嘘という名前の花
2020年1月、ジャニーズ史上初となる2組同時CDデビューで話題になった『SixTONES』。
この1年、音楽のみならずTVやラジオなどで目覚ましい活躍を見せた彼らが、4枚目のシングル『僕が僕じゃないみたいだ』をリリースしました。
今回の楽曲はSixTONES初となる映画のタイアップ曲。
メンバーである松村北斗が女優・森七菜とW主演を務めた映画「ライアー×ライアー」の主題歌に起用されています。
『僕が僕じゃないみたいだ』はラブソングですが、主人公はなぜ「僕が僕じゃないみたい」と感じているのでしょう?
楽曲は次のような歌詞から始まります。
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愛に咲いた花の名前は Liar
儚く揺れてる
≪僕が僕じゃないみたいだ 歌詞より抜粋≫
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恋に落ちた主人公。
心の中で「嘘」という名前の花が揺れているようですが、一体何があったのでしょうか。
主人公の「嘘」とは?
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また僕は 嘘をついた
自分の心 誤魔化した Ah
縮まらない 君への距離
いっそ諦めるべきなんだって
でも どうやったって
心に浮かぶのはその笑顔
形のない"思い出"に 仕舞いたくないんだ
≪僕が僕じゃないみたいだ 歌詞より抜粋≫
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まず歌われているのは、恋に悩む主人公の様子。
早速「嘘」という単語が出てきますが、前後の文脈から推測すると「嘘」をつくのは、好きになった相手のことを諦めようとしているからではないでしょうか。
相手のことを忘れたい、でも「君」とのこれまでをただの思い出にしたくない。
そんな葛藤を抱えているようです。
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僕が僕じゃないみたいだ
笑えるな 君のせいだ
どうしてくれんだ どうかしてんだ
君以外はもう見えない
≪僕が僕じゃないみたいだ 歌詞より抜粋≫
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こちらはサビの歌詞。タイトルと同じフレーズが登場します。
もしかすると、主人公は今まで恋に悩んだことがなかったのかもしれませんね。
しかし、「自分が自分ではないみたいだ」と自分を見失うほどに「君」に夢中になっているようです。
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愛に咲いた花の名前は Liar
遠いあの場所で揺れてる
≪僕が僕じゃないみたいだ 歌詞より抜粋≫
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愛してしまったことによって、つかなければならなくなった「嘘」。
彼は「君に恋なんてしていない」「君のことは好きじゃない」と好きな気持ちを隠そうしています。
好きという気持ちを認めない自分が遠くで揺れている。
もしかしたら、今は好きという気持ちを認めつつあるのではないでしょうか。
恋は人を変える
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また君に 嘘をついた
自分を飾って誤魔化した Ah
美しくいたいと思うほど
君が遠くなっていくのはどうして
嫌だな 今日だって
柄にもないこと考えてる
今までの自分じゃ 君といられないって
≪僕が僕じゃないみたいだ 歌詞より抜粋≫
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主人公は「君」に嫌われたくなくて、また1つ嘘を重ねてしまったようです。
「嫌だな」というフレーズに表れているとおり、主人公はそんな自分のことをまだ認めたくない様子。
彼は嘘をついて自分を飾るたびに、本来の自分ではなくなっていくのに、本来の自分では「君」とは一緒にいられないと思っているのです。
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僕が僕じゃないみたいだ
笑えるな 君のせいだ
どうしようもないこんな僕が
悔しいくらい本気だ
愛に咲いた花の名前は Liar
鮮やかな色で揺れてる
≪僕が僕じゃないみたいだ 歌詞より抜粋≫
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気になるのは最後の1行。
「鮮やかに揺れている」という歌詞から、自分のついた嘘がより鮮明になってきていることが読み取れます。
主人公は恋をする前の状態に戻ってしまったのではと不安になりますが、そんなことはありません。
続く歌詞では、自分のついてきた「嘘」を自分の存在として受け入れようとする気持ちが歌われています。
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あの嘘も この嘘も
今を作る 足跡なら それもいいか
君といる時の 自分が好きなんだ
それが本当の僕だ きっと
≪僕が僕じゃないみたいだ 歌詞より抜粋≫
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恋は人を変えるといいますが、本当にその通りなのかもしれませんね。
思い悩むような本気の恋をしたことがなかった主人公。
しかし、「君」に出会って様々な感情や新たな自分に出会うことができたようです。
そして、そんな自分を「嘘」ではなく「新たな自分」として受け入れて成長した様子が、最後のフレーズに表れています。
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愛に咲いた花の名前は Liar
確かにこの手で揺れてる
≪僕が僕じゃないみたいだ 歌詞より抜粋≫
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恋を通し、まさしく「僕が僕じゃないみたい」な成長を遂げたようです。
映画とリンクする歌詞
今回は『僕が僕じゃないみたいだ』の歌詞を読み解きました。この楽曲は映画『ライアー×ライアー』の主題歌であり、“ウソから始まる、ありえない恋”を描いた映画の内容とリンクするように歌われたラブソングです。
映画のタイトと歌詞に出てくる「Liar」には、深いつながりがありそうですね。
映画を見てからもう一度歌詞の考察をすると、新しく見えてくるものもあるかもしれません。
ぜひ映画と合わせて楽曲を楽しんでみてくださいね。