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「カントリー・ロード」歌詞の意味を考察!和訳の意味が原曲と違う理由とは

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『カントリー・ロード』は、ジブリ映画『耳をすませば』の中で、月島雫が歌った曲として有名です。英語の原曲を和訳した歌詞は、オリジナリティ溢れるもの。原曲から大きく変貌を遂げた歌詞に込められた意味を、物語とリンクさせながら解説していきます。

和訳された歌詞に注目


カントリー・ロード』は、1995年に公開されたスタジオジブリの作品『耳をすませば』の主題歌です。

原曲はアメリカ人歌手のジョン・デンバー『Take Me Home, Country Roads(故郷へかえりたい)』。

『耳をすませば』の中で、主人公・月島雫が和訳したものとして登場するのが『カントリー・ロード』です。

ちなみに歌詞をアレンジした替え歌『コンクリート・ロード』も登場しますが、こちらもくすりと笑える歌詞なので、映画を観る際にはぜひ注目してみてください。

それでは、原曲との違いに注目しながら『カントリー・ロード』の歌詞を見ていきましょう。

『耳をすませば』の舞台を思わせる歌詞


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カントリー・ロード
この道 ずっとゆけば
あの街に つづいてる
気がする
カントリー・ロード
≪カントリー・ロード 歌詞より抜粋≫
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原曲はと異なり、『カントリー・ロード』はサビから始まります。

目の前に続く道をたどって、故郷へ思いを馳せる歌詞が印象的ですね。

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ひとりぼっち おそれずに
生きようと 夢みてた
さみしさ 押し込めて
強い自分を 守っていこ
≪カントリー・ロード 歌詞より抜粋≫
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原曲では故郷であるウェストバージニアの風景を歌っていますが、日本語詞では大きく異なっています。

「僕」が一人で生きることを決意する歌詞は、前向きながら初々しく、少年らしい未熟さを感じさせます。

その未熟さは、まさに雫の姿と重なりますね。

持ち前の気の強さで人とぶつかりながら、自分というものがまだ定まっていない、思春期ならではの不安定さ。

短い歌詞の中に、希望と不安に揺れ動く若者の心が見事に描き出されています。

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歩き疲れ たたずむと
浮かんで来る 故郷の街
丘をまく 坂の道
そんな僕を 叱っている
≪カントリー・ロード 歌詞より抜粋≫
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2番の冒頭には「坂の道」が登場しますが、雫が暮らす町にも坂があります。

雫の家や地球屋など『耳をすませば』の主な舞台になっている場所が高台にあるため、雫が坂道を駆け抜けるシーンや、町を高台から見下ろすシーンが印象的。

そんな、雫の暮らす町を彷彿させるような「坂の道」が、故郷の町として描かれている点が非常に興味深いです。

「歩き疲れ たたずむと」僕の脳裏に故郷の町が甦り、まるで叱られているような気分になる。

それは、遠く離れた故郷の記憶が、弱気になった「僕」の尻を叩き、前を向かせようとしていることの表れでしょう。

ふと弱気になった時、心を支えてくれるのは、いつだって故郷

原曲の英語詞に登場する「母なる山(Mountain Mamma)」同様、「僕」にとって象徴的な存在なのでしょう。

「帰れない」故郷への思いが泣ける




一人で生きていると、時には孤独に負けそうになることもあるでしょう。

人生の大きな壁や深い悲しみにぶつかった時、折れそうな心を奮い立たせるのは、いつだって故郷の町です。

それでも「僕」は思い出を消すために歩調を速め、強くあろうとするのはなぜでしょうか?

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カントリー・ロード
この道 故郷へつづいても
僕は 行かないさ
行けない
カントリー・ロード
≪カントリー・ロード 歌詞より抜粋≫
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目の前に続く道に故郷を思い、自分を奮い立たせて強く生きようとする「僕」は、しかしながら故郷へは「行けない」といっています。

どんな事情があるのかは定かではありませんが、故郷へは戻らない、戻れないからこそ、一人で強く生きていくことを決意したのかもしれません。

どんなに気持ちを強く持っても、ふと心が弱ってしまうことは誰しもあること。

そんな時には故郷の風景を思い出しながら決意を新たにするのでしょう。

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カントリー・ロード
明日は いつもの僕さ
帰りたい 帰れない
さよなら
カントリー・ロード
≪カントリー・ロード 歌詞より抜粋≫
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思わず弱気になった自分に鞭打ち、「明日はいつもの僕さ」と言い聞かせて、再び前を向くのです。

帰りたい 帰れない」「さよなら カントリー・ロード」という歌詞に、「僕」の抱える決意の重さを感じますね。

「カントリー・ロード」に込められた意味


原曲では「故郷へかえりたい」という重いが強く表れているため、曲に込められたメッセージ性が大きく異なっています。

つまり『カントリー・ロード』は単なる和訳ではなく、意訳されたものということですね。

そして、意訳された日本の歌詞が非常にセンスがよいのです。

ジブリの世界観だからこそ生きる歌詞の意味


こうしてみると、和訳版の『カントリー・ロード』は、原曲と比べるとかなり歌詞の内容が異なっていることが分かります。

故郷へ帰ろうという思いで溢れている原曲に比べ、故郷と決別し、自分の足で生きていくことを強く誓う『カントリー・ロード』。

この歌詞の違いは、『耳をすませば』に描かれる、雫と天沢聖司の姿にリンクしているようです。

聖司は、ヴァイオリン職人になるため、海外へ行くことを決めます。

同い年ながら自分の将来をしっかりと見据えた聖司に感化された雫もまた、自分の本当にやりたいことに向き合うことを決めました。

その結果、家族とぶつかり、自分の将来について悩むことになるのですが、自分探しともいえるこの体験こそ、思春期の未熟さやまぶしさを見事に描き出しているといえるでしょう。

そして、雫や聖司が、子供から大人へと成長していく様はまさに、故郷との決別を決めた「僕」の姿と重なります。

そう考えると『カントリー・ロード』で「僕」が独り立ちしようとしているのは必然といえるかもしれません。

原曲がすでに名曲として知られているため、耳にしたことがある人は多いかと思いますが、この機会に、歌詞の意味に注目して聴き直してみるのもおすすめです。

改めて『耳をすませば』を見直してみると、これまでとは違った発見があるかもしれません。

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