悲しみの涙は幸せのためのもの
TikTokやYouTubeなどのSNSで高い人気を誇る女性シンガーソングライターのshimamo。
彼女の活動5周年の幕開けに2020年8月22日に行われたワンマンライブで、より自身の歌を広めるために2次元の世界で『しまも』として活動することを発表しました。
8月28日には、しまもとして最初のデジタルシングル『ホームメイド』をリリース。
ステイホームで突然ファンと会えなくなったことから、これまでと違う日常が嫌になってきた人の心に寄り添いたいという思いで作り上げたそうです。
主人公の男性が恋人に向けて語りかける歌詞の内容から意味を読み解きましょう。
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ねえ聴いて
悲しみには数えきれない
理由があるってこと
ねえ聴いて
幸せには数えきれない
涙があるってこと
心離れても
そっと思い出して
≪ホームメイド 歌詞より抜粋≫
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「ねえ聴いて」と優しく言い聞かせるように呼びかけていることから、恋人は悲しみに襲われていて幸せを感じられなくなっていると考えられます。
そんな彼女に対して、涙が出るほど悲しい日々を送っているとしても、それは幸せのために必要なのだと伝えているのでしょう。
生きていれば悲しみは避けられませんが、その先に幸せがあると考えると心が軽くなりますね。
離れていても愛があればきっと分かり合える
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君の側で歌えないなら
ラブソングも歌えないなら
しまっておくよ
思い出も全部
≪ホームメイド 歌詞より抜粋≫
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「君の側で歌えないなら」というフレーズは、ふたりが離れて暮らしていることを示しているのかもしれません。
なかなか会えないから、会える時までは相手が恋しくなるラブソングも思い出も心にしまっておこうとしているようです。
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なのに愛がないと言うなら
夢の中で歌ってみせよう
遥か空の下
この気持ちも寂しい距離も
分かち合おう
僕らは愛でできてる
≪ホームメイド 歌詞より抜粋≫
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しかし、彼女は彼の考えに気づかず「愛がない」と不満を漏らします。
すると彼は「夢の中で歌ってみせよう」と告げていますね。
どこにいても空が繋がっているように、距離は離れていても愛しさや寂しさを分かち合えると信じています。
なぜなら「僕らは愛でできている」と言えるほど、互いに強く想い合っているからです。
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ねえ聴いて
好きっていうのは
心から心へ伝わるもの
なのに僕は
電話越しの君のサインに
まだ気づけなくてさ
≪ホームメイド 歌詞より抜粋≫
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愛情は「心から心へ伝わるもの」。
だからこそ距離は関係ありません。
とはいえ、彼は電話の向こうで彼女が寂しい気持ちを示すサインを出していることに気づけないでいます。
矛盾しているようですが、どれほど愛していても相手の本当の気持ちを理解するのは難しく、顔を見たり触れたりできない状況ではさらに困難になりますよね。
しかし彼は「まだ気づけなくて」と言っているので、これから気づけるようになっていくつもりだと解釈できるでしょう。
愛情の深さが感じられます。
ふたりの温かい愛はホームメイド
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午前0時 冷たいガラスの前
君が浮かんで 少し晴れた
きっと君も 頑張ってるかな?
この夜明けたら
また会いに行くから
≪ホームメイド 歌詞より抜粋≫
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「午前0時の冷たいガラス」とは、深夜の空気で冷えた窓のことだと考えられますね。
冷たい窓の前でひとり景色を眺める様子を想像すると、寂しさが伝わってきそうな描写です。
一日の疲れを抱えて眠る前に、大切な人のことを思い浮かべる人は多いですよね。
彼も毎日を頑張って過ごす彼女のことを誇らしく思いながら、眠りにつくのでしょう。
彼女の方も、きっと彼のことを考えているはずです。
歌詞には出てこない「ホームメイド」がタイトルにつけられたのは、おそらくファンの存在がなければ生まれなかった楽曲だから。
ファンとの関係を一組のカップルに見立て、ふたりで育む愛情のように一緒になって作った歌だという気持ちがあるのではないでしょうか。
そして、夜が明けてから主人公が彼女に会いに行くのと同じく、しまも自身も早くステイホームの期間を終えてファンの元に会いに行きたいと願っているのかもしれませんね。
音楽とファンへの愛情あふれるしまもの楽曲は、きっと多くの人の心に優しく触れるでしょう。
TEXT MarSali