大人の女性に翻弄される男心
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あなた 火をつけたなら消してって
遊んだら 元ある場所へと仕舞って
≪ってあなた 歌詞より抜粋≫
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冒頭から一気に引き込まれる歌詞が並びます。
公式HPでは、この楽曲について「”弱い男”を歌ったR&Bバラード」と記されていますが、歌いだしはどちらかというと女性目線の歌詞のようにも思えます。
もしかすると、交際していた女性の口癖だったのかもしれませんね。
そう考えるとこの女性は、日常的に主人公の世話を焼いてあげるような大人の女性だったのでしょう。
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居なくていんじゃない?
触らないで愛で満ちたような
フリしたその手で
ずるいわ、あぁ
≪ってあなた 歌詞より抜粋≫
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主人公を愛おしむように触れる彼女。
その感触に、主人公は「本当に彼女から愛されているのではないか」と錯覚しそうになります。
全部嘘だと分かっていても、思わず「ずるい」と感じてしまうほどに、主人公は彼女に没頭しているのでしょう。
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「怖くて眠れない」
痩せ細った僕の感情を
飼い慣らしてどうするんだい?
もうやめてくれよ
≪ってあなた 歌詞より抜粋≫
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気丈なフリをしていても、主人公の頭の中は既に彼女のことでいっぱい。
それにもかかわらず、時折自身の弱さをさらけだすことで、主人公の気持ちを支配していく彼女。
主人公も、自身が彼女の手中に溺れつつあることを意識しており、逃れようにも逃れられない自分の弱さや相手のずるさに頭を抱えています。
美しく描かれる偽りの恋愛
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触っていいのかい?
膨れ上がった憂いと 蔓延るヘイトも
そう悪くはない 期待しないですむだろ?
君ではない未来 次第に見えて
≪ってあなた 歌詞より抜粋≫
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「憂い」とは、嘆き悲しむことや、憂鬱で心が晴れないこと。
また、自分の思い通りにならず辛いことなどを指します。
どこか掴みどころのない彼女が自分の思い通りにならず、モヤモヤしている主人公の気持ちが伝わってきます。
そんな彼女に対して自分の「ヘイト」、つまり反感や憎しみの気持ちを持つことで、彼女の気持ちが自分に向いてくれるかもしれないという期待を打ち消そうとしています。
主人公の見ている未来から、少しずつ彼女の姿が薄れていく切ない真情を歌詞に美しく描いていますね。
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返してよ My life
リプライやメンション・通知も来ないこの物語
ヨリ戻りはしないのに Why ?
踊り狂い 悶えたらいいの?
≪ってあなた 歌詞より抜粋≫
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何の反応も返ってこないこのむなしい恋愛に、主人公の気持ちはひどくかき乱されてしまっています。
また一緒に過ごすことは出来ないと分かっているのに、どうしてこんなにも心揺さぶられるのか。
どうしようも出来ない現状に彼は1人、苛まれています。
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"ここまでは良かった"
なんて言うつもりはない
最初から最後まで、ほら
筋書き通りなんだろう?
≪ってあなた 歌詞より抜粋≫
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主人公は、彼女が最初から一時のために自分に近づいたことを悟っていました。
最初からバッドエンドだと決まっていた恋に“ここまでは良かった”なんて言えるわけがない。
主人公のやるせない気持ちがひしひしと伝わってきます。
テーマに隠された本当の意味とは
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消えそうな 声が届けば最後に
さよなら 言い捨ててやりたいのに
≪ってあなた 歌詞より抜粋≫
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この楽曲の中で京本が歌う落ちサビでエフェクトが掛かっており、とても印象に残る演出になっています。
この部分では、恋人がもう手の届かないところに行ってしまったことを表現しているのでしょう。
まるで電話越しに話しているような機械音交じりの歌声が、より切なさを引き立たせます。
本当は言ってやりたかったのに言えなかった「さよなら」だけが、主人公の胸の中に空しく残ります。
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消えそうな 愛の行方はどこだか
あぁまだ わからなくても良くなくもない
ってあなた 火をつけたなら消してって
遊んだら 元ある場所へと仕舞って
≪ってあなた 歌詞より抜粋≫
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冒頭に登場したフレーズで締めくくられるこの楽曲。
楽曲を通して同じフレーズをもう一度聞くと、この歌詞に込められた本当の意味が浮かび上がってきます。
主人公は彼女の口癖に自身の想いを込めているのではないでしょうか。
きっと主人公は、彼女にとって自分との関係が最初から最後まで遊びだったことを理解しています。
「自分の恋心に火をつけたなら、うやむやなまま姿を消すのではなく、きちんと消していって欲しかった。」
「遊びだったなら、せめて彼女と会う前の元の自分へと立ち直らせて欲しかった。」
そんなやりきれない気持ちが込められているのではないでしょうか。
『ってあなた』は、彼女の口癖に主人公の気持ちを重ねた切ない失恋ソングなのかもしれません。
切ない歌詞と「きょもほく」の繊細な音楽表現
かつて不仲とも言われていた京本と松村。それが今や、SixTONESの楽曲を支える大きな柱として、音楽に彩を添える存在になりました。
『ってあなた』では、今までにないほど大人っぽい世界観が見所ですが、“きょもほく”の奏でる美しいハーモニーや繊細な声の表現も魅力の楽曲です。
ぜひ何度も聴き返して、歌詞と融合した彼らの音楽表現を楽しんでみてくださいね。