謎に包まれた実力派ルーキー・tonun
Tunecore JapanはLastrumとコラボし、2020年11月にWebオーディション「BRIDGE」を開催しました。600組以上に上る応募者の中から、第1回選定アーティストに選ばれたのがtonun(トヌン)です。
tonunは作詞・作曲だけでなく、トラックメイキングやミキシングまで全て1人でこなしているそう。
現時点で、tonunのプロフィールは謎に包まれていますが、作曲は大学生の時に始めたと明かしています。
スモーキーな歌声にのせて創造される独自の世界観は、秀逸なセルフプロデュースの賜物と言えますね。
そんな期待のルーキー・tonunが歌う「青い春に」が話題になっています。
さっそく、歌詞の意味を考察していきましょう。
リアルな歌詞に描かれる距離感の変化
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初めはたわいもない会話に
いちいちドキドキしていたり
とりあえずは愛想笑い
猫被り照れ隠しなんかしてたのに
≪青い春に 歌詞より抜粋≫
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『青い春に』は、様々なシチュエーションを当てはめることが出来ますが、今回は「大学生の友情」になぞらえて歌詞の意味を考察してみます。
春、大学進学と共に生活環境は大きく変化しますよね。
全く知らない人達の中で何を話せばいいか分からず、愛想笑いでなんとかやり過ごす主人公。
地元を離れて1人暮らしを始めたならば、なおさら新しい人間関係を構築することに戸惑うことでしょう。
新たな環境で手探り状態の主人公は、なかなか自分らしさを出すことが出来ません。
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いつの間にか心は溶け合う
そして生活の一部となる
真夜中寝落ちするまでcalling
寝惚け眼でそうGood morning
≪青い春に 歌詞より抜粋≫
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月日が経つにつれ、春に出会った同級生の1人と友人関係になっていました。
その居心地の良さに、気づけばいつも一緒に過ごしていた2人。
出会ったばかりの時の猫かぶりが嘘のように、お互いの素の部分を見せあえるようになっています。
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終わりなんて来ないとか言って遊び明かした
茜色の日常はもう戻らない
≪青い春に 歌詞より抜粋≫
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毎日、一緒にいることが楽しくて仕方がなかった2人。
まさかこの時間に終わるがくるなんて、その時は想像もしませんでした。
言えなかった言葉の先にあるものとは
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時は刻一刻と流れる
青い春風はただ儚く
伝えたい想いは山ほどある
あの時にあの場所で口にできなかった
これが運命の悪戯なら
胸の奥に詰まった言葉は
巡り巡るこの季節を越え
僕らを繋ぐ蕾へ変わる
≪青い春に 歌詞より抜粋≫
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想いを巡らせてみると、伝えたかったことが山ほどあった主人公。
当時の関係では気を遣って口に出せなかった事もありました。
主人公はこの友人に恋愛感情を持っていたのかもしれません。
出来ることなら自分の想いを伝えたかったのかもしれませんね。
しかし、視点を変えてみると、あの時想いを伝えなかったことで、2人が再会できる可能性が消えなかったとも言えます。
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終わりなんて来ないとか言って語り明かした
茜色の記憶は舞い戻り
桜が咲くこの季節に
僕ら出会う青い春に
今更になって振り返って愛が溢れてゆく
何処かでまた出会えたよねって
泣き笑ったこの瞬間も
いずれは忘れてすれ違いあっても
気付かないのかな
≪青い春に 歌詞より抜粋≫
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別れを意識した時に、初めて深い親愛の情が溢れ出すことってありませんか?
かつて大切な人と交わし約束も、時間の経過とともに薄れていってしまうのかな、と切なさがあふれます。
大人になって自分の生活に順応するうちに、学生時代の友人と疎遠になることもあるでしょう。
確かに少し寂しさはありますが、主人公はそのことを悲観的に捉えていないようです。
ふと過去の思い出を振り返った時に蘇る当時の感情を慈しんでいるように感じられます。
それは、子供のころに大切にしていた宝箱を、時折開けてみては当時の記憶を懐かしむ感覚と似ているのかもしれません。
「茜色の日常」に戻ることは出来ませんが、「茜色の記憶」を思い出すことは出来ます。
桜の季節になるたび、主人公はノスタルジックな気分に浸るのでしょう。
冒頭と最後は同じメロディーで歌われますが、歌詞に良く注目してみると時系列が変化しています。
tonunの細やかなこだりがここでも発揮されています。
「青い春に」をきっかけに呼び起こされる記憶
人間の記憶というものは、時にはあまりに頼りなく、時には鮮明に当時の感覚や感情を呼び起こします。
主人公にとって「桜が咲く季節」は、大切な人と出会った季節でもあり、別れた季節でもあります。
過去を思い出すには十分なきっかけなのでしょう。
また『青い春に』というタイトル通り、大人になり切る前の「青い」時期のストーリーが描かれています。
歌詞をそのままの意味で受け取っても、言葉の裏を想像しても楽しめる奥行きの深い楽曲です。
tonunは、楽曲を発表するごとにアコースティックバージョンも併せて公開しています。
語るような繊細なテイストが素敵なので、こちらもぜひチェックしてみてくださいね。