歌詞に救われた人も多いミスチルの名曲
『終わりなき旅』は国民的バンド『Mr.Children』の15thシングル。作詞・作曲を担当したのはヴォーカルの桜井和寿で、同時期に放映されたフジテレビ系列のドラマ『殴る女』の主題歌にも起用されました。
当時のオリコンチャートによれば、『終わりなき旅』は発売初週で51万枚以上を売り上げ、その後売上は100万枚を突破。
Mr.Childrenのシングルでは、最後のミリオンセラー作品になっています。
なお、『終わりなき旅』は1999年2月3日に発売された7thアルバム『DISCOVERY』、2001年7月11日発売のベストアルバム『Mr.Children 1996-2000』にも収録されています。
YouTubeに公開されているMVのコメントやレビューを見ても、「救われた」「泣ける」と感動の声が多いMr.Childrenの名曲『終わりなき旅』。
時代を超えても愛される、『終わりなき旅』の歌詞の意味を徹底考察します。
「終わりなき旅」はミスチルの活動復帰作品
まず知っておきたいのは、『終わりなき旅』はMr.Childrenの活動復帰作であるということ。順調に活動を続けているように見えたMr.Childrenは、1997年3月、福岡ドームでのライブで突然「活動休止」の宣言をします。
そして1998年10月21日、本格的に活動を再開したミスチルが世に放ったのが『終わりなき旅』でした。
こうした経緯を踏まえると、『終わりなき旅』は「活動を再開したミスチルの決意の歌」とも聞こえてきます。
実際に、当時のミスチルと重なる部分が見える歌詞を見ていきましょう。
----------------
息を切らしてさ
駆け抜けた道を
振り返りはしないのさ
ただ未来だけを
見据えながら
放つ願い
≪終わりなき旅 歌詞より抜粋≫
----------------
『終わりなき旅』冒頭の歌詞です。
過去にとらわれるのではなく、先のことを考えて活動していこうとする意思が感じられますね。
----------------
大きな声で
声をからして
愛されたいと
歌っているんだよ
≪終わりなき旅 歌詞より抜粋≫
----------------
1番サビ前の歌詞。
「愛されたい」とい歌詞は「多くの人に自分の歌を聴いてもらいたい」という意味にもとれるでしょう。
----------------
誰と話しても
誰かと過ごしても
寂しさは募るけど
どこかに自分を
必要としている
人がいる
≪終わりなき旅 歌詞より抜粋≫
----------------
2番冒頭の歌詞です。
おそらく、日本で名前を知らない人はいないであろうMr.Children。
しかし、誰もがそうであるように、彼らもすべてが順調だったわけではないのかもしれません。
一生懸命音楽を届けようとしていても、自分たちの思うように評価されなかったり、他のミュージシャンと比べて力がない感じたこともあったのではないでしょうか。
2番冒頭の歌詞からは、それでもやっぱり音楽を続けたいと思い、心の通り従おうとするミスチルの気持ちが感じられます。
名言が詰まった「終わりなき旅」の歌詞
そして、『終わりなき旅』の歌詞には、人生において重要なメッセージがたくさん詰まっていると感じられます。誰もが自分に当てはめて考えられる歌詞が散りばめられており、それこそが『終わりなき旅』が多くの人の心に響いている理由なのではないでしょうか。
実際に、ミスチルの「人生における名言」ともとれる歌詞を見ていきましょう。
----------------
カンナみたいにね
命を削ってさ
情熱を灯しては
また光と影を連れて
進むんだ
≪終わりなき旅 歌詞より抜粋≫
----------------
1番冒頭の歌詞。
「命を削ってさ」から工具の「カンナ」を想像させますが、実際は花の「カンナ」とかけていると言われています。
花の「カンナ」の花言葉は「情熱」。
----------------
閉ざされた
ドアの向こうに
新しい何かが
待っていて
きっときっとって
僕を動かしてる
≪終わりなき旅 歌詞より抜粋≫
----------------
『終わりなき旅』のサビの歌詞です。
未来に向かって進んでいく主人公の姿が思い浮かびますね。
「閉ざされたドア」は、「まだ見えていない未来」を意味しているのでしょう。
「未来に何が待っているかはわからないけど、理想の自分を求めて新しい道を進む」という主人公の意思が感じられます。
----------------
いいことばかりでは
無いさ
でも次の扉を
ノックしたい
もっと大きなはずの
自分を探す
終わりなき旅
≪終わりなき旅 歌詞より抜粋≫
----------------
「いいことばかりでは無いさ」の通り、もしかしたら進んだ先は辛いことも待っているかもしれません。
しかし、それでも主人公は「次の扉をノック」して前に進むと決めます。
この歌詞は、1番の歌詞冒頭の「また光と影を連れて進むんだ」にも共通していますね。
----------------
高ければ高い壁の方が
登った時
気持ちいいもんな
≪終わりなき旅 歌詞より抜粋≫
----------------
辛いことがあっても前に進めるのは、乗り越えたあとの達成感を知っているからかもしれません。
高い山の頂上から眺める景色が美しいように、壁を越えた先に理想の自分が待っていると信じる気持ちが、主人公を動かしているのでしょう。
「終わりなき旅」の意味とは?
歌詞を読み進めていくと、楽曲名の『終わりなき旅』が「人生」を意味していると気づくのではないでしょうか。『終わりなき旅』の歌詞全体からは、主人公が理想の自分を求めて前に進む様子が感じられます。
そんな主人公が、『終わりなき旅』リリースと共に活動を再開したMr.Childrenの姿とも重なりますね。
ただし、本当は主人公でさえも「理想の自分」が何かはわかっていないのかもしれません。
わからないからこそ、人生を『終わりなき旅』と呼んでいるのでしょう。
生きていれば、楽しいことも悩むこともありますね。
----------------
誰の真似もすんな
君は君でいい
生きる為の
レシピなんて
ない ないさ
≪終わりなき旅 歌詞より抜粋≫
----------------
しかし、歌詞が示す通り「上手く生きるための手順書」はありません。
失敗しながらも、苦しみながらも、自分で答えを探して生きていくしかないのだと思います。
----------------
嫌な事ばかりではないさ
さあ次の扉を
ノックしよう
もっと大きなはずの
自分を探す
終わりなき旅
≪終わりなき旅 歌詞より抜粋≫
----------------
そして、乗り越えた先でようやく理想の自分に出会えるのかもしれません。
まるで手紙のように、生きていくうえでのメッセージを届けてくれるMr.Childrenの『終わりなき旅』。
作品を通して、人生に正解はないことをミスチルは教えてくれているのでしょう。
1992年ミニアルバム「EVERYTHING」でデビュー。 1994年シングル「innocent world」で第36回日本レコード大賞、2004年シングル「Sign」で第46回日本レコード大賞を受賞。 「Tomorrow never knows」「名もなき詩」「終わりなき旅」「しるし」「足音 〜Be Strong」など数々の大ヒット・シングル···