話題の現役大学生アーティスト「Vaundy」
2021年、音楽界注目アーティストの1人である現役大学生シンガー「Vaundy(バウンディ)」。Vaundy は2019年より自ら作曲した楽曲をYouTubeで発表し、各サブスクリプションサービスや動画サイトでじわじわと人気を集めてきました。
代表曲と言われる『東京フラッシュ』のMVは、2021年4月時点でYouTube再生2,400万回を記録。
さらに、『不可幸力』はSpotifyのCMソングに起用され一躍話題となりました。
そんなVaundyが2021年4月11日に楽曲『しわあわせ』を配信リリース。
『しわあわせ』は専門学校 首都医校・大阪医専・名古屋医専の2021年度 TVCMソングにも起用されています。
今回は、Vaundy『しわあわせ』の歌詞の意味を徹底考察します。
『しわあわせ』の意味
最初に、タイトル『しわあわせ』の意味を考察しましょう。「幸せ」とかけた言葉にも思えますが、何を表しているのでしょうか。
「しわ」は年をとるにつれて体に増えていくもの。
ただし、『しわあわせ』では目に見えるしわだけでなく、年齢を重ねるにつれて増えていく思い出や経験、すべてひっくるめて「しわ」と表現しているのかもしれませんね。
また、歌詞には「僕」と「君」の2人の人物が登場します。
「僕」と「君」がしわをあわせる、つまり、「お互いが繋がりあいながら時を重ね、思い出を増やしていく」様子を『しわあわせ』という言葉で表しているのかもしれません。
2人のしわの数が僕たちの未来の価値
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僕の時価総額400円の心臓と
絵に描いたような君の綺麗な心臓を
合わせてできたしわの数が
僕達の未来の価値だ
≪しわあわせ 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞では、僕の心臓を「時価総額400円」、君の心臓を「絵に描いたように綺麗」と例えています。
比較された表現からも、「僕」が「君」を大切な人と思う気持ちが感じられます。
「合わせてできたしわの数」は、自分たち2人が持つ思い出や経験が積み重なっていくのを表しているのではないでしょうか。
「僕達の未来の価値」は、一緒に過ごす時間が長くなるほど大切な思い出が増えていく様子を表しているようです。
同じような表現が、2番の冒頭でも見られます。
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僕の一生分なり続けている心拍と
透き通るような君の綺麗な一拍を
合わせてできた波の数だけ
僕達は揺らめきあってた
≪しわあわせ 歌詞より抜粋≫
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時間は巻き戻せない
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残された時間が少ないのなら
崩れてく時間が増えてくのなら
零さないようにあわせて
≪しわあわせ 歌詞より抜粋≫
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過ぎていく時が早すぎるのなら
有り余る隙間が悲しいのなら
零さないようにあわせて
≪しわあわせ 歌詞より抜粋≫
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1番と2番のサビ前では、過ぎ去っていく時間を儚く感じているような歌詞が見られます。
「残された時間」は未来、「崩れてく時間」は過去を表しているのでしょう。
「有り余る隙間」は、なんとなく過ぎ去ってしまった時間を表しているのかもしれません。
何もしなくても、時間はどんどん過ぎ去ってしまうもの。
このパートでは、「そんな限りある時間の中で大切なものを大切にしていこう」という意志を表しているようにも感じますね。
『しわあわせ』のテーマは別れと出会い
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変わらない
変われないよ 僕ら
今もしっかり握っている
ちぎれない
ちぎらないよ 僕ら
今もしっかり繋いでる手
≪しわあわせ 歌詞より抜粋≫
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次のサビでは、人との繋がりを表しているような歌詞が見られます。
Vaundyはインタビューで、「変わらない 変われないよ僕ら」のフレーズが『しわあわせ』で最初に思いついたものと解説しており、曲の重要な部分になっているようです。
また、Vaundyが大阪のラジオ番組に出演した際には、『しわあわせ』には「別れと出会い」のテーマがあるとし、「結局僕たちは離れられない」という意味の話をしていました。
時が経つにつれて、物理的に離れてしまったり連絡を取らなくなってしまったりする人もいるでしょう。
しかし、たとえ未来で会うことがないとしても、相手と共にした時間は何らかの形で自分自身に影響を与えているのです。
『しわあわせ』のサビの歌詞には、「人生において出会った人は過去の時間の中でつながっており、結局僕たちは簡単には離れられない」という意味が込められているのではないでしょうか。
ラストのコーラスに込められた意味は?
そして、ラストのサビ前・サビ後のコーラス部分の歌詞は、時間の経過と共に記憶が薄れていく様子を描いているように解釈できます。
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重なるひびを僕達は
流るるひびも僕達は
思い出すこともなくなって
しまうんだろう
しまうんだろうって
重なるひびを僕達は
流るるひびも僕達は
思い出すこともなくなって
そんな
しわあわせで
≪しわあわせ 歌詞より抜粋≫
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残念ながら、人はすべての出来事を覚えてはいられません。
たとえその時は大事な1日でも、時が過ぎれば忘れてしまうこともあるでしょう。
そんな悔しさや儚さを歌いつつ、過ごした日々を糧にして未来を生きる様子を「しわあわせ」の言葉で表しているようにも感じられます。
ラストのコーラス部分があるからこそ、出会った人とのつながりを表すサビの歌詞が活きているのではないでしょうか。
Vaundy『しわあわせ』は人と人との絆を歌った曲
『しわあわせ』の歌詞には「人とのつながり」や「時間の経過」を意味する言葉が多く登場します。そのため、『しわあわせ』は「時間の経過と共に積み重なっていく人との絆」を歌った作品だと感じました。
歌詞は「僕」と「君」という2人の物語でできていますが、見方によっては恋人とのつながりを歌った恋愛ソングにも、親と子のつながりを歌った家族の歌にも聞こえます。
どのような捉え方にしても、『しわあわせ』の歌詞では、生きていく中で出会った人への想いやつながりを描いているのではないでしょうか。
卒業や就職など、出会いと別れを感じさせる春にリリースされたVaundyの『しわあわせ』。
歌詞の意味を考えながら、ぜひ曲を聴いてみてくださいね。