『君をのせて』は主人公・パズー目線?
知らない人はいないと言っても過言ではない名曲『君をのせて』。
ジブリ作品『天空の城ラピュタ』の主題歌ですが、合唱曲としても親しまれている楽曲です。
小学生や中学生の時に歌ったという経験がある人も多いかもしれませんね。
実は『君をのせて』の作詞を担当しているのは、「天空の城ラピュタ」の原作・脚本・監督を手がけた宮崎駿。
そのため、曲の内容はラピュタのストーリーと深くリンクするものなのです。
さっそく『君をのせて』の意味を紐解いていきましょう。
「君」とは誰のこと?
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あの地平線
輝くのは
どこかに君を
かくしているから
たくさんの灯が
なつかしいのは
あのどれかひとつに
君がいるから
≪君をのせて 歌詞より抜粋≫
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こちらは冒頭の歌詞です。
「君」に関する詳細は語られていませんが、ヒントになるのは「輝く」「灯」という単語。
これは飛行石の光に包まれながら空から落ちてきた少女・シータを連想させる単語です。
また、『君をのせて』が主人公・パズー目線の楽曲だと仮定すると、「君」になかなか巡り会えない様子がうかがえます。
この点もパズーとシータの関係性を連想させることから、「君」はシータのことを指しているのではないでしょうか。
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さあ でかけよう
ひときれのパン
ナイフ ランプ かばんに
つめこんで
≪君をのせて 歌詞より抜粋≫
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「ひときれのパン」「ナイフ」「ランプ」と聞いて、パズーとシータの洞窟での名シーンを思い浮かべる人も多いはず。
逃亡中ではありますが、さらに大きな混乱に巻き込まれる前の二人にとって、幸せなひとときだったのでしょう。
父から子へ受け継がれる「熱い想い」
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父さんが残した
熱い想い
母さんがくれた
あのまなざし
≪君をのせて 歌詞より抜粋≫
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この有名なフレーズは、まさに主人公・パズーを取り巻く環境そのもの。
「父さん」とは、伝説の城・ラピュタを目撃したのにも関わらず詐欺師扱いされてしまったパズーの父を表していると思われます。
そんな「父さん」が残した「熱い想い」とは、ラピュタの存在を信じようとする気持ち。
パズーはその想いを受け継ぎ、父の汚名を晴らすためラピュタを探す冒険へと旅立ちます。
ストーリーに「母さん」はあまり出てきませんが、詐欺師呼ばわりされてもラピュタの存在を主張し続ける夫と信じる子供を、優しい眼差しで見守る姿が思い浮かびますね。
なぜ「君をかくして」いる?
冒頭の歌詞にも、最後の歌詞にも共通するのが「かくして」という歌詞。
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地球はまわる
君をかくして
輝く瞳
きらめく灯
地球はまわる
君をのせて
いつかきっと出会う
ぼくらをのせて
≪君をのせて 歌詞より抜粋≫
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「かくして」と言っても、隠す、画す、匿すなど様々な意味がありますが、ストーリーとの関連性を考えるとおそらく「隠して」という意味であると思われます。
「君」はシータであるとすると、地球はなぜシータを隠しているのでしょうか。
こちらも詳細については語られていませんが、原作ではシータはかつてラピュタに君臨した王族の宗家・トエル家の血筋を引く存在であるとされています。
もしかしたら、尊い存在であるシータが他の人の目に触れ、利益や名誉のために囚われることがないよう「地球がシータを守っている」という意味なのかもしれませんね。
それでも、出会うべき人(=パズー)とはきっといつか出会える。
『君をのせて』はそんなロマンチックさも込められた楽曲なのかもしれません。
『君をのせて』は泣ける?怖い?
『君をのせて』の歌詞の詳細について、明確には語られていません。
わかっているのは作詞が宮崎駿監督であること、作曲は数多くのジブリ作品を手がける久石譲が務めていること、そして歌手は井上あずみであることのみです。
そのため、どんな想像をするのかは個人の自由。
「泣ける」「怖い」など、どのような感情が湧き上がるかも人それぞれです。
是非みなさんも『天空の城ラピュタ』を見ながら色々想像してみてくださいね。