少女が抱く劣等感
『ギラギラ』は、日本の音楽チャートを席巻している女子高生シンガー『Ado(アド)』の3作目の楽曲。
配信リリース以降、動画投稿サイトには連日のようにカバー動画が投稿され、大きな話題になっています。
メジャーデビュー曲『うっせぇわ』『レディメイド』では、誰もが心の奥に抱えている闇や不満を、痛快なまでに力強く歌い上げてきたAdo。
今回の『ギラギラ』ではどんな思いを歌っているのでしょうか。
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あーもう本当になんて素晴らしき世界
んで今日もまた己の醜悪さに惑う
だのに人を好きって思う気持ちだけは
一丁前にあるから悶えてるんでしょう
≪ギラギラ 歌詞より抜粋≫
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こちらは冒頭の歌詞。
今回の主人公は自分の容姿に劣等感を抱えているようです。
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Ugly 正直言って私の顔は
そう神様が左手で描いたみたい
必然 この世にあるラブソングはどれひとつ
絶対 私向けなんかじゃないでしょう
≪ギラギラ 歌詞より抜粋≫
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容姿に自信はなくても、人並みに恋愛をする。
でも、キラキラとしたラブソングのようにうまく行くわけがない。
容姿に対する劣等感のみならず、キラキラとした世界から取り残されているような孤独感も伝わってきますね。
主人公は劣等感や孤独感とどのように付き合って行くのでしょうか。
劣等感を味方に
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使い道のないくちづけ 憐みを恣に
スパンコールの瘡蓋で身を守る
愛されないくらいなんだ
≪ギラギラ 歌詞より抜粋≫
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注目したいのは2行目のフレーズ。
おそらく彼女には容姿が招いた心の傷があるのでしょう。
それをただ隠すのではなく、スパンコールで飾ろうとしています。
劣等感から目をそらしたり、傷を癒すだけではない。
主人公は心の傷も劣等感も乗り越えようとしているようです。
主人公の強い気持ちは続くサビの歌詞にも現れています。
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ギラギラ輝いて私は夜を呑み
Rap Tap Tap Tap
今に見てろこのluv
≪ギラギラ 歌詞より抜粋≫
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「夜が私を呑む」のではなく、「私が夜を呑む」。
この歌詞には心の闇に打ち勝とうとする気持ちが現れているのではないでしょうか。
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目に染みるは1mgの花火
Drag on Drag on
なんてファニー この世はビザール
≪ギラギラ 歌詞より抜粋≫
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こちらはサビの後半部分。
「1mgの花火」とは何を表しているのでしょう?
目に染みているということは、自身にダメージを与えるものであると解釈できます。
続く「drag on」とは「ダラダラ長引く」という意味で、続くフレーズで出てくる「ファニー」「ビザール」はどちらも「おかしな」「変」という意味を持つ単語です。
これらを踏まえて考えると、「1mgの花火」とはちょっとした中傷のことを指しているのかもしれませんね。
誰かが不意に発した言葉が、自分をいつまでも傷つけ続ける。
なんて不条理でおかしな世の中なんだろう。
サビの後半はそんな嘆きを歌っているのではないでしょうか。
劣等感は誰もが感じている?
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Give Love 花は満ちて(ギラギラ)
ありのまんまじゃいられない 誰も彼も
なんて素晴らしき世界だ!
ギラついてこう
≪ギラギラ 歌詞より抜粋≫
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こちらは最後のフレーズです。
自分の容姿に劣等感を感じている主人公ですが、ここではみんな何かしらの劣等感を抱えていると歌われています。
「ありのまんまじゃいられない」という言葉だけを切り取るとマイナスな印象を受けますが、見方を変えればみんなが劣等感と向き合い、うまく隠しながら生きているということ。
「容姿に悩んでいるのはあなただけじゃないよ」という優しいメッセージなのかもしれませんね。
『ギラギラ』から勇気を
誰もが感じているであろう劣等感。
『ギラギラ』はその劣等感と向き合い、乗り越える強さを教えてくれるでしょう。
今回の記事ではご紹介しきれませんでしたが、2回目のサビで出てくる「強くおなり あなたなりの武装で」というフレーズも、とても勇気付けられますよ。
ぜひ『ギラギラ』をフルでチェックしてみてくださいね。