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空白ごっこ「ストロボ」迷う心を力づけてくれる歌詞の意味を考察!

下北沢発の音楽ユニット『空白ごっこ』の4枚目のデジタルシングル『ストロボ』は、うまくいかない人生の苦しみと希望を描いたロックナンバー。ボーカルのセツコが切なくもパワフルに歌い上げる歌詞の意味を紐解きます。

「空白ごっこ」が歌詞に描く迷いの気持ちとは

2019年から下北沢を拠点に主にインターネットで活動する3人組音楽ユニット空白ごっこ』。

特徴的なユニット名は、何もないけど何かある「空(くう)」の世界観を「心」に例え、その精神世界で遊ぶ(ごっこする)というコンセプトから来ています。

彼らの魅力は、コンポーザーの針原翼koyoriが生み出す中毒性のあるバンドサウンドと、息継ぎさえも美しいボーカルのセツコの心揺さぶるような切ない歌声。

公式YouTubeで公開されている色鮮やかなMV動画もアーティスティックで、楽曲の世界観を華やかに表現しています。

これまでに『ピカロ』と『』がCMソングや番組挿入曲として起用、さらに2021年元日リリースの『運命開花』を期にAWAユーザーが期待のアーティストを選ぶ「#これくる2021」のトップ10にランクインするなど、令和の音楽界を盛り上げる音楽ユニットとして注目されています。

そんな空白ごっこが『運命開花』から約4ヶ月ぶりとなる5月12日に配信リリースしたデジタルシングルが、今回紹介する『ストロボ』です。

作曲を針原翼、作詞をセツコが担当し、疾走感あるアグレッシブなギターロックに気分が盛り上がる楽曲となっています。

テーマは「迷いながらも一歩を踏み出すこと」。

セツコはこの楽曲について「少年漫画の主人公みたいな曲」とコメントしています。

少年漫画の主人公といえば多くの場合、幼さや未熟さゆえに壁にぶつかり、もがきながら成長していくものです。

そんな様子を表すかのように、力を振り絞って苦悩する気持ちを吐露するセツコの唯一無二の歌声に引きこまれること間違いなし。

彼女が描く文学的な歌詞には、どんなメッセージが込められているのか、詳しく考察していきましょう。

不安を抱える自分は気弱なランナー


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ここにありそうでなかったもの なぞなぞにかけた僕探し
壊れやすくなったペン先でまた紙切れに跡
そりゃそうだって言えなかった 不意打ちの先手は苦手
小声にしたってもどかしかった 大声にするのは無理だった
≪ストロボ 歌詞より抜粋≫
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歌詞の冒頭で描かれているのは、自分探しをしている様子

自分自身はここに存在しているのに、中身が伴っていない感覚は、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。

いつ完全に壊れるか分からないペンで、書き跡だけを残すような、もどかしい気持ちが伝わってきます。

分かっているのに「そりゃそうだ」とも言えず、はっきり言葉にするのも怖いほど迷いを感じているようです。

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一回目を閉じ だんだん気落ちした僕が
先じゃ笑っている
≪ストロボ 歌詞より抜粋≫
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目を閉じて自分自身にだけ注目すると、余計に気落ちしてしまうでしょう。

しかし、その先に見えるのは笑った自分の姿

迷う今を抜けて、笑顔になれる未来を期待するのも素直な反応ですね。

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見栄張る僕の本当は多分不甲斐ないランナー
それでも背中に詰め込んだ赤い塵の山
もっともっと既存を壊して走っていけ
誰も僕を分かっているわけじゃない
≪ストロボ 歌詞より抜粋≫
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人生をマラソンのコースに例え、自身を「気弱なランナー」と歌っているのでしょう。

見栄を張って勝負には参加するものの、心の中はゴールできるか不安なまま、ただ走っている状態なのではないでしょうか。

「赤い塵の山」が何を表現しているかはっきりとは分かりませんが、歌詞の文脈から考察してみると、今までの自分の努力を表しているように感じます。

血の滲むような努力が走り続ける自分を支え、その背中を押してくれていることに気づいたのでしょう。

誰かが作ってきた「既存」に合わせようとするから迷いが生まれる。

「誰も僕を分かってくれるわけじゃない」ため、周囲の声を聞いても余計に悩んでしまうだけです。

むしろ自分の信じるものを目指して走り抜けることが、大切なのだと教えてくれます。

諦めず自分だけの世界を目指して走る

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ここになさそうでもあって欲しいもの プライドはあって自信はない
毎日使った再延長は そろそろ無くなる
一張羅を脱ぎ 散々泣いてた僕も
先じゃ笑っている
≪ストロボ 歌詞より抜粋≫
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不必要なプライドばかりで、本当に必要な「自信はない」ようです。

彼女が言う「再延長」はゲームで使うアイテムのようなものかもしれません。

自信を手にするためのチャンスを増やそうとしているのに、結局得られないままそのアイテムも尽きそうになり、ますます自信は奪われていきます。

その証拠に一張羅を脱いだ生身の自分は弱く、苦しみのあまり「散々泣いて」います。

それでも笑顔になれる未来を信じているなら、倒れてしまうことはないはずです。

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見栄張る僕の本当は多分気概ないランナー
それでもこの手で切り出した風を掴む音
もっともっと前例なんて遠ざかっていけ
誰も僕を分かっているわけじゃない わかってんだよ
≪ストロボ 歌詞より抜粋≫
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気概」とは困難にも負けない強い心のこと。

自信がないのに見栄を張ってしまう自分を、コースの途中で挫折してしまうランナーに例えていると考えられます。

しかし、自身の手で風を掴むが聞こえているということは、走ることを諦めてはいないようです。

過去の「前例」に従う方が生きやすくても、誰も知らない自分だけの人生を生きたいという強い意思が感じられます。

自分の可能性を信じて進んでいこう

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何もなれない今日が来て 強くなれない日がほとんど
何かになりたい人生だって何になれるのか分からない
きっといつかはできるはず 迷信じみた祈りは呪いで
脱ぎ捨てる勇気じゃ足りない 切り離してみろ
≪ストロボ 歌詞より抜粋≫
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何もなれないまま新しい日を迎え、強くなりたいと願いながら「強くなれない日がほとんど」という虚しい気持ちも、きっと多くの人が味わったことがあるものでしょう。

どれほど理想像を思い浮かべていても、最終的にどんな自分になれるかは誰にも分かりません。

「きっといつかはできるはず」という自身を強めるための祈りも、いつしか呪いのように心を苦しめることさえあります。

そんな時、本当に必要なのはただ弱い自分を「脱ぎ捨てる勇気」ではなく、完全に切り離すほどの強い決意

漠然と未来を願うよりも、明確な意思を持って前進することが重要だと感じられます。

切なさがこもった歌声から「切り離してみろ」と歌う力強さのギャップに、気持ちの変化が伝わってきますね。

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見栄張る僕の本当は多分不甲斐ないランナー
それでも足元に転がるへたったバネはまだ
もっともっと身軽に僕を飛ばしていけ
誰も全部分かっているわけじゃない
≪ストロボ 歌詞より抜粋≫
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まだ走り切れていない「不甲斐ないランナー」の自分を飛躍させるのは「足元に転がるへたったバネ」。

へたってしまっているからと投げ出すのは簡単ですが、そのバネにすら彼女は可能性を感じています。

本当に使えないかどうかは「誰も全部分かっているわけじゃない」から、可能性を信じて使ってみるのです。

それは“迷ってばかりの弱い自分の可能性を信じる”ということでもあるのではないでしょうか。

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一回目を閉じ 一回手を取り
ちょっと胸を張る
一張羅を着て 散々痛がった僕も
先じゃ笑っている
≪ストロボ 歌詞より抜粋≫
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不安な時こそ落ち着いて「目を閉じ」、誰かが差し伸べてくれる「手を取り」、これが自分だと「ちょっと胸を張る」ときっと視界は開けていきます。

今は強い自分を装いながら心の痛みに耐えていても、笑顔で前を向ける日は必ず来るでしょう。

その未来を信じて歩みを止めない決意が、歌詞や歌声から感じられますね。

「ストロボ」は暗い現実を明るく照らす希望の歌

空白ごっこの『ストロボ』は、暗い場所を強く照らすストロボのように、悩みの多い現実の中の明るい希望を表現しています。

空白ごっこの楽曲を初めて聴く人も、聴けば聴くほど奥行きを感じる巧みなサウンドや苦しい胸の内を代弁してくれるセツコの歌詞と歌声から力をもらえるでしょう。

自身の思いを反映して歌うセツコは、今後も新しい音楽の世界を見せてくれるはずです。

これからも令和の新星音楽ユニットのさらなる活躍に期待しましょう!

心に刺さる切ない歌声が特徴のVo.セツコが歌唱し、何もないけど何かある「空(くう)」の世界観を「心」に例えて、その精神世界で遊ぶ(ごっこする)ことをコンセプトにした音楽ユニット。 エモーショナルなヴォーカル「セツコ」をボカロPとしても有名な「koyori」「針原翼」が楽曲を制作している···

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