれますよ。
TEXT MarSali