愛・夢・幸を歌ってきたEXILEの意外な歌詞
EXILEの所属事務所であるLDHは、「Love」「Dream」「Happiness」の頭文字が社名になっています。
社名にするほど、「愛」「夢」「幸」をテーマとして大切にしてきたのがEXILEというアーティストです。
そんな彼らの『もっと強く』の歌詞に注目してみましょう。
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いつでも人は悲しみを 避けては通れないけど
ありふれた日常の中 幸せを見つけられるから
あの日閉ざした心さえ 少しずつ癒えてきたね
誰かを愛せずにいた そんな日々に終わり告げよう
≪もっと強く 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞ですが、最初の4行で既に「幸せ」と「愛」という言葉が出てきます。
EXILEらしい、日常の幸せや人を愛することを歌ったバラードソングです。
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必ず夢を持つとか 背負わなくていい ただ生きよう
その中でもし希望の光が見えたなら
ずっとずっと信じていて
いつの日か僕らは もっと強くなれる
愛を知るために もっと強く 生きて行こう
≪もっと強く 歌詞より抜粋≫
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ところが、最後の歌詞では、1行目に夢を持たなくてもいいという内容の言葉が歌われます。
「愛」「夢」「幸」をテーマにしてきたEXILEの楽曲としては、意外なフレーズですよね。
夢に向かって先へ走る姿を見せてきた彼らが、夢を持たない聴き手の元へ引き返して、手を握ってくれたような感覚になります。
聴き手にやさしく寄り添ってくれるこの曲は、名曲揃いのEXILEの中でも、特別な曲なのかもしれません。
THE FIRST TAKEで響いた歌詞の意味
2021年5月5日にYouTubeでとある動画が公開されました。
天才ピアニストYouTuberハラミちゃんのピアノに乗せて、TAKAHIROが『もっと強く』を歌う動画です。
公開したのは、一発撮りパフォーマンスを配信するYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」。
この動画が泣けると話題になっています。
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今起きてる全ての事 現実なんだって受けとめてゆくんだ
希望さえも持てずにいる 誰かのために この命を使ってほしいから
≪もっと強く 歌詞より抜粋≫
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『もっと強く』は2010年にリリースされたシングルの収録曲で、約10年の時が経っています。
今という時代に聴いたとき、1行目の「今起きてる全ての事 現実なんだって受けとめてゆくんだ」という歌詞に鳥肌が立った方も多いのではないでしょうか。
まるで、コロナ禍の今を歌われたような気持ちになります。
THE FIRST TAKEのコメント欄には、医療従事者の方々のコメントや2011年3月11日に発生した東日本大震災に関するコメントが多く寄せられていました。
10年前に作詞したATSUSHIの想いが、音楽として伝わり、今も人の心を救っていることに感動しますよね。
2020年11月2日にATSUSHIはEXILEボーカルを勇退。
しかし、TAKAHIROが彼の意志を継いでくれているということをTHE FIRST TAKEの姿から感じることができます。
THE FIRST TAKEが多くの人々の心に響いたのは、今という時代の苦しさとEXILEメンバーは前に進んでいるという希望が重なったからなのかもしれません。
「もっと強く」の歌詞が泣ける理由
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大切なものを手にして 失う怖さも手にしたけど
絶望の中に一人で 迷ったとしても 必ず信じていて
この場所でいつでもあなたを待っているよ
≪もっと強く 歌詞より抜粋≫
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サビの歌詞に出てくる「あなた」は誰を指しているのでしょうか。
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知りたくもない現実や 見たくないことばかりで
それでもきっと僕らは 進んで行かなきゃいけなくて・・・
≪もっと強く 歌詞より抜粋≫
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さらに「僕ら」という言葉も出てきます。
この言葉は誰を指しているのでしょうか。
この曲は『海猿』という人気映画の主題歌でもあるので、「あなた」と「僕ら」を登場人物に当てはめて聴けば、映画の世界観に浸って泣けるバラード曲になるでしょう。
もしくは「あなた」を聴き手である自分たち、「僕ら」をEXILEメンバーに当てはめて聴けば、絶望の中にいる自分を救ってくれる曲として聴けるかもしれません。
厳しい現実の中でも前を向くEXILEメンバーの姿も浮かんでくるようです。
つまり、「あなた」と「僕ら」の解釈次第で、この楽曲は色々な聴き方ができます。
それぞれの解釈で深く入り込める歌詞になっていることで、聴き手の涙を誘うのではないでしょうか。
聴き手に寄り添う歌詞が、10年の時を経てさらに意味を増しました。
そして、聴き手の解釈次第でさらに受け取り方は広がるでしょう。
今、改めてこの曲を聴き、新たな魅力を再発見するときなのかもしれません。