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ピックアップアーティストコラム歌言 SUPER BEAVER・柳沢亮太<vol.1>「東京流星群」

アーティストが今1番伝えたい歌詞への想いを綴る連載コーナー「歌言(utakoto)」が本日からスタートしました。連載第1回目を務めるのは、UtaTenでお馴染みのSUPER BEAVER・柳沢亮太さんです。

「東京流星群」

悩みはきっと、人の数だけあって、人の数だけ違う。
願って、望んで、羨んで。僕らが欲するのは、いつだって「今に無いもの」だ。


東京都出身であることに初めて劣等感を覚えたのは高校生の頃だったように思う。10代限定の音楽コンテストで全国大会まで勝ち進んだ時、全国各地から集まってくる同世代の出場者が不思議と自分より大人びて見えた。20歳になりたての頃、とあるオトナから「ハングリーさが足りないんだよ、実家も出たことない温室育ち」なんて揶揄されたとき、なんだか自分の中で繋がっちゃって、劣等感が少し膨らんだ。


8年前の今頃、自主レーベルから『世界が目を覚ますのなら』というミニアルバムをリリースした。メジャーレーベルから脱落して約2年。不安より希望の方が少しばかり勝っている、くらいの心持ちで、ツアーを周ったり曲を作ったり、それらと同じくらいの日数をアルバイトに充てて過ごしていた頃だ。「東京流星群」は、その『世界が目を覚ますのなら』に収録されている。


″不安より希望の方が少しばかり勝っている″と書いたが、その実、そう思い込むことに努めていただけで、不意に心を支配するのは、焦りや苛立ち、虚しさや哀しみの方が圧倒的に多かった。


隠さずに言えば、あの頃の自分は(あるいは自分たちは)、爆発寸前まで膨れ上がった劣等感に苛まれていた。


″負けたやつ″ のレッテルを貼られている気がしたし、オトナに守られていた箱入りが今さら何を必死になっているんだ、無理だよって、思われている気がしていた。確かに「もう無理なのかな」って思った日もある。同世代がどんどんと活躍していく様を横目に、汗と油でドロドロになった体でアルバイト先のクローズ作業をしている時は、単純にシンドかった。


もがいていた。とにかく、何かに押し潰されないよう、必死だった。


「何でも揃った東京生まれの温室育ち」
どこで生まれようが、育とうが、苦悩は苦悩だ。そんな考えが頭の中をグルグルしていた。それぞれに種類は違うかもしれない、でも、葛藤とともに生きている。東京に勝手なアドバンテージをつけないで欲しかった。フラットに、とにかくフラットに歌いたいと思った。それこそが心に巣食う劣等感を払いのける術、人の目や言葉に左右されず、自分自身、自分たち自身をもっと強く信じるためのきっかけになる気がした。


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僕にとっての故郷は 誰かの憧れ
誰かが鼻で笑ったのが 僕の宝だ
≪東京流星群 歌詞より抜粋≫
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悩みはきっと、人の数だけあって、人の数だけ違う。


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人には人の悩みがあって 同じわけが無い
人には人の正義があって それの敵もいる
僕にとっての苦しみと 誰かの歓び
無いものねだって欲しがって でも君を見つけたり
≪東京流星群 歌詞より抜粋≫
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願って、望んで、羨んで。僕らが欲するのは、いつだって「今に無いもの」だ。


----------------
東京流星群 見上げることもしないで
東京流星群 光が無いと言ってないで
東京流星群 同じ空に生きてるなら
輝きはいつでも 何処に居ても 変わりはしないだろう
≪東京流星群 歌詞より抜粋≫
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今となって振り返れば冷静に把握できる。やっぱり東京はあらゆる意味でどこか特別な場所で、初めからその場所にいられることが、少なからず恵まれた側面を孕んでいることも理解できる。


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さよならはどの街にも 裏切りはどの街にも
悩み事は何処に居ても 孤独なんて誰と居ても
さよならはこの街にも 優しさはこの街にも
愛しさは何処に居ても 愛してるよ 愛しててよ
≪東京流星群 歌詞より抜粋≫
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それでも心が騒めくその本質を、状況を、環境を、できる限りフラットに捉えたい。良い面と悪い面、ちゃんと両方を受け止めたい、そんな気持ちは今日も変わらない。


ここまで綴った全てを「東京」というモチーフを軸に、反対側からの立場で受け取ってくれた人もいると思う。そして、そうであったら嬉しいなと思う。今さら野暮なことを言うけれど、この歌は東京賛歌、ではない。


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東京流星群 見上げた先が遠くても
東京流星群 そこに光があるんだろう
東京流星群 東京流星群
挫折と希望 入り乱れる この日々から手を伸ばして
≪東京流星群 歌詞より抜粋≫
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2021年、音源も再録して新たにミュージックビデオを作った「東京流星群」。
少しづつ響かせ方を変え、伝えたいことの幅を広げ、今なおライブで歌い続けている。
自分にとっての普通は誰かにとっての特別で、誰かが飽きたものさえ自分にとっては新鮮そのものだったりする。そこに優劣など付かないのだと思う、本来は。そんなことを想うきっかけになれたなら嬉しい。


今日、あなたにどう届くだろうか。


TEXT 柳沢亮太


紹介された楽曲「東京流星群/SUPER BEAVER」


SUPER BEAVER(スーパービーバー)。 渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“35才”広明(Dr)の4人によって2005年に東京で結成された。 2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビュー。 2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、···

この特集へのレビュー

男性

ささ

2021/04/22 13:21

電車の走ってない離島育ちの私からしたら、東京は何もかもが新鮮で同い年の人でも、すごく大人びて見えました。髪型も服装もその人のことを知らないのにただ羨ましかったりしました。

SUPER BEAVERに出会えて
誰かが鼻で笑ったのが僕の宝だ。
この歌詞に出会えた時、自分の故郷が誇らしく思えました。

やなぎから見える東京と私から見える東京はきっと違うように写るのだろうけど、それが嬉しくて
わくわくします。

女性

Akua

2021/03/31 15:41

この曲を作った時と撮り直した今、
きっと色々と違いますよね。

あの頃伝えたかったこと
今だから伝えられること

変わらないものと、
進化し続けていくこと

私は「曲ができた頃」を知らないけれど、ビバコレを通じてその時間を遡り、思いを馳せながら、「今の東京流星群」を五感で聴きました。その音や言葉には、一人ひとりの生きた道のりが散りばめられているから、共感するし芯にグッとくる。

焦りや苛立ちに苛まれ、もがきながらも前を向いて進み続けてくれたから、私はSUPER BEAVERに、やなぎーに出会うことができました。

東京流星群 見上げた先が遠くても
東京流星群 そこに光があるんだろう
東京流星群 東京流星群
挫折と希望 入り乱れる この日々から手を伸ばして

ここを聴くたびに、進み続ける勇気とパワーをもらってます。
これからもずっと。心からの感謝とありがとうを。

女性

かじゅ

2021/03/28 22:00

「僕にとっての苦しみと 誰かの歓び」。

初めてこの歌詞を耳にした時、子供の頃「2番が居るから1番が在るのだ」と慰められた出来事がフラッシュバックした。そんなの御免だ、私は1番に花を持たせるために頑張ってきたのではない、と悔しかったことを思い出した。

きっと皆、全く同じでは無くとも、これまでに挫折やもどかしさを味わったことをがあり、その苦さや乾きを知っている。
得られないと、誰かのせいにしてしまいたくなる。
状況やバックグラウンドのせいにしてしまいたくなる。
それでも尚、何かを欲することを諦めない。
そんな経験があるからこそ「東京流星群」の歌詞が心で共鳴するのだと思う。

SUPER BEAVERのメンバーと私は同い年だ。初めて彼らの音楽と出会った時、同世代にこんな格好良く生きている奴らが居るのかと喰らったけれど、不思議と焦燥や絶望は感じなかった。
同じ時間の長さを生きてきた人たちが、同じ空の下でこんな格好良く生きているのだ。
自分もあんな風に格好良く生きよう!

SUPER BEAVERの音楽を聴く度に、そんな気持ちになる。
そして、そんな気持ちにさせてくれる彼らの音楽が大好きだ。

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