結婚前夜に交錯する切ない感情
作詞作曲を担当した橋口洋平(wacci)は「ピーターパンに恋したウェンディの結婚前夜」という設定でこの楽曲を書き下ろしたそうです。一見、不思議な世界観に思えますが、歌詞を辿っていくとその意味が浮き彫りになっていきます。
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明日の朝はとても早いの ドレス纏って神に誓うの
とても優しい素敵な人よ 私ね 随分大人になったよ
夢に溺れず 未来見据えて 空も飛ばずに 地に足つけて
とても真面目で素敵な人よ 私ね 一度も泣いてないんだよ
≪ナイモノネダリ 歌詞より抜粋≫
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最初のフレーズで、主人公の女性が結婚前夜であることが分かります。
「明日の朝はとても早いの」という歌詞が、準備に時間の掛かる花嫁仕度をリアルに想像させます。
続いて、結婚相手の堅実で真面目な人柄が描かれます。
「私ね 一度も泣いてないんだよ」という歌詞からも彼が本当に優しく、彼女のことをずっと労わってきたことが分かります。
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あなたはまたこの世界のどこかで
子供のような無邪気さで無茶をして
誰かを泣かせているんでしょ それ以上に笑わせてあげながら
≪ナイモノネダリ 歌詞より抜粋≫
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確かな幸せが約束されている一方で、主人公は元彼に思いを馳せています。
今の彼とは正反対の夢追い人だった元彼。
「誰かを泣かせているんでしょ それ以上に笑わせてあげながら」という部分に注目してみましょう。
別の女性と一緒に過ごす元彼を想像しつつ、かつて自分にも与えてくれていたその優しさを思い出しているようです。
物語の核となる過去の恋
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愛のかわりに自由手にして 明るく見えて実は孤独で
私はそんなあなたの影を 抱きしめてあげたい そう思ってた
この恋は二人をだめにする
わかっていて楽しさで蓋をして
理想やきれいごとだけを 魔法が溶けてゆくまで唱えてた
≪ナイモノネダリ 歌詞より抜粋≫
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何にも縛られることない代わりに自由を手にしてきた元彼。
表面的に見える明るさとは裏腹に孤独も抱えています。
そんなところが魅力的でもあり、主人公からすれば自分がこの人を支えてあげなくちゃと思わせるような脆さも感じさているのです。
しかし、ずっと無邪気なままの元彼に対し、主人公は少しずつ大人の女性へと成長していきます。
その過程でこのまま元彼と一緒にいれば、お互いに依存し合ったまま2人ともダメになってしまう、そう気づいたのではないでしょうか。
この恋は魔法が解けるまで、主人公が現実から目をそらし続けなければ続かない儚いものだったのでした。
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まだ誰のものでもない私の最後の夜に
あなたを思い出している私は ナイモノネダリ
もう一度連れ出してよ あの日と同じ夜空へ
なんてね もう私きっと あんな風には飛べないけど
≪ナイモノネダリ 歌詞より抜粋≫
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今の彼は本当に素敵な人だけれど、それでも独身最後の夜に元彼を思い出してしまう主人公は、自分のことを「ナイモノネダリ」だと自覚しています。
まだ誰のものでもない今だけは、過去に思いを馳せる自分を許して欲しいという気持ちも伝わってきます。
大好きだった元彼に、ここから連れ去って欲しいという気持ちを抱える主人公。
それとは裏腹に、無邪気だった頃の自分とは変わってしまっていることも理解しています。
元彼が迎えに来てくれたとしても、今の自分はきっと彼についていくことは出来ないだろうと自嘲しているのでしょう。
この2番の歌詞は、大人になれないけれどずっと無邪気で自由奔放なピーターパンと、彼を大切に思い続けながらも着実に大人への道を辿るウェンディの関係に見事に当てはまります。
成長した主人公が選択した道とは
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あなたとの出会いがなければ 今の私はここにいないでしょう
ありがとう なんていうつもりはないけれど
忘れないよ あの笑顔
≪ナイモノネダリ 歌詞より抜粋≫
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主人公は元彼と過ごす中で、傷つくことや悲しむこともあったでしょう。
だから「ありがとう」とは言うつもりはないけれど、それでもこの経験があったからこそ、主人公は今の彼をより一層大切にしようと思えたのではないでしょうか。
元彼の無邪気な笑顔は主人公の思い出の中にしまわれるのでした。
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まだ誰のものでもない私の最後の夜に
あなたを思い出すなんて 私は 私は
まだ誰のものでもない私の最後の夜に
あなたを思い出している私は ナイモノネダリ
振り返るのはもう終わり 描いた未来の始まり
私はこの道の先で ちゃんと幸せになるからね
≪ナイモノネダリ 歌詞より抜粋≫
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「私は 私は」と繰り返す部分から、主人公は過去の恋愛にけじめをつけようと覚悟を決めたようです。
思い出に引きずられることなく、自分が選んだ道で幸せになろうとする主人公はもう立派な大人の女性です。
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明日の朝はとても早いの ドレス纏って神に誓うの
早く寝なくちゃ肌に響くと 窓辺に頬杖 空を見上げて
私ね 随分大人になったよ
≪ナイモノネダリ 歌詞より抜粋≫
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「早く寝なくちゃ肌に響くと」というフレーズから、一瞬の感情の波にのまれず、一歩先の未来を考えられる余裕や現実的な考え方が見て取れます。
冒頭と同じフレーズが繰り返され、まるで一遍の映画のような構成です。
最後にポツリと呟く「私ね 随分大人になったよ」が穏やかで快い余韻を残しています。
「ナイモノネダリ」の歌詞を丁寧に映像化したMV
現在、Youtubeでは『ナイモノネダリ』のPromotion Video(Short Ver.)が公開されており、女優の奈緒さんが主演を務めています。
ストーリー仕立てになっているこのPVは、歌詞の内容がとても丁寧に映像化されているのです。
特に回想シーンを演じる奈緒さんが表情豊かでとても素敵なので、ぜひチェックしてみてください。
また、Hey! Say! JMUPのメンバーが出演しているOfficial Music Videoでは、Acoustic Version.が公開されています。
こちらもとても魅力的な作品に仕上がっているのでぜひご覧ください。
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