「不思議」は星野源がラブソングと向き合った曲
2021年4月27日に配信リリースされた星野源の新曲『不思議』。この曲は、川口春奈、横浜流星らが出演するTBS系ドラマ『着飾る恋には理由があって』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。
このドラマは、着飾ることで自分の居場所を見つけていたヒロインが主人公。
価値観の違う人々とルームシェアすることで、着飾るというよろいを脱ぎ捨て、自分らしく生きて行く姿を描く“うちキュン♡”ラブストーリーです。
ドラマ初回で楽曲が解禁されると大きな反響を呼びました。
これまで、ラブソングを作る際「照れながら」作っていたという星野源。
そんな彼が、この曲では「ラブソングに正面から向き合った」と語っています。
『不思議』の歌詞をさっそく見ていきましょう。
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君と出会った この水の中で
手を繋いだら 息をしていた
≪不思議 歌詞より抜粋≫
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恋人たちの出会いのシーンを思わせる冒頭のフレーズです。
「君と出会った この水の中で」の「水の中」とは何を意味しているのでしょうね。
後に続く「息をしていた」という言葉から、「水の中」は、ただ同じことを繰り返すだけの、息の詰まりそうな日常を表しているような気がします。
それが、君と出会ったことで自分が生きていることを実感したという意味ではないでしょうか。
恋をすると、見慣れた風景が急に生き生きと色づき始めると思いませんか?
それは恋の不思議の1つですよね。
星野源が「不思議」に込めた想い
星野源はタイトルの『不思議』について、「好き」とは「『なんかわからないけど好き』というのがほとんど。それってちょっと不思議」「ラブソングのタイトルにピッタリ」とインタビューで語っています。
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希望あふれた この檻の中で
理由もない 恋がそこにあるまま
ただ貴方だった
≪不思議 歌詞より抜粋≫
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このフレーズは、何万人もが暮らす街で貴方と出会い恋に落ちたけど、そこには理由などなく、ただ貴方の全てが好きになったよ。
という、星野源がタイトルに込めた想いを表しているのではないでしょうか。
恋愛から生まれる「不思議」を考察
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幼い頃の記憶 今夜食べたいもの
何もかもが違う
なのになぜ側に居たいの
他人だけにあるもの
≪不思議 歌詞より抜粋≫
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生まれた場所も育った環境も全く違う、昨日までは赤の他人だった2人が解り合うことで生まれる「恋」。
それは、人間同士の間で起こる、目に見えない不思議な化学反応のような気がします。
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"好き"を持った日々を ありのままで
文字にできるなら 気が済むのにな
≪不思議 歌詞より抜粋≫
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恋の化学反応が起きると、1日中その人のことが頭から離れなくなってしまうのものですよね。
そして、どうしてこんなに好きなのだろうと考えても、はっきりとした答えは出ないものではないでしょうか。
形はないけれど確実にこの世に存在している「恋」。
これほどまでにテクノロジーが発展した世界でさえ解明不能な「恋」は、人間にとって永遠の謎なのかも知れません。
「いる」と「居た」へのこだわり
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遺らぬ言葉の中に
こぼれる記憶の中に
僕らはいつも居た
≪不思議 歌詞より抜粋≫
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このフレーズは、2人で交わした会話や思い出はいつか忘れてしまうかもしれないけれど、その時間の中で、2人が愛し合っていたことは紛れもない真実だという意味ではないでしょうか。
星野源はラジオ番組の中で『不思議』の歌詞の中の「僕らはいつも居た」と「孤独の側にいる」の「居た」と「いる」の違いについてこう語っています。
「居た」は「人間」だと確実にわかっているので漢字で、「いる」は、人間とは限らない人と概念の間みたいなイメージなのでひらがな、と。
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孤独の側にいる
愛に足る想い
二人をいま 歩き出す
≪不思議 歌詞より抜粋≫
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では、星野源が語る「人と概念の間」とは、一体何を意味しているのでしょう。
人間は、基本的には1人で生きる孤独な生き物ですよね。
それが、恋をして愛する人ができた時、その人との未来を思う希望や、その人を守るための勇気といった感情が生まれるのではないでしょうか。
孤独な自分を後押ししてくれる感情が、星野源の語る「人と概念の間」のような気がします。
そんな感情を生み出してくれる人が側にいてくれるから人間は生きていけるのだと、『不思議』は伝えようとしているのかも知れません。
世界は「キュン」に溢れている
『着飾る恋には理由があって』は、ヒロインが恋をしたり涙を流したりしながら成長していく胸がキュンキュンするドラマ。
心にしみ込むようなしっとりとした世界観の『不思議』は、そんなドラマにぴったりの主題歌ですよね。
ところで「キュン」とは胸のトキメキを表す言葉ですが、人はどんな時に「キュン」となるのでしょうか。
それは、会社では怖そうな人が、電車でお年寄りに席を譲っていることろを見た時や、なんとも思っていなかったクラスメイトと偶然目が合って、なぜかお互い目が離せなくなった時。
体調を崩して駆け込んだ病院の先生が、ものすごくタイプだった時などもそうでしょう。
世界のあちこちに溢れていて、ある日突然訪れる「キュン」。
それには長続きするものもあれば一瞬で消えてしまうものもあるはずです。
もし、あなたに今日「キュン」が訪れたなら、どうか逃さないようにしてくださいね。