「グッバイ宣言」の舞台は緊急事態発令中の都会
『グッバイ宣言』は、2020年11月にリリースしたChinozo初のフルアルバム「The Deluge」にも収録されている楽曲です。
疾走感のあるロックサウンドに畳みかけるような言葉の数々が特徴的。
聴いていて気分が上がると国内のみならず、海外からも人気を得ています。
『グッバイ宣言』でChinozoが全人類に捧ぐ「引きこもりよ、狂い咲け」というメッセージは一体何を意味しているのでしょうか?
歌詞から考察していきます!
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エマージェンシー 零時 奴らは
クレイジー・インザ・タウン 家に篭って
ゴロゴロ ゴロゴロと
堕楽の夜に 絡みついた
≪グッバイ宣言 歌詞より抜粋≫
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「緊急事態」という意味の「エマージェンシー」という歌詞から、ただならぬ雰囲気の街が舞台のようです。
狂気に満ちた中、緊急事態が発せられる深夜零時に奴らは家に籠ってなにやらゴロゴロしている様子。
奴らとはこの楽曲のテーマともいえる「引きこもり」のことでしょうか。
怪しげな歌詞に引き込まれますね。
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ルルル 放つ言葉は ルルル 腐っていた
正論も常識も 意味を持たない都会にサヨウナラ!
≪グッバイ宣言 歌詞より抜粋≫
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「ルルル」とつい口ずさみたくなるようなフレーズで始まるBメロの歌詞。
今までの常識も全て覆されていく日々や、善悪のつかない混沌とした都会の情景が浮かび上がります。
まさに現在の状況と重なるような歌詞ですね。
そんな都会に颯爽と「サヨウナラ」を告げ、曲はついにサビに突入します。
謎のフレーズ「引き籠り 絶対 ジャスティス」の意味
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引き籠り 絶対 ジャスティス 俺の私だけの 折の中で
聴き殺してランデブー 俺の私の音が 君に染まるまで
引き籠り 絶対 ジャスティス 俺の私だけの 折の中で
聴き殺してランデブー 俺の私の音を 君が包むだけ
≪グッバイ宣言 歌詞より抜粋≫
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いいイメージをあまり持たれなかった「引きこもり」という言葉ですが、今は引き籠ることが人類の危機を救う術だとさえ言われています。
「引きこもり」とは、まさにジャスティス。
正義であると言えるのでしょう。
またサビの「聴き殺してランデブー」というパンチ力のあるフレーズは「家に籠って曲を聴きまくっているだけで、状況が好転し今までのように会いたい人に会えるようになる」
そんな希望のメッセージが込められているように感じます。
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wowow 時がきた今
wowow エゴ放つのさ
wowow 家に籠って 狂い咲く
≪グッバイ宣言 歌詞より抜粋≫
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「引き籠り 絶対 ジャスティス」と歌っていますが、家に引き籠ることを強要するような歌詞は一つもありません。
それは『グッバイ宣言』で歌われている人たちが、日頃から家に引き籠りたいと思っていた人たちだからなのでしょう。
以前からおうち時間を楽しんでいたスペシャリストとも言える人たちからすれば、今はまたとない絶好のチャンス。
「wowwow家に籠って」とおうち時間を楽しもうとする彼らのノリノリな様子が伝わってきますね。
誰もが感じる孤独の苦しみ
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エマージェンシー 零時 流石に
クレイジーな計画はお陀仏
グルグル グルグルと
世界は変わらず廻っていた
ルルル 君の視線が ルルル ぼやけて尽きる
マリオネットな感情に 気付いてしまった
≪グッバイ宣言 歌詞より抜粋≫
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おうち時間を楽しもうとあれこれ計画しますが、世界の状況は一向に良くなりません。
人と顔を合わせない日々が続き、だんだんと親しい人たちの顔がぼやけていくような寂しさが募っていきます。
家に籠ることが正義だとわかっていても、誰にも会えないことで薄れていく人間関係。
いつまで続くのかと、先の見えない不安感から疑心暗鬼に陥ってしまうことも。
家で自由にできると喜びを表現していた冒頭の歌詞とは違い、だんだんと孤独に苦しめられていく様子が伝わってきます。
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相も変わらずJamる街
止まぬNervousに 拐われないで
≪グッバイ宣言 歌詞より抜粋≫
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「Jamる」の意味は2つあります。
1つ目はジャムセッションする、いわば即興演奏、2つ目はコピー機などの紙が詰まるという意味です。
「即興演奏が行われるようなにぎやかさの残る街」や「未知のウイルス対抗策に詰まっている街」どちらの解釈もできますね。
今回は後者で解釈してきます。
見えない敵との戦いに疲弊していく街。
そんな中、神経質になってしまうのも無理はありません。
「止まぬNervousに 拐われないで」と叫び上げるように歌うこの歌詞は、孤独から生まれた不安感を拭ってくれているかのようです。
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引き籠り 絶対 ジャスティス 俺の私だけの 折の中で
聴き殺してランデブー 俺の私の音が 君に染まるまで
引き籠り 絶対 ジャスティス 俺の私だけの 折の中で
聴き殺してランデブー 俺の私の音を 君が包むだけ
wowow 時がきた今
wowow エゴ放て
恥を捨てられる 家に狂い咲け
≪グッバイ宣言 歌詞より抜粋≫
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家の中を「檻」と考えるのではなく、自分だけの空間を一緒に楽しもうと誘っているようですね。
またサビの歌詞には「俺の私の音」や「君」という言葉が複数出てきます。
こうしてたくさんの人称代名詞が歌詞に盛り込まれていることで、孤独が消し去られるような気分になりますね。
直接顔を合わせられなくても、決して独りではありません。
家の中で音楽を楽しんでいればきっと、また安心して会える日がくるでしょう。
そんな風に前向きにしてくれる歌詞ですね。
頑張る人たちへ捧げる応援歌
世界中が見えない敵と戦っている今。
制限されることも多い中で、疲弊していくばかりになってはいませんか。
Chinozoが全人類に捧ぐ「引きこもりよ、狂い咲け」という言葉には、「どんな状況でも楽しんでいこう!」という前向きなメッセージが込められているように思えます。
『グッバイ宣言』は、さまざまな状況下で頑張る人たちへ捧げる応援歌のよう。
疾走感の溢れる歌詞と踊りたくなるようなノリノリのロックサウンドで、不安な気持ちを吹き飛ばしましょう!
ぜひ『グッバイ宣言』を聴きながら、おうち時間を楽しんでくださいね。