一度聞いたら抜け出せないサウンド
『あーあ。』は、デジタルシングルとして2021年4月9日に配信リリースされました。
作詞・作曲をしたのは、シンガーソングライターのReNです。
彼の音楽の特徴は、ライブ感の強いオリジナルサウンド。
THE FIRST TAKEで公開されている『Life Saver』などからも分かるように、彼はエフェクトを駆使して音を重ね合わせることで、アコギ1本から独自のバンドサウンドを生み出すことが出来るのです。
そして、その繊細かつダイナミックな歌声で楽曲に命を吹き込み、多くの人を魅了してやみません。
しかし、意外にもReNは元々歌手志望ではなく、レーシングカートの選手として活躍するのが夢でした。
10代の頃に渡英経験がありますが、これもレーシングカートを極めるためだったとか。
彼は若くして様々なレースに出場し、素晴らしい成績を収めてきましたが、大怪我をしてしまったことで1度夢を諦めることになります。
その後もイギリスで生活していたReNは、ラジオから流れてくるUKミュージックに影響を受け、20歳の時にシンガーソングライターになることを決意しました。
異文化を融合して生まれた彼の音楽は「ジャンルレスなサウンド」として多くの人に愛されています
思わず共感してしまう切ない恋心
『あーあ。』は、恋人に別れを告げられない心情を女性目線で歌った失恋ソングです。
ReNの歌詞の選び方がとてもリアルなのに繊細で思わず胸が締め付けられてしまいます。
「終わりにしなきゃ」と分かっているのに離れられない女性の気持ちが、聞いている人の中に自然と流れ込んでくる素敵な楽曲に仕上がっていますよ。
----------------
あなたのことを想うたびに
小さな夢がまたキラキラ光り
そんな幻想抱いて期待しては
うまくいかなくて 落ち込む日々
≪あーあ。 歌詞より抜粋≫
----------------
「君」のことを思い浮かべる主人公の女性。
無駄とは分かっていても、思わず彼との楽しい未来を想像してしまいます。
残念ながら、現実は思い描いた通りにはいかず、その度に彼女は憂鬱な気分になるのでした。
私がまるで私じゃないの
----------------
もう疲れたよ
振り向いて欲しくて背伸びをしてばかりで
私がまるで私じゃないの
何がしたいかもわからないよ
ねぇ
≪あーあ。 歌詞より抜粋≫
----------------
「君」のことが好きなのに、一緒にいるとどこか疲れてしまう主人公。
それは、彼女が「君」のために自分を殺してしまっていることに気づいたからでしょう。
好きな人を愛そうとすると、自分らしくいられず、自己嫌悪に陥ってしまう、そんな矛盾を抱えた女性の切ない気持ちがリアルに描かれています。
----------------
あーあ
もうやめなきゃな
君を追いかけてばかりの私
あーあ
もう忘れなきゃ
あなたの声もその横顔も
Goodbye my love Goodbye my love
≪あーあ。 歌詞より抜粋≫
----------------
ため息混じりにこぼれた本音、それは一方通行の恋をやめようという決意でした。
大事な思い出の一部だった「君の記憶」を手放そうとする主人公。
一生懸命にこの恋と別れを告げようとする彼女の、その健気な姿に思わず共感してしまいます。
別れを切り出すまでの苦悩
----------------
朝目を覚ましてテレビをつけて
占いを見て ため息をついて
おまけに雨が囁く 春の空は
なんだか少し気が重たいね
≪あーあ。 歌詞より抜粋≫
----------------
いざ別れを決めたところで、日常は変わらず過ぎていきます。
テレビの占い結果がイマイチだったり、雨が降っていたり、という些細なことですら、今の主人公には気が重たくなる要因になるようです。
----------------
もうくたびれたよ
何をしてもいつもあなたのことばかりで
私が私でいられないの
そんな姿に笑いが溢れるよ
≪あーあ。 歌詞より抜粋≫
----------------
距離をとってみても、主人公の頭の中は「君」のことでいっぱいです。
恋が終わる時、人は関係を断ち切ろうとすればするほど、自分の気持ちがコントロールが出来なくなるものではないでしょうか。
そんな自分の至らなさに情けなくなり、思わず笑いがこぼれます。
この部分の表現から、主人公は日常を平然と過ごそうと務めているにもかかわらず、精神的に参ってしまっている様子が想像できますね。
繰り返される「あーあ。」
----------------
あーあ
もう終わりにしなきゃ
桜の花びらが風に舞うよ
あーあ
涙に溶けてくよ
あなたの声も その横顔も
≪あーあ。 歌詞より抜粋≫
----------------
桜が舞い散る様子と恋が散り行くさまが重ねて描写されています。
「君」の思い出が涙に溶けていき、少しずつ記憶が遠ざかっていくようです。
突然気持ちを切り替えることは無理でしょう。
しかし、主人公はこうして涙を繰り返し流すうちに、少しずつ「君」のことを過去の記憶として受け止められるようになるのではないでしょうか。
サビの歌詞が意味するのは未来の自分への希望
----------------
あーあ
いつかまた会えたら
ありのままの私で居れるかな
あーあ
あなたはそのままで
私の好きなあなたでいてね
≪あーあ。 歌詞より抜粋≫
----------------
最後のサビの歌詞には、主人公が未来に向けた自分への希望が託されているようです。
「いつかまた会えたら ありのままの私で居れるかな」という歌詞。
これは「次にあなたと会うときは、私らしい自分になっていたいな」という希望が感じられます。
別れを選ぶことになったけれど、最後まで「君」のことを責めなかった主人公。
「この別れは誰のせいでもないんだよ」という彼女なりの思いやりが、最後のフレーズに込められているのではないでしょうか。
「あーあ。」に込められた複雑な感情が泣ける
思わずこぼれた「あーあ。」という言葉にならない声。
主人公が漏らした声には、後悔や寂しさ、そして開放感など、とても複雑な感情が込められているのでしょう。
聴く人によって様々な想いが駆け巡る楽曲ですね。
ピュアな歌詞とあたたかいサウンドが魅力的なので、リラックスしたい時にもオススメな楽曲です。