LiSAの2021年最初のシングルはアニメ「バック・アロウ」の主題歌
アニソン歌手として確たる地位を築き、幅広い世代に愛される人気女性アーティストLiSA。彼女の18枚目のシングル『dawn(ドーン)』は、テレビアニメ『バック・アロウ』の主題歌に起用されています。
『バック・アロウ』は、壁に囲まれたリンガリンドという世界を舞台に、記憶を失った謎の男バック・アロウが壁の外を目指すうちに自身を巡る争いに巻き込まれていくというファンタジー作品です。
その主題歌となった『dawn』について、LiSAは自身のブログの中で「未来への希望の歌」と語っています。
その言葉通り、自粛期間真っ只中に作詞したという歌詞は、先行きの見えない未来に不安を抱えるすべての人の心に響く内容で、悩みの多い現代にぴったりの世界観です。
「dawn」には「夜明け」という意味があり、タイトルからも明るいイメージが伝わってきますね。
それでは歌詞の意味を詳しく読み解いていきましょう。
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welcome to the dawn of a new era
無数に広がる 夢と願いが 夜に飲み込まれ姿を消してく
試されている この答えと僕の覚悟はホンモノか?
まだ終われないな
≪dawn 歌詞より抜粋≫
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冒頭では、人々が抱く「無数に広がる夢や願い」が消えてしまう様子が描かれています。
ここで言う「夜」とは、おそらく成功のビジョンが見えない暗い現実や、気分を暗くする不安のこと。
いつか持っていたはずの輝かしい夢も、気づけばそうしたものに隠されて忘れ去られてしまうことがあります。
しかし、それは叶わないから消えたのではなく、本当にその夢を叶える覚悟があるのかを試されていたのかもしれません。
そうであれば、簡単に諦めてしまうのはもったいないでしょう。
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喜びを吸い込んで 不安を吐き出して
生かされてる意味を ずっと探してるんだよ
たとえヒトリゴトになったとしても
これが僕の確かな光と祈り
誠実に生きることで 強くなれると知った
≪dawn 歌詞より抜粋≫
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生きていれば不安はつきものです。とはいえ、溜め込んでばかりいてはもっと自分を苦しめてしまいます。
不安でいっぱいだった心の中に、代わりにたくさんの喜びを取り入れたら、きっと自身の存在意義を見つけられるはずです。
そうして見つけた「生かされている意味」は、希望の光となって暗かった未来を照らしてくれるでしょう。
何よりも大切なのはどんな未来を歩むかではなく、どんな未来でも「誠実に生きること」ということが伝わってきますね。
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見逃すな day by day ただ迷い 彷徨い いくつもの日々を追い越したんだ
生き残ったこの世界で 新しい 眩しい 幕開けを迎えに行こうか
≪dawn 歌詞より抜粋≫
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「誠実に生きる」とは、迷いながらも一日一日と真剣に向き合うこと。
あっという間に過ぎて行く日々に取り残されるような感覚に陥ることもあるでしょう。
しかし、未来へ向けて走っている自分が「いくつもの日々を追い越した」と考えると、とてもポジティブな印象に感じられます。
「新しい眩しい幕開け」を今か今かと待っている時間はつらいものです。いつまで経ってもその時が来ないようにも思えてしまいます。
しかし、幕開けが必ずやって来ると信じて自分から「迎えに行こう」とする時、もっと強い覚悟と決意を持って毎日をより誠実に生きていけるのではないでしょうか。
間違いだらけでも自身を見失わないことが大切
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愛すべきはずの大事なものが 僕らしさをまた一つ腐らせていく
守ると決めたこの正義が 時に誰かを傷つけてしまう
どこで間違えた‥?
≪dawn 歌詞より抜粋≫
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2番の冒頭では、ある「大事なもの」に対するネガティブな気持ちが描かれています。
それは「愛すべきはず」とあるように、本来であればただ純粋に愛せる存在のようです。
たとえば、家族や友人といった身近な人たちや、趣味や夢といった心の中にある気持ちかもしれません。
人によって大事なものが違っても、それらを守ろうとして別の大事なものを失ったり他人を傷つけたりすることは、誰でも経験があるでしょう。
何が原因で、どうすれば良かったのかと考えてみても、明確な答えは見つかりません。
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涙を飲み干して 幸せ噛み締めて
この存在の意味を ほら、味わいながら
例えば全てがゼロになっても
ありのままの僕に戻るだけ
≪dawn 歌詞より抜粋≫
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それでも立ち止まらず、「涙を飲み干して幸せ噛み締めて」生きていくしかないのです。
良いことも悪いことも、きっとすべてに意味があります。
もしも持っているものが何もかもなくなったとしても、それは手に入れる前のありのままの自分に戻っただけ。
一番大切な自分自身を失わないでさえいれば、ここから何でも手に入れるチャンスがあるということです。
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重ねた step by step すれ違い 間違い 傷ついてもまだ ここに立ってんだ
悩み抜いた長い夜が 悔やまない 逃げない ただ一つの僕のやり方
≪dawn 歌詞より抜粋≫
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人は弱く、「すれ違い」も「間違い」も傷つき傷つけ合うこともあります。
失敗しないことが良いのではなく、失敗をしても一歩一歩進み続け、その場に確かに立っているという事実が大切です。
「悩み抜いた長い夜」は、自身の生き方を悔やまず、障害からも逃げないための確かな根拠になるでしょう。
それは暗い現実にも負けない勇気になって、心を支えてくれるはずです。
今ある幸せを見つけながら希望を持って前へ進もう
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朱色ノ空ニ 黒ガ溶ケテ 絡ム夜明ケ
現実ト夢 混ジル狭間
滲ム月世 西ノ空ニ 堕チテ逝ク頃
玄冬ノ暮レ目 新春ノ息吹 雪月風花
≪dawn 歌詞より抜粋≫
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美しい夕焼けは、夜に向かって黒く染まっていきます。悲しくも見える光景ですが、その先には必ず夜明けがあるものです。
また、寒く凍えそうな冬も、やがて豊かな生命力を感じる新春へと移り替わります。
しかし同時に「雪月風花」の言葉の通り、どの季節にもそれぞれの美しさがあり、その時にしか味わえない瞬間があります。
夜明けを待つ間の月や星が輝く夜空も美しいように、暗闇に思える現実の中にも喜びや幸せは転がっているのではないでしょうか。
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見逃すな day by day ただ迷い 彷徨い いくつもの日々を追い越したんだ
生き残ったこの世界で 新しい 眩しい 幕開けを迎えに行こう
≪dawn 歌詞より抜粋≫
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1番のサビと同じ内容に思えますが、最後の一節が「迎えに行こうか」から「迎えに行こう」となっています。
漠然と考えていたことをいよいよ行動に移そうとする決心が表れているように感じられますね。
そして、この曲を聴く人たちに一緒に前に進もうと呼び掛けているとも取れるフレーズです。
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巡り巡る Brand New Day 泣いても 逃げても 幸せをいつも願っていたんだ
いつか終わるその日まで 新しい 眩しい 幕開けを迎えに行こうか
迎エニ行コウカ
≪dawn 歌詞より抜粋≫
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繰り返しやって来る毎日も決して同じではなく、いつも新しい一日を迎えています。
その中には、思わず泣いてしまう日も耐えきれず逃げ出す日もあるでしょう。
それでも暗い現実が終わるまで、自分を含めすべての人の幸せを願う気持ちを忘れたくはありません。
光は暗いからこそ強く光ります。同じように、希望もつらい現実の中でこそ人を強くします。
そんな希望の大切さと、現実との向き合い方を考えさせられる楽曲ですね。
不安の中でも前向きな気持ちにしてくれる楽曲
LiSAの『dawn』は、未来へ向かう疾走感と力強さがみなぎるロックナンバーです。
コロナウイルスの影響によって明日さえも不透明な中で、多くの人が好きなことや夢を諦め、尽きない不安に頭を抱えています。
しかし、この歌詞にあるように希望を信じて進み続けるなら、「眩しい夜明け」を笑顔で迎えられるはずです。
パワフルな歌唱で聴く人を惹きつけるLiSAの歌声と歌詞に綴られた言葉の数々が、きっと前を向くための力を与えてくれますよ。